深夜、IRCのとあるチャンネルにて。
01:42 >HIKARU< あ、そーだ
01:42 <kamusake> はいはい
01:42 >HIKARU< かむにゃって、しょうせつかくんだよね
01:42 <kamusake> んみ
01:43 >HIKARU< 見たいっ
01:43 <kamusake> あははは(^^;
01:44 <kamusake> 送りましょうか(^^;
01:44 <kamusake> でかいのが一本ありますが(^^;
01:44 >HIKARU< やたっ(笑)
01:45 <kamusake> 輝さんのも見せて下さいね(笑)
01:45 >HIKARU< う〜ん、それはいいんだけどお、
01:45 >HIKARU< ほとんど電子化してなかったりする(汗)
01:45 >HIKARU< 授業中の内職だからノートに書いてるの(核爆)>創作
01:46 <kamusake> (^^;
01:46 <kamusake> んー。
しばし思考中。
まだまだ思考中。
01:49 >HIKARU< ねえねえ、かむにゃって、
01:49 <kamusake> ほい
01:49 >HIKARU< 吹利駅の方まで来てるんだよねえ?
01:49 <kamusake> んみ。そーですが?
01:49 >HIKARU< えっとお、……手渡しでもいい?>創作
01:50 <kamusake> ばっちりおっけーです(笑)
01:50 >HIKARU< どうしよっか? 暇な日とかあります??
01:50 <kamusake> んーと。
01:51 <kamusake> 今日とか(爆)
01:51 >HIKARU< ……別にいいですけど(苦笑) あ、でも11時以降ね。
01:51 >HIKARU< 眠いもんっ。
01:51 <kamusake> (^^;
01:52 >HIKARU< で、場所とかどうします? 近鉄吹利駅周辺かなあ
01:52 >HIKARU< (ちなみに、土地勘全くないです(爆))
01:52 <kamusake> んー。
01:52 <kamusake> ベーカリー楠って知ってます?
01:53 >HIKARU< まったく(きっぱり)
01:53 <kamusake> んみ。近鉄吹利駅の西口出たところから一本入ったところにあるパン屋 (兼 喫茶店?)なのですが
01:55 >HIKARU< ふにい。行けばわかるだろお(いい加減) 何時にします?
01:55 <kamusake> 3時くらいでいいのでは?
01:55 >HIKARU< 了解。今日の3時に、その、ベーカリー楠ってとこですね。
01:55 >HIKARU< あ、それとお、特徴教えて>かむにゃの
01:56 >HIKARU< わたしはねえ、
01:56 >HIKARU< 髪は黒でかなり長い。多分おろしているかな。
01:56 >HIKARU< 背は低めで、少々やせてる。
01:56 >HIKARU< 水色のワンピースに白のサンダルで行く……はず
01:56 >HIKARU< いじょー
01:57 <kamusake> ふみ。
01:58 <kamusake> こちらは、青いジーンズに、長袖ワイシャツ。で、髪は……この間散髪に行ったので、かなり短めのスポーツ刈りです。
01:57 <kamusake> 身長は176。ひょろりと痩せております(^^;
01:58 <kamusake> んで、眼鏡はかけてませんね(笑)
01:58 <kamusake> あと、たぶん、一番奥の椅子でノーパソいぢっていると
思うので、すぐに判ると思います(^^;
01:59 <kamusake> あ、もし判らなかったら、そこの店長も知り合いですので、「狭淵美樹」(あ、本名です(^^;)は誰かと尋ねて下さればだいじょぶですし。
01:59 >HIKARU< 了解でし。
01:59 >HIKARU< 話しがまとまったところで
02:00 >HIKARU< そろそろ落ちますね
02:00 >HIKARU< おやすみなさいでし
02:00 <kamusake> ほーい
02:01 <kamusake> おつかれさまー
翌日、昼下がりのベーカリーにて、待ち合わせの時間。
鈴の音と共に、二人の少女が入っていく。
どこか頼りなさげな様子の璃慧と悠。
店内を見回して、かむにゃを探す。
日曜日であるせいか、昼時でもないのに結構人がいる。
それぞれの客が、それぞれの時間の中にいた。
でも、鈴の音に誘われて、そのほとんどが扉の方を振り返る。
集中する視線。人見知りする璃慧や悠をおびえさせるには、十分だった。
