- 布施美都(ふせ・みと)
- 過去の記憶、記録の無い娘。テレビから情報を得る事が多い。
- マヤ
- 小滝ユラの同居猫。ユラとは出会った時から会話が可能だった。
- 紫苑(しおん)
- 金属生命体の猫。美都を守ると誓い、常に側にいる。
- 美都
- 「ふむ……ミキサー……と(ごそごそ)」
- マヤ
- 「……ふに(なにやってるの? あの子……)」
- 紫苑
- 「……にぁ(さあ……私にも解かりません)」
猫達が見守る中、美都は戸棚からミキサーをひっぱりだす。
- 美都
- 「ラベンダー……と」(適当に切ってミキサーに入れる)
- マヤ
- 「(料理……かしら?)」
- 紫苑
- 「(ふむ……どうやら今朝のテレビに影響されてますね……)」
- マヤ
- 「(テレビ?)」
- 紫苑
- 「(ええ、まあ……大事にはならないと思います)」
ミキサーに入れるのは、ぶつ切りにしたラベンダーと水。
- SE
- がーっ
- 美都
- (蓋を抑えている)
待つ事1、2分。次に用意したのは、口の広い瓶とガーゼ。
- 美都
- 「えと……これで良いのかな……これって、服についたら染みになりそう……」
ラベンダーの紫が良く出ている。こすために使ったガーゼは、既に紫に染まっている。
- 美都
- 「んで……砂糖……と……できたっ」
- マヤ
- 「(なに……あれ)」
- 紫苑
- 「(ふむ、虫除けだそうです)」
- マヤ
- 「(虫除け? ああ、ハーブの虫除け効果……)」
- 紫苑
- 「(ええ、今日は、山の方まで行くんだそうです。丁度、テレビの特集でやってたみたいですからね)」
猫達が話している間に、手早く片付けを済ませる。
- 美都
- 「うーん……色がきついなぁ……まあ、手足に塗るなら大丈夫か……」
そういって、自らの露出している手足に塗り付ける。Tシャツにホットパンツの格好は露出部分は多い。
- 美都
- 「マヤちゃんはお留守番だよね……紫苑ちゃん、一緒にいくよね?」
- 紫苑
- 「にぁ〜(しかたありませんね……)」
- 美都
- 「よしよし、紫苑ちゃんなら目立たないわね(にや)」
おもむろに、紫苑を捕まえる美都。
- 紫苑
- 「にゃっ(美都! 私に塗るんですか?)」
- マヤ
- 「……(あ……)」
- 美都
- 「元々紫だし……大丈夫大丈夫(にこ)」
そういう問題では無い様な気はする……。
- 美都
- 「つけないと虫に刺されちゃうよっ」
- 紫苑
- 「にぃ……(私には必要無いんですよ……)」
元々生物ではない紫苑の身体に、虫が来るとは思えない。また、来たとしても吸われる血など無いのだが……。
- 美都
- 「よしっ。準備OK!」
- 紫苑
- 「に……(ふむ……においがきついですねぇ……成分的には効果はありそうです)」
- マヤ
- 「(あなたも大変ね……)」
- 紫苑
- 「(ふむ……行ってきます。ユラさんが戻ったらよろしく……)」
- マヤ
- 「(……大丈夫なの?)」
- 紫苑
- 「(彼女を見つけた場所に行ってみるだけです。私がいれば危険はないでしょう)」
- マヤ
- 「(……わかったわ)」
猫達の懸念はよそに、美都はひたすら元気であった。
- 美都
- 「いこ! 紫苑ちゃん」
目的地は、吹利の森の中。紫苑が美都を発見した現場である。
テレビで仕入れたラベンダーの虫除けを作る美都。哀れ紫苑はその実験台となる……。
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