- 平田阿戸(ひらた・あど)
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: 駄目な吸血鬼ハンター。ミリタリーマニアで妙なこだわりを持つ。
- 湊川観楠(みなとがわ・かなみ)
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: ベーカリー楠の店長。むかしはサバゲでならした。 : 最近、NHKで「映像の世紀」を見た。
- 本宮和久(もとみや・かずひさ)
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: もとベーカリーバイトの大学生。数少ない常識人の一人。
昼時の混雑も終り、学校帰りの学生が立ち寄るにはまだ早い時間のベーカリー楠。
- SE
- からんからん
黒のブッシュハットに黒いダブルのコートを着込んだ男が入ってくる。
- 観楠
- 「いらっしゃい」
- 平田
- (おや? パン屋だと思ったが喫茶店だったのか?)
店内を見回し、いずれにせよパンも売っているだろうと判断してカウンターへ進む。しかし……怪しい。
- 観楠
- (どこかで見たような………テレビで……………まさか!?)
何故か動揺する店長。
- 平田
- 「アンパン3つとクリームパン3つ。ああ、このプリソパンとかいうの1つ。………何か?」
- 観楠
- 「………いえ。(まさか、昨日NHKで見たあれでは!?)」
- 平田
- 「持って帰るので包んでください(……?)」
- 観楠
- 「………(間違いない! 記章こそないが、この黒いコートは!!)」
- 平田
- (聞こえてないのだろうか?)
店長、視線に気付く。
平田本人にそんなつもりがなくても、深めに被った帽子はは表情を隠してしまい、無言の威圧のようにも取れる。店長の脳裏に、『クリスタルナハト(水晶の夜)』、『アウシュビッツ』といった、不吉極まる単語が浮かんでは消える。
- 観楠
- (反射的に)「ハ、ハイル!」(ビシッ)
静まり返る店内。
ベーカリー楠店長楠観氏は後にこう述懐している。「ああしないとゲットーに入れられると思った。」と。
- 平田
- 「……………(思考中)…………………………ハイル」
とりあえず返礼。
- 平田
- 「………(冗談のわかるおもしろいパン屋だ。)」
そして明らかに誤解したまま去っていく平田。
しばらくして。
- SE
- からんからん
- 本宮
- 「おはようございまーす」
- 観楠
- 「も、本宮君、今、SSが! SSがうちの店に!!」
- 本宮
- 「はあ?」
取り乱す店長を前に茫然とするもとみー。
その後、気を良くした平田はベーカリーでの挨拶を「ハイル」と(勝手に)設定したのである。
1999年11月中頃のベーカリー楠。
駄目ハンター登場のエピソード。
既に普段着となっているSSのコート。本人は意識しなくなっていますが、知識のある人から見れば、嫌なものかもしれません。
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