エピソード1002『猫娘VS猫娘』


目次


エピソード1002『猫娘VS猫娘』

登場人物

萌(もえ)
猫の両親から生まれた猫娘。ベーカリーあたりの長らしい。
煌(こう)
猫をベースに格闘戦向けに前野浩に作られた存在。普段は健康的な肌の美女。
御剣司(みつるぎ・つかさ)
電操士。異能に目覚めたのも、吹利に来たのも最近なので、異能者や人間外の存在に免疫が無い。
大河大洋(おおかわ・まさひろ)
エーテル使い。彼のところに萌は居候している。
瑞鶴の猫
 瑞鶴に住み着いている普通の猫。年の功か、瑞鶴あたり を猫を取り仕切っている。

路地

ある日の街の喧騒から離れた路地。塀の上で、1匹の小猫が眠っている。

萌(猫状態)
「ふみぃ〜(眠そう)
こんにちは〜。萌ねぇ〜、今度学校行く事になったんだよぅ。でもぅ、萌寝ちゃうと猫に戻っちゃうから、大丈夫なように訓練してるのぅ〜(ほよ〜ん)」
まだ眠そう)

温かい春の日差し。それは、万人に及ぶ眠りの魔力を帯びていた。
 そこに、一人の女性が通りかかる。塀の上で寝ている小猫を見て、面白いおもちゃを見たかのように目が輝きだした。

「うりうり〜、起きれ〜(つんつん)」
萌(猫)
「うみゅぅ〜(グネグネ)」
「あなたはだんだんねむくな〜る……(カッチコッチカッチ コッチ)」
萌(猫)
「くぅ……、くぅ……」
( ̄▽ ̄)

しばらく、様子を見ていた煌。突然彼女から紫の猫耳が飛び出した。

「わっ!! \(>▽<)/」
萌(猫)
「(どびくぅっ)ふぎゃっ!?」
「あはははははは(爆笑)」
「ひどいよ〜〜」
「寝てるのが悪いのだ〜☆(ぐりぐり)」
「うみぃ〜(><)。いたいよ〜」
「あはは〜(なでなで)」
「ふみゅ〜(また眠る(^^;)」
( ̄▽ ̄)
( ̄▽ ̄)
「(☆▽☆)ぴき〜ん」
(こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ……)
(ぴくっぴくぴく)「……んみゅ〜、くすぐったいぃ〜!!」

はたから見ると、猫耳を付けた娘と、猫がじゃれているようにみえる。
 既に人外魔境に突入している。

「うりうり〜(こちょこちょこちょこちょこちょこちょこ ちょこちょ……)」
「あははは、止めて、やめてよ〜〜(^^)」

そこに、御剣が通りかかる。人外魔境を見たのが一般人なら、恐慌状態になるところだが……

「げ……(汗) 喋る猫と猫又が喧嘩してる……(笑)」
「笑い死にと言う言葉がありますが、実際に笑って死んだ 人の記録があります(冷静) って事で、おりゃ〜(こちょこちょこちょこちょ〜)」
(なるほど喧嘩じゃなくてじゃれてるのか……)

どうやら、容認できるところを見ると、彼もまた逸般人らしい。

大河
「僕も聞いた事あるよ。で、そろそろ解放してあげてくん ないかな?」
「むっ!(じろっ)」
(びくっ)(に、にらまれた?)
「そこだっ!(ぶんっ)(萌を投げつける)」
瑞鶴の(猫)
「……にい(何ぞまた危険なことをやってるわ<鼻で笑 うの図)」
(受け取る)「おわっ!」(な、投げやがった)(笑)
「ふぎゃぁ〜〜」

萌を投げつけ、既に興味はなくなったのか、瑞鶴の猫に向かって話し掛ける。

「よっ、姐さん(しゅたっ)」
瑞鶴の(猫)
「……(大欠伸)」
「相変わらず元気そうだねっ」
瑞鶴の(猫)
「……ふすん(当たり前だよ、お若いの#鼻を鳴らしてる)」
「日焼けして毛のつや落ちてるけどさ〜(かんらからから)」
瑞鶴の(猫)
「……(大欠伸)……に(見てくれで価値を決められるほ どに落ちちゃあいないからねえあたしは)」
「あはは〜、伊達に歳くってないねぇ〜(かりかり)」

一方、思わず萌を受け取った司も……

(手の中の猫(萌)を見て)「……(どうしよう)」
「おろして〜(;;)」
大河
「あ、すみません。こっちによこして下さい(^^;」(手 を差し出す)
「わっ喋った!(落とす)」

大河の声もわずかに間に合わず、萌を放す司。萌もこの程度の高さから落ちたところで、怪我をするわけではない。
 萌はベーカリーあたりの猫のボスだった。同様に、瑞鶴の猫もこのあたり一帯を牛耳る猫である。
 だが、萌の猫柄(?)からか、争いまでは発展しない。

「……あ、すみません。貴方のでしたか」
大河
「まぁ、そんなとこです(^^;;」
「こっちの猫又(煌ちゃん)も、貴方のですか?」 「そこの老猫は、そこの本屋の猫みたいでしたけど……」
大河
「いえ、そっちは違いますよ」
「誰が猫又やねん」
「猫又じゃないんですか?」
「萌と同じで猫娘だよね?(^^)」

猫の萌も、ようやく完全に起きたのか、大河に抱きかかえられて人間と猫娘の奇妙な会話に加わる。

「まぁ、そんなところやね」
「えーと、すみません。これは一体……」
大河
「どうかしましたか? このあたりでは特に珍しくも無い みたいですけど」

ここで、煌はある判断を下した。
 司は異能なれしていない > 異能を一般人に知られてはならない >
 マスターは記憶の操作が必要だと言っていた > 司の記憶を消去! 

「忍法諸事忘却の術!(ガスッ)」

おもむろに、司の後ろ頭を取り出した鞭の柄で殴り付ける煌。

大河
(そんな乱暴な事しなくても、僕が記憶を取り出せるんだ けどな……(^^;)
「はっはっは。明智君、またあおう(ト〜ン……ト〜ン……)」
「またね〜」

数刻後、路地

ある日の街の喧騒から離れた路地。
 道端で気を失っていた青年が目を覚ました。

「はっ! 僕はいったいどうしてこんな所で寝てるんだ?」

その問いに、答えるものは、路地には既にいなかった。

「ゆめ……だったのかな?」

彼の記憶に、何が残っているのかは不明だが、後頭部の痛みは真実のものだった。

解説

日常コメディ系の話。異能を問題解決ではなく騒動を起こしたり、笑える行動に活用したりするのがミソ。



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