明るく声をかけてくる店長。
我に返った璃慧は、軽く会釈を返して扉口から中へと入っていく。
悠はその後ろにぴったりつくようにいた。
談笑している4人の先客におびえつつ、店内を見回していると。
ようやく騒ぎに気づいたのか、奥の席に座っていた青年が顔を上げる。
その視線は、ちょうど中を不安げに見回していた璃慧のそれと重なる。
奥の方へ歩いていく璃慧。悠はその服の裾を掴んでいた。
はなれないようにぴったりと、あとをついていく。
テーブルの方に近づくと。
微笑みかけたまま、パソコンの蓋を閉じる。
一方外野は。
好き勝手言い合ってる。
ありふれた日常を満喫している人たち。
そのそばには、非日常を経験してるものたちもいる。
悠のほうをちらっと見てからすわる璃慧。
悠はおずおずとその隣に座る。
近くのテーブルでは。
滅茶苦茶言ってる(苦笑)
そんなこと意にもかいせず、がさがさと、机の下でなにやらしている美樹。
璃慧のほうも鞄の中からなにやら取り出す。
顔を上げたのを見計らって。
3,4冊のノートと5冊の同人誌を袋から出して手渡す。
これまたどさっと。9冊ほどのコピー誌と、2冊のオフセット誌。
さぞ、重かっただろうに……。
美樹の異常にひょろっとした体躯を見て、ふと思う。
二人とも夢中になって見ている。
一人ぼんやりとあらぬほうを見ている悠を見かねたのか、
外野から突っ込み。
話し掛けてきた人を不思議そうに見る璃慧。
知り合い、なのだろうか。
一体どういう関係なのか気になったが、とりあえず注文する。
本名を言いかけて、慌てて訂正する。
美樹の方は、璃慧の不思議そうな顔に気づいたのか、
説明してくれる。
挨拶なんかしていると。
からんころん、と音がなって、なにやら青年が入ってくる。
すくなくとも、見た目は普通の大学生のようだった。
5、6人であっても、人見知りには少々つらい環境。
しかも、かなり個性的で……。
どうしていいのか、固まってしまっている二人。
それを感じ取ったとは思えないが、とりあえず紹介も終えたので、
常連客の方からテーブルの方へと向き直って、
うなずく悠。それを確認して、
美樹が声をかける。
観楠は、空いている席に座って汗をぬぐっている狼介にレモンティーとお絞りを持っていっていた。
そのあと。
といっても、人見知りはそう簡単には直らない。
璃慧は、周りから逃げるように受け取った同人誌の方に見入った。
美樹の方も、ふたたび同人誌に視線を落とす。
同人誌を見ての感想。
正直言って不安だった。中学時代に作ったものである。
誰も経験者はいなかったのだ。
笑って返す。
何かを作るものとして、認めてもらえることほど嬉しいことはない。
常連客の方も。よほど暇なのか、椅子から身を乗り出して覗き込んできた。
前野と紹介されていた青年は、苦笑してこちらを眺めていた。
例によって、悠があらぬかたを見てぼーっとしていたせいだろう。
……、こうしてみていると、いい人たちなのかもしれない。
苦笑混じりに思う。
ようやく、彼女は変わった集団を受け入れつつあった。
ようやく自分たちの席に向き直った常連客たち。
すっかり、璃慧の中で「変な人たち」とされているのだが……。
璃慧たちの耳には入らないが、何かいっていた。
何かやっていることに気づいて、翡翠のほうに向き直る。
手をはなして返答する翡翠。なにやら奇妙な声を発するかける。
それだけで事態を察したのか、
どうやらいつものことらしい。
いまだ同人誌に目を落としている美樹。
璃慧はそんな美樹さんを不安と期待まじりに見ている。
どうやら、奥付をみたようだった。
絵を書ける人がいなかったので、璃慧が悠に頼み込んだのだった。
意識がすっかりあさってのほうに飛んでしまっているようだった。
璃慧は苦笑まじりに悠をつつく。
あきれかえる璃慧。美樹の方は気にもとめず、
ようやく、テーブルに目を落とし、
自分の絵が見られているらしきことに気づいて、
赤面してうつむく悠。
しばらく談笑は続いた。
時計を見ると、もう4時も半頃になっていて……
璃慧の方になにやらささやく悠。
とりあえず用事も終わったし、反対する理由はない。
同じく小声で悠に返した後、美樹のほうに向き直る。
席を立つ二人。
からんころん、と。
鈴の音と共に二人は店を出て、家路へ。
外は、暑かった。
まだ、蝉が鳴いていたある夏の午後の記憶……
1999年9月はじめのとある日曜日。
まだ夏の暑さが残るとある日曜日の午後、璃慧は悠と共にベーカリーを訪れた。
璃慧と悠の初登場時のエピソードです。
これが、何かの始まりだった……のかもしれない……。