- 富良名裕也(ふらな・ゆうや)
- 通称フラナ。
大学に入学したが、どう見ても小中学生にしか見えない。
- 平塚花澄(ひらつか・かすみ)
- 四大の力を従え「春の結界」を身にまとう女性。
書店「瑞鶴」の店番にして欠食児童達の守護者、でもある。
- 堀川祐司(ほりかわ・ゆうじ)
- 静電気を操る、生きた電源装置。
紅雀院大学の考古学教室に助手で勤務。
某日、結構夜遅く。
花澄の部屋から、この時刻複数の声が聞こえてくるというのも珍しいもので。
- フラナ
- 「うん、いい先生だよ。この前僕、クッキーもらった」
- 花澄
- 「…………(^^;)」
いや、いい先生ということに反対するものでは、花澄もないのだが。
- 花澄
- (こー……先生の良し悪しってやっぱり授業に依ると思うんだけど(悩))
うちに夕御飯食べに来る時にでも、授業の様子を教えてね、と言った……筈なのだが。
曰く、上着のボタンが取れかけてて、黒板に書くたびに揺れていた。
曰く、準備室に本が山積みで、漫画も結構混ざっている。
曰く、寝坊したみたいで、後頭部の髪が突っ立っていた。
- 花澄
- (……(悩))
- フラナ
- 「花澄さん?」
- 花澄
- 「あっと……(汗) ……フラナ君、まだ白和え食べる?」
- フラナ
- 「んーっと、こっちの鯖団子食べたいなっ」
- 花澄
- 「了解(笑) 少し待ってね……と、御飯は?」
- フラナ
- 「下さいっ」
どんどん減ってゆく食卓の様子を、譲羽が重ねた座布団の上から眺めている。
- フラナ
- 「そーいえば」
- 花澄
- 「え?」
- フラナ
- 「堀川せんせーってねー、すっごく静電気体質なんだよ〜」
- 花澄
- 「へえ?」
- フラナ
- 「こないだなんかセンセーがもってたノートパソコンが火吹いてたもん(笑)」
- 花澄
- 「……は?」
- 譲羽
- 「……ぢ?」
危うく焦げかけた団子を、天ぷら油から救出して。
- 花澄
- 「火を、吹いた?」
- フラナ
- 「そんでもってね、センセーの机ちょっと焦げちゃったんだよ〜(^^)」
そも大体、『すっごく静電気体質』であるにしろ、ノートパソコンが火を吹くような事態が起こり得るのかどうか。
…………疑問まったくナシ、状態での発言である。
- 花澄
- 「……それは相当凄かったでしょう(汗)」
ふと、連想する。
店長の机の上に所在なげに置かれたままの、表紙の焦げた本。
- 花澄
- (まさかその関連で、あの本焦げてた……わけでもないか(汗))
揚げたての鯖の団子をお皿に並べて。
- 花澄
- 「静電気でって……それは少し怖いなあ(苦笑)」
- フラナ
- 「うん、でもピカピカ光って奇麗だったよ(にこにこ)」
- 譲羽
- 「…………(想像している)……ぢいぢいぢいっ(ゆずも見たかったっ)」
- 花澄
- 「……そーじゃなくって(汗)」
……そーくるか(苦笑)
- 花澄
- 「綺麗かもしれないけど……先生のほうは災難ね(苦笑)」
- フラナ
- 「うん、センセーすっごくがっかりしてたよ。画面焦げてたし」
- 花澄
- 「…………(^^;)(堀川さんもお気の毒に)」
- フラナ
- 「(はむっ)……あちっ」
- 花澄
- 「あ(汗) 気をつけて……って、遅かったわね(苦笑) 大丈夫?」
- フラナ
- 「うん……」
- 花澄
- 「お水、持ってくるから」
そんな風な時間は、そう長くはない。
- フラナ
- 「ご馳走さまでしたっ(にこにこ)」
- 花澄
- 「どう致しまして(笑) ……フラナ君だと、作り甲斐があるものね」
小さな一室の、玄関を開けてやりながら。
- 花澄
- 「ね、フラナ君。今度の土曜日、私少し早めに仕事終わるんだけど、その後にフラナ君のアパート行ったら、駄目?」
- フラナ
- 「土曜……うん、いいよっ(にぱっ)」
- 花澄
- 「その時には、私、道具持ってご飯作りに行くから……ね、佐古田君もいるんでしょ? 一緒にご飯にしない?」
- フラナ
- 「うん!」
- 花澄
- 「……って、台所、ある?」
- フラナ
- 「えーとね、共同のガス台があって……お金入れると動くよ」
- 花澄
- 「成程……了解(笑) なら、作れるわね」
- フラナ
- 「うん……わぁ、楽しみだなっ」
- 譲羽
- 「ぢいっ(ゆずも行くのっ)」
- フラナ
- 「うん、ゆずちゃんも来てね(にこにこ)」
- 譲羽
- 「ぢいっ(こっくし)」
- 花澄
- 「じゃ……えーと、六時半くらいに瑞鶴に来てもらえます?一緒に買い物して ……で、風見アパートにつれてってもらえる?(汗)」
方向音痴は健在である。
- フラナ
- 「うん、大丈夫。……じゃ、今日はご馳走さまでした(^^)」
- 花澄
- 「どういたしまして(にこにこ)」
フラナを中心に、花澄、祐司、それぞれが顔見知りであることによる「情報漏洩」シリーズの第2弾です。(^_^;
時期としては、「そして始まりの春」より一ヶ月ほど後、フラナ君が大学や風見アパートに、それなりに馴染んだ頃だそうです。
(『筒抜け』も、大体同時期です)
- 初出
- 1999/5/28 "[KATARIBE 13091] [HA06][EP] 「夕餉の図」"
- 作者
- E.R
- (解説・文責
- ごんべ)
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