2000年2月13日。バレンタイン前日の日曜日。
小春日、というものだろう。
窓からの光は室温よりも柔らかく。
紙の上を鉛筆が擦る音だけがある。
麻樹は眼を閉じる。
その言葉に麻樹は瞼を開く。
いつの間にか陽は落ちている。
寄りかかっていた柱から立ち上がる。わずかに身体が冷えている。
と、用具一式を片づけはじめる。
部屋の隅にある、ワンドアの冷蔵庫から無地の段ボール箱を取り出す。割とでかい。
片づけ終わった荷物を持ち。西夜も立ち上がり、その無造作な箱を受け取る。二人とも立ち上がってみると、身長はほとんど変わらない。
肩をすくめる。
くすりと微笑んでみせる。
いつもの様に下まで見送ってから、また自室に戻り。
さっきまで寄りかかっていた柱に同じポーズで寄りかかり。
ひとつ深くため息をつき。
瞼を閉じる。
(おわり)
バレンタインデー前日。
チョコレートを受け渡しする麻樹と西夜。