- 白月悠(しらつき・はるか)
-
- 内向的な高校一年生。
- 最近の生活は9割までPCに依存(笑)
- 白月里花(しらつき・さとか)
-
- 悠の中一の妹。
- テレビゲームと機械いじりを好む。
- 母親
-
- 二人の母親。
- 一般常識は備えた人だがどこかずれているところあり。
- 父親
-
- 二人の父親。DTMを生業としている。
- しかし職種のわりにPC操作をなにも知らない(苦笑)
とある日の夕方、白月家にて。
- SE
- ばきっ☆
- 里花
- 「……へ?」
- 悠
- 「なんの、音?」
もくもくもくもく…………
黒煙が上がる。
- 悠&里花
- (あぜーん)
……時間は、少し前に遡る。
- 里花
- 「ねーお姉ちゃん、スーパーゲームボーイ知らない?」
- 悠
- 「……いまさら、あんなもの使うの?」
- 里花
- 「だって、友達からおもしろいソフト、借りてきたんだもんっ♪」
カラフルな、小さめの箱をちらつかせる。
- 悠
- (ため息)「はいはい」
- 里花
- 「どこ?」
- 悠
- 「そこらへんにない?」
『そこらへん』とは、テレビの周辺。
スーパーファミコンやプレイステーション、ゲームソフトやビデオテープの類が散乱しているあたりのこと……なのだが。
置いてあったはずの硝子テーブルが見当たらないのは……ソフトに埋没しているせいだろう。
- 里花
- 「んー、あたしもそう思ったんだけど、見つかんなくて」
- 悠
- 「だって昨日、そこに置いてたじゃない?」
- 里花
- 「ちゃんと見たよお……後で探そっと」
……時間の消費は気に食わないらしくて(苦笑)
里花はプレイステーションを起動させた。
- 里花
- 「お姉ちゃん、後でパソコン替わってね」
釘をさすことも忘れない(苦笑)
- 悠
- 「……メールのお返事書いたら、替わるよ」
- 里花
- 「はーい」
言質を取った里花はご機嫌で、ゲームを始めた。
それから、三十分ほどして。
- 悠
- 「(だいたい書き終わり、かな……)」
もう替われるよ、と声をかけようとした次の瞬間、テレビの方から。
- SE
- ばきっ☆
- 里花
- 「……へ?」
- 悠
- 「なんの、音?」
もくもくもくもく…………
黒煙が上がる。
- 悠&里花
- (あぜーん)
- 里花
- 「あ、画面っ……」
その声に、つと画面を見ると。
画面いっぱいに広がっていたはずの画像が、フェードアウトしていくときのように、どんどん小さくなっていくのが見て取れた。
- 悠
- (思考停止中)
音楽だけが、変わらず流れつづけている。
- 里花
- 「あ、えっと、あ、う」
音量も変わらずに。
- 悠
- 「あ……っと、お母さんっ!」
- 母親
- (台所から)「なに?」
- 悠
- 「テレビから、煙、出てる……(汗)」
がっしゃあああんと。
手に持っていた金属のボウルを取り落とす、お母さん。
- 母親
- 「かかか、火事になっちゃうじゃないっ(汗)ああ里花、水なんかかけるんじゃないわよっ(汗)」
慌ててテレビに駆け寄って、裏手の窓を明けて。
手近なレコードを手に、必死にテレビを扇ぐ。
- 母親
- 「里花、お父さん呼んで、悠はパソコン消して!」
…………家族四人がそろったリビングで、煙は五分後に消えた。
まだ、樹脂の焦げる異様な匂いは漂っていて。
- 母親
- 「あとは、家中の窓、網戸にして、換気扇回して、と……」
風のとおり道を、家中にはりめぐらせる。
- 父親
- 「また、すごい匂いだな、こりゃ」
感慨深げに、電源を切ったテレビを眺めやる、お父さん。
- 里花
- 「でも、ブレーカー飛ばなかったってことは、ショートしたんじゃないよね?」
- 父親
- 「抵抗が焼き切れたんだろうな」
- 母親
- 「無理もないわよ。一日24時間のうち、23時間は働いていたようなものだし」
- 父親
- 「え、そんなに使ってたか?」
- 母親
- 「ええだって、わたしたちが出かけている間は、ずっとあなたが意味もなくつけっぱなしにしてるし、夜も遅くまでついてるし」
- 里花
- 「あたしが起きたときに、ゲームやってること、多いもんね……(汗)」
- 悠
- 「それで、ゲームを止めたらそのかわりに朝のニュースがつくしね(苦笑)」
みんなの視線がお父さんに集中する。
- 父親
- 「ははは……まぁ、86年型だしな、古いから……」
- 母親
- 「天寿を全うした、とは言えるわね」
- 里花
- 「ヘー、あたしと同い年だったんだぁ☆」
- 父親
- 「おー、そういうことだ」
味方を得たり、とでも言うかのように、里花の頭をくしゃくしゃする。
- 母親
- 「まあ、どうせそろそろ引っ越すつもりだったし」
- 悠
- 「朝も図面書きながら、テレビが邪魔って騒いでたね、そう言えば(苦笑)」
- 母親
- 「そうそう、神様が、もっと小さなテレビにしなさいって仰ってるのよ、きっと」
ちなみにこの後、里花によって前の家で使っていた古いテレビ(82年型)が新しくセットされたが、その際いろいろと騒ぎがあったのは、お約束(苦笑)
2000年の1月7日。
この騒ぎで七草粥どころではなくなってしまった(苦笑)
なぜか古いものが多くある白月家。
そのなかのひとつが、今日、天寿を全うしました……
連絡先 / ディレクトリルートに戻る / TRPGと創作のTRPGと創作“語り部”総本部