エピソード777『ちと矛盾』


目次


エピソード777『ちと矛盾』

登場人物

如月尊(きさらぎ・みこと)
FLOWER SHOP Mikoの店長。
キノエ(きのえ)
FLOWER SHOP Mikoの店員。本来は式神。
平塚花澄(ひらつか・かすみ)
書店瑞鶴店員。ぬいぐるみ作りが趣味。

本文

某日、FLOWER SHOP Miko。
 夕刻。

「いらっしゃい……あ、花澄さん」
キノエ
「こんにちはっ」
花澄
「こんにちは(にこにこ)」

暖かな風が、一筋流れた。

「今日は、お花ですか?(笑)」
花澄
「いえ、宅急便です(笑)」
「え?」
花澄
「ええっと、本当はクリスマスまでに作りたかったんですけど、尊さんとキノエちゃんに」

ごそごそ、と、鞄の中から引っ張り出したのは、クマ二体。
 いつものと少し違う。

「これ……皮、ですか?」
花澄
「この前、実家に帰った時に叔母から貰ったんです。皮の端切れで作ってみたら、って」

柔らかな、薄手の皮で出来たクマ。
 おそろいの眼鏡が、何となくユーモラスである。

キノエ
「これ、縫いにくくないんですか?」

返事のかわりに、花澄は右手を出す。

「……指先ぼろぼろ(汗)」
花澄
「針の、頭の部分が刺さるんですよね、これだけ固いと」
キノエ
「大変そう(汗)」
花澄
「でも楽しいですよ(にこにこ)」
「これ、何の皮ですか?」
花澄
「こっちの黒が、ヤギ……かな? で、こっちの茶色がウシ」
キノエ
「へえ……」

頷いてから、キノエは首をひねる。
 花澄が笑い出した。

花澄
「何か変、ですけどね。ヤギ皮のクマ、って(笑)」

時系列

1998年一月初旬。

解説

女の子の為ならえーんやこら、でもないですが。
 ……皮でぬいを作るときには、専用の針を使いましょう(しみじみ)



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