エピソード1037『マリカで面接?』


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エピソード1037『マリカで面接?』

登場人物

紫苑(しおん)
学生証へと姿を変えている金属生命体。
布施美都(ふせ・みと)
過去の記憶、記録の無い少女。マリカのバイト希望。
豊秋竜胆(とよあき・りんどう)
マリカの店長代理。

偽装

紫苑
「さて、じゃあ、私は学生証になりますから、持っていってくださいね」

そういうと、猫の姿から一枚のカードに変化する。質量、体積までもある程度自由に変化できるのだ。

美都
「うん、じゃあ、いってきます」

バイトの面接に向かう。今日は、まだ気温は高かったが、ブラウスにスラックスという格好をしている。美都にとっては、「おめかし」のレベルだ。

美都
「じゃあ、いって来るね」
マヤ
「(いってらっしゃい)」

見送るのは、マヤひとり(?)。ユラは既に大学へ行ってしまっている。

面接開始

美都
「しつれいします」
SE
カラン

ファミリーレストラン、マリカの扉を開け、中に入る。
 開店してすぐの店内は、数人しか客がいなく、フロアの一つは締め切っている。

竜胆
「いらっしゃいませ。あ、美都ちゃん」

真っ先に反応したのは、店長代理の竜胆であった。

竜胆
「じゃあ、面接始めますから、こちらへどうぞ」

そのまま、締め切っているフロアのテーブルの一つに案内し、奥からいくつかの書類を持って来る。

美都
(黙って座る)
竜胆
「じゃあ、始めましょうか……緊張してる?」
美都
「え……はい。面接ってグリーングラスの時にはなかったから……」
竜胆
「あ、そうなんだ。でも、店長さんとの顔見せはしたんでしょ?」
美都
「はい。一緒にお茶しただけでしたけど……」
竜胆
「それが面接だったんだよ〜」
美都
「あ、そうだったのかぁ……」
竜胆
「まあ、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ〜。じゃあ、履歴書見せて」
美都
「はい」

履歴書を見て、一応目を通す。

竜胆
「ん……了解。大学生ね……」
美都
「あの……本当は……」
竜胆
「うん、分かってる分かってる」
美都
「はい……ごめんなさい」
竜胆
「気にしないで。んで、どれくらい出れるの?」
美都
「えと……基本的に夕方から夜にかけての方が空いてます」
竜胆
「曜日はいつか指定はありますか?」
美都
「いえ、別に……」
竜胆
「あ……っと、大切な事忘れてた、ホールの方に入ってもらうので良いよね?」
美都
「えと……ホールってのはなんですか?」
竜胆
「あ、ごめん。ウェイトレスの事。調理場とウェイトレスは全然仕事内容が違うからね」
美都
「はい。どっちでも……でも、竜胆さんと一緒の制服、着たいなぁ……」
竜胆
「かわいい事言うのう……って、この制服、そんなに良い?」
美都
「ええ、かわいいと思います(にこ)」
 
 結局、雑談をしただけで面接は終了した。
竜胆
「一応、店長の許可もらってから家に連絡するから。その時に入る時間を決めましょう」
美都
「あ、はい。分かりました」
竜胆
「じゃあ、今日はこれまでって事で」
美都
「はい! よろしくお願いします!」
竜胆
「うん。よろしくね(にぱ)」

そのまま、竜胆に見送られて外に出る。日のあたるところまでは見送ってくれなかったが……。

紫苑(学生証)
「旨く行ったようですね」
美都
「うわっ……紫苑ちゃんか……うん。大丈夫みたい」
紫苑
「これからがんばってくださいね」
美都
「うん! よおおぉぉっし、がんばるぞおおぉぉっ!」

むやみに気合いの入った美都であった。

解説

ファミリーレストラン『マリカ』のバイトを始めるため、面接に向かう美都。
 自作(捏造)した履歴書と、紫苑が変化した学生証を持っての面接である。

時系列

1999年8月。「バイト探し」「履歴書偽造?!」の次の日。



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