エピソード771『筆まめ、筆不精』


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エピソード771『筆まめ、筆不精』

登場人物

平塚花澄(ひらつか・かすみ)
書店瑞鶴店員。親戚づきあいは良好らしい

本文

大晦日、父方の親戚が祖母の家に集合する。

叔母1
「花澄ちゃん、ちょっとこれ見て」
花澄
「手紙、ですか?…あ、はるちゃんから?」
叔母1
「この前24日のことなんだけどね(笑)もと君がパリに来たらしいのよ」
花澄
「で、その手紙がもう来たんですか?(ちょっとびっくり)」
叔母1
「あの子、筆まめだから(笑)」

ちなみに、はるちゃん、もと君、共、花澄達のいとこである。
 呼び名は、小さな頃から変わらない。

花澄
「もと君……は、今添乗の仕事?」
叔母2
「そう。それでパリ行って、道案内をはるちゃんに頼んだらしいの」
花澄
「(笑) 二人とも日本じゃ滅多に会わないのに」

かたやフランス留学中、かたや添乗員勤務。
 確かに日本では会いにくいだろう。
 その日あった事を、即書いたらしい手紙をさらさらと読んでゆくと。

花澄
「あれ、この最後一行?」
叔母2
「そう、もとが書いてんの(溜息)」

最後一行。
 『では、日本で会いましょう』

叔母2
「それでもはるちゃんにやいのやいの言われて、ようやっと書いたらしいのよ。全く呆れるくらいの筆不精よねえ」
花澄
「……そう、ですねえ(汗)」

人のことは全く言えない花澄であった。

時系列

1997年年の瀬

解説

実話を元にしております。
 ……筆不精は、もしかしたら遺伝するのかもしれません。



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