エピソード1022『やっぱり筒抜け』


目次


エピソード1022『やっぱり筒抜け』

登場人物

富良名裕也(ふらな・ゆうや)
通称フラナ。
大学に入学したが、どう見ても小中学生にしか見えない。
平塚花澄(ひらつか・かすみ)
四大の力を従え「春の結界」を身にまとう女性。
書店「瑞鶴」の店番にして欠食児童達の守護者、でもある。
堀川祐司(ほりかわ・ゆうじ)
静電気を操る、生きた電源装置。
紅雀院大学の考古学教室に助手で勤務。

本文

月曜日、紅雀院大学。
 昼過ぎ、今日の授業も終わり堀川祐司は研究室でコーヒーを飲みつつ、古びた分厚い本やコピー紙の積まれた山に囲まれていた。

祐司
「(ぺら) ふむ……(ずず)」

探している本。未だ連絡はない。

祐司
「隠匿された歴史か……(ぱたん)」

『吹利史』未だに見つかったという連絡はこない。

フラナ
「堀川せーんせ、こんにちはぁっ(^^)」
祐司
「おや、フラナくん」

研究室のドアを開けて賑やかに現れたのは、外見中学生くらいの元気な学生、講義に毎回顔を出している富良名裕也だった。机に山積みになった本を見て丸い目をしばたたかせる。

フラナ
「あれ、センセまた探し物してるの?」
祐司
「ああ……(本の山を見る) 文献が足りなくてね、そうだ一息入れるからフラナくんもおやつでも食べていくかい?」
フラナ
「うん! 食べる食べる〜〜(^0^)」

とことん遠慮という言葉を知らない奴である。

祐司
「じゃ、コーヒーも入れるからそこ座ってて(そろそろフラナくん用のカップを用意した方がいいかもなぁ……)」
フラナ
「はーい(^^)」

もらい物のチョコチップクッキーをほおばり、猫舌用にすこしミルクを多めに入れたコーヒーを飲む。

フラナ
「(ごっくん) センセ、本探してるの?」
祐司
「ああ、なかなか見つからなくてね、あちこちの本屋を覗いてみたんだけど」
フラナ
「花澄さんとこも?」
祐司
「花澄さん?」

個人名じゃわからないだろうが(汗)

フラナ
「えっとね瑞鶴って本屋さん。花澄さんはいつも店番してる人(^^)」
祐司
「ああ……あの人か」
フラナ
「うん、花澄さんねぇ、お料理上手なんだよ。僕いっつも夕ご飯食べさせてもらってるんだ(^^) それからね、花澄さんとこにはいっぱいぬいぐるみさんがいて……」
祐司
「えーと(汗)」

えんえんと……説明が続く。
 夕食をごちそうになってること、いつも遊びにいってること、ぬいぐるみがいっぱいあるということ、一通り、話を聞いてやっと口を開く。

祐司
「じゃあ、フラナくん。もし本が入るかもしれないって話を聞いたら、僕に教えてくれないかな?」
フラナ
「うん、いいよ(^^)」

あっちに筒抜けなら、こっちも筒抜け……

祐司
「フラナくん、もう一杯コーヒー飲むかい?」
フラナ
「うん、ちょーだいっ」

解説

フラナを中心に、花澄、祐司、それぞれが顔見知りであることによる「情報漏洩」シリーズの第3弾です。(^_^;
 「うふふふ、花澄さんに堀川さんのことが筒抜けならば……堀川さんにも花澄さんのことは『当然』筒抜けです(爆) 当のフラナに悪意は『まったく』ないです(笑)」(久志さん談、[KATARIBE 13185])
 ……だそうです(笑)。
 時期としては『筒抜け』『夕餉の図』の後に来ます。
 (解説・文責:ごんべ)

初出
 1999/6/2 "[KATARIBE 13185] [HA06]EP: 『やっぱり筒抜け』"
作者
 久志



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