エピソード1036『履歴書偽造?!』


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エピソード1036『履歴書偽造?!』

登場人物

布施美都(ふせ・みと)
過去の記録、記憶の無い少女。
過去の記録が無いため、履歴書の作成に苦労する。
紫苑(しおん)
金属生命体。
紫の猫、美形の男性、女性と、多様な姿に変じる事が可能。

経緯

紫苑
「にゃー」
美都
「あ、紫苑ちゃん、待ってたよ(にこ)」

窓から猫の姿で帰ってきた紫苑を、笑顔で迎える美都。
 床には、白紙の履歴書と顔写真が置いてある。

紫苑
「わざわざ“来い”とは、どうしたのですか?」
美都
「えっとね。竜胆さんのところでバイト雇ってもらえるかもしれないんだ」
紫苑
「竜胆さん……ですか、よかったですね」
美都
「でも、履歴書は必要なんだって。だから、作るの手伝って欲しいの」
紫苑
「なるほど、そういう事ですか。で、明日面接なのですね?」
美都
「うん、だから、急がないと」
紫苑
「わかりました。始めましょう」

そういうと、二人して部屋に寝転がり、履歴書を書き始める。

生年月日

美都
「名前……ふせ……みとっと……。性別、おんな。……生年月日?」
紫苑
「誕生日の事ですよ」
美都
「んー……覚えてないよ」
紫苑
「日は、適当で良いでしょう。問題は年齢ですね」
美都
「年齢かぁ……いくつなのかも覚えてない」
紫苑
「アルバイトをするのだから、学生である方が良いでしょう」
美都
「そっか。じゃあ……20歳にしとこうっと」
紫苑
「身分証明は、学生証が適当ですね。偽造するなら元があった方が良いですが……」
美都
「ユラさんに借りよう。じゃあ、誕生日もユラさんの借りちゃおっと……6月18日……と」
紫苑
「良く覚えていましたね」
美都
「うん」

学歴

美都
「次は……学歴、職歴?」
紫苑
「学生なら、職歴は必要ないですね。学歴です……」
美都
「とおくからこっちに出てきた方がばれにくいかな?」
紫苑
「そうですね。美都は言語が標準語ですから、東京の学校を選びましょう」
美都
「ん……じゃあ……適当に……っと」
紫苑
「ふむ、今の大学はユラさんの学生証を拝借するなら、同じ所が良いでしょう」
美都
「じゃあ、吹利大学……と。人が多い学部……文学部で良いや」

履歴書完成

美都
「資格、免許……“なし”じゃ駄目かなぁ?」
紫苑
「大丈夫だと思いますよ」
美都
「じゃあ、無しで良いや。次は……趣味?」
紫苑
「これも、好きに斯いて良い筈です」
美都
「紫苑ちゃんとお昼寝……とかはまずいよね……」
紫苑
「そ……それはまずいでしょう」
美都
「んー……料理!」
紫苑
「(下手の横好きですか……)」
美都
「あ、紫苑ちゃん、今“下手の横好き”とか思ったでしょう……(じと)」
紫苑
「良く分かりましたね」
美都
「いいもん。別に。一個ずつ覚えれば良いんだもん」

若干幼児退行しながら、書き込む。
 再び見渡してみる。これで大体埋まった。

美都
「これで良いかな?」
紫苑
「ええ、大丈夫でしょう」
美都
「できたぁ……」
紫苑
「お疲れ様です」

こうして履歴書は出来上がった。
 明日の面接さえパスすれば、レストラン『マリカ』でのバイトが始まるのだ。

解説

バイトをするため、履歴書を作る美都。自分の過去が分からない美都は、仕方なく(?)でっち上げる事に……。

時系列

1999年8月頃。「バイト探し」の日の夜。



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