- 出雲大輔(いずも・だいすけ)
- 召喚絵師、出雲鄭雲の孫の孫。召喚絵師。
- 出雲真奈(いずも・まな)
- 鄭雲の亡き娘。……をモデルに鄭雲が描いた 召喚物。
- 本人の記憶もあり?
- 神田川英次(かんだがわ・えいじ)
- 大輔と真奈の目付け役。出雲鄭雲記念館の学芸員。忍者。
現在、鄭雲の作品のいくつかを修復するために、出雲大輔と真奈が住み込み修業中。
鄭雲の生家。
大輔が縁側でなにやら作業中。
真奈は自分の作業を止め、お茶を入れている。
いつものように、英次が庭から顔を出す。
- 英次
- 「よぉ」
- 真奈
- 「あ、英次さん、こんにちはぁ」
- 大輔
- 「あ、こんにちは……」
- 英次
- 「はかどってるか〜」
- 真奈
- 「いつも通りのペースですね(笑)」
- 英次
- 「いつも通りか、結構結構(笑)」
- 真奈
- 「今ちょうど小休止なんですけど……英次さんもお茶いります?」
- 英次
- 「ん、そうだな、もらおうか」
- 真奈
- 「いれますね(笑)」
- 英次
- 「ああ、悪いね(笑)」
- 大輔
- 「……」
- 英次
- 「ん、どうした、先生?」
- 大輔
- 「あ、いやまぁ……ちょっとね」
- 真奈
- 「自分のパソコンにつながるディスプレイを描こうと思ってるんですって」
- 英次
- 「ディスプレイ? ああ、パソコンにつながるテレビのことな」
- 真奈
- 「そうらしいです(笑)」
- 大輔
- 「(苦笑)」
- 英次
- 「で、また描いて出すわけか。 びよよんと」
- 大輔
- 「びよよんって何だ〜(苦笑)」
- 英次
- 「てきとうな効果音だ。 でも実際使うために描くんだろ?」
- 大輔
- 「そうです。で、考えているんですがねぇ……あれこれ面倒もあってなかなか(苦笑)」
- 英次
- 「ふーん……でも君なら、ちょちょいのちょいじゃないのか?」
- 大輔
- 「そんな簡単なものじゃないですよ(苦笑)」
- 英次
- 「いつも食ってる”飯”とかと同じなんだろ? あんな風にささっと描けば……」
- 大輔
- 「いや、ずっと使うものですからちゃんとデザインしないと。それに大きなものですから、形とるのとかも面倒なんす。 そのあたりをどうしたものかとねぇ……(苦笑)」
- 英次
- 「つまり、君にとってそいつは”大作”ってわけだ」
- 大輔
- 「そゆことで。 ”習作”とかも何点か必要になるかなぁ……」
- 英次
- 「まるで画家だな(笑)」
- 大輔
- 「失礼な。 これでも一応画家ですよ(笑)」
- 英次
- 「おれは『ドラえもん』だと思ってたよ(笑)」
- 大輔
- 「一般パソコンとの互換はとりあえず無視なんで、そこらのすりあわせはしなくても良いんですが……本気でやると面倒だし(苦笑)」
- 英次
- 「ん、どういうことだ?」
- 大輔
- 「理屈で描いてないんで他のとくっつけるとかはできないんですよ、基本的に。 だから、今デザインしてるのも自分のシステム用のディスプレイにしかならないんですわ」
- 英次
- 「なるほどなぁ……ん、まてよ?」
- 大輔
- 「?」
- 英次
- 「じゃあ、そこの”パソコン”も他との互換性はないのか?」
- 大輔
- 「ありませんね(笑) フロッピーやCDは……使えるのかな? まぁ読むことはできても、データを書き込むのはできないと思います(汗)」
- 英次
- 「なんじゃそりゃ(笑)」
- 大輔
- 「だからこいつは……実はパソコンに見える”何か”なんす(爆)」
- 英次
- 「おいおい、怖いこというなよ(苦笑)」
- 大輔
- 「怖い?(笑)」
