- 紫苑(しおん)
- 学生証へと姿を変えている金属生命体。
- 布施美都(ふせ・みと)
- 過去の記憶、記録の無い少女。マリカのバイト希望。
- 豊秋竜胆(とよあき・りんどう)
- マリカの店長代理。
- 紫苑
- 「さて、じゃあ、私は学生証になりますから、持っていってくださいね」
そういうと、猫の姿から一枚のカードに変化する。質量、体積までもある程度自由に変化できるのだ。
- 美都
- 「うん、じゃあ、いってきます」
バイトの面接に向かう。今日は、まだ気温は高かったが、ブラウスにスラックスという格好をしている。美都にとっては、「おめかし」のレベルだ。
- 美都
- 「じゃあ、いって来るね」
- マヤ
- 「(いってらっしゃい)」
見送るのは、マヤひとり(?)。ユラは既に大学へ行ってしまっている。
- 美都
- 「しつれいします」
- SE
- カラン
ファミリーレストラン、マリカの扉を開け、中に入る。
開店してすぐの店内は、数人しか客がいなく、フロアの一つは締め切っている。
- 竜胆
- 「いらっしゃいませ。あ、美都ちゃん」
真っ先に反応したのは、店長代理の竜胆であった。
- 竜胆
- 「じゃあ、面接始めますから、こちらへどうぞ」
そのまま、締め切っているフロアのテーブルの一つに案内し、奥からいくつかの書類を持って来る。
- 美都
- (黙って座る)
- 竜胆
- 「じゃあ、始めましょうか……緊張してる?」
- 美都
- 「え……はい。面接ってグリーングラスの時にはなかったから……」
- 竜胆
- 「あ、そうなんだ。でも、店長さんとの顔見せはしたんでしょ?」
- 美都
- 「はい。一緒にお茶しただけでしたけど……」
- 竜胆
- 「それが面接だったんだよ〜」
- 美都
- 「あ、そうだったのかぁ……」
- 竜胆
- 「まあ、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ〜。じゃあ、履歴書見せて」
- 美都
- 「はい」
履歴書を見て、一応目を通す。
- 竜胆
- 「ん……了解。大学生ね……」
- 美都
- 「あの……本当は……」
- 竜胆
- 「うん、分かってる分かってる」
- 美都
- 「はい……ごめんなさい」
- 竜胆
- 「気にしないで。んで、どれくらい出れるの?」
- 美都
- 「えと……基本的に夕方から夜にかけての方が空いてます」
- 竜胆
- 「曜日はいつか指定はありますか?」
- 美都
- 「いえ、別に……」
- 竜胆
- 「あ……っと、大切な事忘れてた、ホールの方に入ってもらうので良いよね?」
- 美都
- 「えと……ホールってのはなんですか?」
- 竜胆
- 「あ、ごめん。ウェイトレスの事。調理場とウェイトレスは全然仕事内容が違うからね」
- 美都
- 「はい。どっちでも……でも、竜胆さんと一緒の制服、着たいなぁ……」
- 竜胆
- 「かわいい事言うのう……って、この制服、そんなに良い?」
- 美都
- 「ええ、かわいいと思います(にこ)」
結局、雑談をしただけで面接は終了した。
- 竜胆
- 「一応、店長の許可もらってから家に連絡するから。その時に入る時間を決めましょう」
- 美都
- 「あ、はい。分かりました」
- 竜胆
- 「じゃあ、今日はこれまでって事で」
- 美都
- 「はい! よろしくお願いします!」
- 竜胆
- 「うん。よろしくね(にぱ)」
そのまま、竜胆に見送られて外に出る。日のあたるところまでは見送ってくれなかったが……。
- 紫苑(学生証)
- 「旨く行ったようですね」
- 美都
- 「うわっ……紫苑ちゃんか……うん。大丈夫みたい」
- 紫苑
- 「これからがんばってくださいね」
- 美都
- 「うん! よおおぉぉっし、がんばるぞおおぉぉっ!」
むやみに気合いの入った美都であった。
ファミリーレストラン『マリカ』のバイトを始めるため、面接に向かう美都。
自作(捏造)した履歴書と、紫苑が変化した学生証を持っての面接である。
1999年8月。「バイト探し」「履歴書偽造?!」の次の日。
連絡先 / ディレクトリルートに戻る / TRPGと創作のTRPGと創作“語り部”総本部