- 如月尊
- 花屋FLOWER SHOP Mikoの店主。退魔師でもある。
- 平塚花澄
- 書店瑞鶴店員。四大の加護を受けている。
- 譲羽
- 少女人形にとっついた木霊。花澄の擬似娘。
- キノエ
- 一十の式神。オコジョの姿をとることもある。
某日、FLOWER SHOP Miko。
- 尊
- 「いらっしゃいませ、って、あ、花澄さん」
- 花澄
- 「こんにちは」
- 譲羽
- 「ぢいっ」
- 尊
- 「ゆずちゃんも(笑)」
背中の袋から、ぴょい、と飛び出した人形は、元気よく手を振り回した。
- 花澄
- 「今日は、ゆずのほうがお花買いに来たんです」
- キノエ
- 「え、ほんと?誰に?」
- 譲羽
- 「ぢいぢいっ(大家さん)」
- キノエ
- 「……大家さんって……大家さん?(汗)」
何か妙、とは、目の前の大真面目な顔を見るに……流石に口に出せない。
- 尊
- 「えっと、どんな花がいいのかな?」
- 譲羽
- 「ぢ……?」
- 花澄
- 「茶室とか、床の間に飾って似合う花、がいいと思うんですけど」
- 尊
- 「成程。じゃ、適当に見繕いますけど……それでいい、ゆずちゃん?」
- 譲羽
- 「ぢいっ!(うん!)」
暫し後。
キノエが花束を抱えた譲羽を松蔭堂に『配達』しに行ってから。
- 尊
- 「でも、ゆずちゃんどうしたんです?」
- 花澄
- 「いえ、この前の騒ぎから、あの子、松蔭堂に行ってないんですよ」
- 尊
- 「ああ、あの……(汗) ゆずちゃん、怖がってましたもんね」
- 花澄
- 「それもあるんですけど、ね」
花澄が困ったように笑う。
- 花澄
- 「どうもあの子……それ以上に『自分が大家さんから逃げちゃった、ああ悪いことした』って思ってるらしくて」
- 尊
- 「は?」
- 花澄
- 「で、一人で行くのいやだ、って言うから」
- 尊
- 「配達してもらう為に、ですか?」
- 花澄
- 「口実にもなりますしね」
溜息が、一つ。
- 花澄
- 「……どーしてああも、女の子やってるのかな、とか思うんです」
- 尊
- 「だってもう、女の子でしょ?(笑)」
- 花澄
- 「そうですけど……部屋の中でぐずぐずしてるし、そんなに悪いと思うならまず謝りに行ってみたら、って言ったら泣きそうになるし……。 ああもう、女の子ってややこしいんだから」
- 尊
- 「だから、女の子って、やってて楽しいんですって(笑)」
……沈黙。
花澄は、まじまじと尊を見ている。
結構……なんてものではなく、居心地が悪い。
- 尊
- 「………花澄、さん?」
- 花澄
- 「……そーなんだあ……」
- 尊
- 「は?」
- 花澄
- 「女の子って、やってて楽しいものなんですね!?」
そこでそこまで驚くか(呆)
- 尊
- 「何もそこまで意外そうに……」
- 花澄
- 「意外ですよぉ。そうか、女の子って、そう生まれて楽しいもの、なんですね! ……そうかあ……」
唯一人納得しつつ、花澄は何度も頷いていたが、
- 花澄
- 「じゃ、有難うございました(ぺこり)」
- 尊
- 「あ、はあ」
硝子戸が開いて、また閉まってから。
- 尊
- 「……花澄さんて、時々良く分んない……(汗)」
1997年、秋の深まる頃の話。
エピソード『黒ファイル』の後を受けた話です。この「黒ファイル」騒動の際、散々っぱら大家さんに驚いた譲羽が、お詫びに……というシーンです。
しかし…女の子に生まれるって、楽しいものなんですねえ(感心するな)
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