- 英次
- 「その箱の中で小人さんがせっせと働いているかもしれんと?(笑)」
- 大輔
- 「まぁ、そうかもしれません(笑)」
- 英次
- 「機械に見えて、謎の生命体である可能性もあるわけだろ(苦笑)」
- 大輔
- 「ありうるなぁ(笑)」
- 英次
- 「そこまで分かってて、怖くないのか?(苦笑)」
- 大輔
- 「僕にとっては同じようなものだけど(笑)」
- 英次
- 「そうか。 まぁ、本人が納得してるなら良いけどな(苦笑)」
- 大輔
- 「……パソコン関係の規格とかって、数がありすぎて一つ一つ理解なんかできないじゃないですかぁ。 新しいのとかすぐ出てくるし(苦笑)」
- 英次
- 「パソコン買ったがすぐ時代遅れってのはよく聞く話だな。 それは規格が古くなるからなのかどうかは、俺はよく分からんが」
- 大輔
- 「単にスペックが上がるだけなのが普通ですけど……もちろん規格変更もあります。 OSが変われば、ハードも変えなくてはいけないとか、ハードに新しいのをつけるのに、OSがサポート、バージョンアップとか」
- 英次
- 「なるほどな」
- 大輔
- 「んで、それがどんな規格で、どれくらいのメリットがあるか、そして……生き残るのかどうか」
- 英次
- 「見極める必要もあると」
- 大輔
- 「あるんでしょうけどねぇ……それらに振り回されるためにパソコンを使いたいわけじゃないんですよ、僕は(苦笑)」
- 英次
- 「君を見てても、そういう技術向きじゃなさそうだしな」
- 大輔
- 「……ただ自分用の使いやすい道具が欲しい、それだけなんです(苦笑)」
- 英次
- 「なるほど」
- 大輔
- 「だから理屈をいっさい無視して、それらしいのをそれらしく実現するんですね(爆)」
- 英次
- 「でたらめだな(苦笑)」
- 大輔
- 「でたらめでもいいんですよ、使っている自分が便利に思えるようなものなら(笑)」
- 英次
- 「イラストレーターによる新製品の予想図とか、それらについてそうな性能が……君の場合、よく分からんが具体的な形になってるわけか」
- 大輔
- 「そういうことです。予想図で実際の製品のすべての機能をカバーはできないでしょうが、自分の欲しい部分に関してはおそらく製品以上のものになるんではないかなと。 描く人間の”夢”ですからね」
- 英次
- 「自分の望むものを実際に手にすることができる、か。 ……召喚絵師ってのはほんといいよな(苦笑)」
- 大輔
- 「召喚絵師じゃなくて……絵描きだったらみんなそうでしょ(笑)」
- 英次
- 「手にしたい、でもできない……から、みんな描くんじゃないのか?」
- 大輔
- 「そうかなぁ。理想を具体的なイメージとして表現したいってのがメインで、実際のものを手にするってのは結局おまけだと思うんですけど(笑)」
- 英次
- 「それはできるもののぜいたくだと思うぞ(笑)」
- 大輔
- 「うーん、そうなんかぁ?(苦笑)」
- 英次
- 「で、そのディスプレイはどんなのを描くつもりなんだ?」
- 大輔
- 「液晶タイプが良いかなぁ……画面でかくて薄いのが欲しいけど」
- 英次
- 「ぜいたく言ってるな(苦笑)」
- 大輔
- 「だから描くのも簡単じゃないんですよ(笑)」
- 英次
- 「そこらの見て描くってのはダメなのかい?」
- 大輔
- 「ん……いや、やるからにはオリジナル。 その方がぜったい長持ちするはず(笑)」
- 英次
- 「まぁ好きにしてくれ(苦笑)」
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