エピソード1009『自家製虫除け液』


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エピソード1009『自家製虫除け液』

登場人物

布施美都(ふせ・みと)
過去の記憶、記録の無い娘。テレビから情報を得る事が多い。
マヤ
 小滝ユラの同居猫。ユラとは出会った時から会話が可能だった。
紫苑(しおん)
 金属生命体の猫。美都を守ると誓い、常に側にいる。

本編

美都
「ふむ……ミキサー……と(ごそごそ)」
マヤ
「……ふに(なにやってるの? あの子……)」
紫苑
「……にぁ(さあ……私にも解かりません)」

猫達が見守る中、美都は戸棚からミキサーをひっぱりだす。

美都
「ラベンダー……と」(適当に切ってミキサーに入れる)
マヤ
「(料理……かしら?)」
紫苑
「(ふむ……どうやら今朝のテレビに影響されてますね……)」
マヤ
「(テレビ?)」
紫苑
「(ええ、まあ……大事にはならないと思います)」

ミキサーに入れるのは、ぶつ切りにしたラベンダーと水。

SE
がーっ
美都
(蓋を抑えている)

待つ事1、2分。次に用意したのは、口の広い瓶とガーゼ。

美都
「えと……これで良いのかな……これって、服についたら染みになりそう……」

ラベンダーの紫が良く出ている。こすために使ったガーゼは、既に紫に染まっている。

美都
「んで……砂糖……と……できたっ」
マヤ
「(なに……あれ)」
紫苑
「(ふむ、虫除けだそうです)」
マヤ
「(虫除け? ああ、ハーブの虫除け効果……)」
紫苑
「(ええ、今日は、山の方まで行くんだそうです。丁度、テレビの特集でやってたみたいですからね)」

猫達が話している間に、手早く片付けを済ませる。

美都
「うーん……色がきついなぁ……まあ、手足に塗るなら大丈夫か……」

そういって、自らの露出している手足に塗り付ける。Tシャツにホットパンツの格好は露出部分は多い。

美都
「マヤちゃんはお留守番だよね……紫苑ちゃん、一緒にいくよね?」
紫苑
「にぁ〜(しかたありませんね……)」
美都
「よしよし、紫苑ちゃんなら目立たないわね(にや)」

おもむろに、紫苑を捕まえる美都。

紫苑
「にゃっ(美都! 私に塗るんですか?)」
マヤ
「……(あ……)」
美都
「元々紫だし……大丈夫大丈夫(にこ)」

そういう問題では無い様な気はする……。

美都
「つけないと虫に刺されちゃうよっ」
紫苑
「にぃ……(私には必要無いんですよ……)」
 
 元々生物ではない紫苑の身体に、虫が来るとは思えない。また、来たとしても吸われる血など無いのだが……。
美都
「よしっ。準備OK!」
紫苑
「に……(ふむ……においがきついですねぇ……成分的には効果はありそうです)」
マヤ
「(あなたも大変ね……)」
紫苑
「(ふむ……行ってきます。ユラさんが戻ったらよろしく……)」
マヤ
「(……大丈夫なの?)」
紫苑
「(彼女を見つけた場所に行ってみるだけです。私がいれば危険はないでしょう)」
マヤ
「(……わかったわ)」

猫達の懸念はよそに、美都はひたすら元気であった。

美都
「いこ! 紫苑ちゃん」

目的地は、吹利の森の中。紫苑が美都を発見した現場である。

解説

テレビで仕入れたラベンダーの虫除けを作る美都。哀れ紫苑はその実験台となる……。



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