- 小松訪雪
- 松蔭堂の店主。ロングの茶髪。
- 前野みかん
- 人狼の少女。よく松蔭堂に遊びに来る。
- 前野浩
- 無道邸雑用係。みかんの兄代わり。
- 譲羽
- 少女人形に宿る木霊。松蔭堂によく遊びにくる。
某日、松陰堂。
春休みのまだ初め。
- SE
- からから
- 前野
- 「こんにちは」
- みかん
- 「こんにちはっ」
- 訪雪
- 「(奥から) ……おや、いらっしゃい」
沈黙。
まだ沈黙。
まだまだ沈黙。
- 訪雪
- 「(苦笑) そんなに似合わんかね」
- 前野
- 「いやその、似合う似合わない、というわけでは……(汗)」
つまり、髪の毛である。
茶髪のロングだった筈の髪が、金髪刈り上げ、と化している。
似合っているかどうかは、判然としない。
というか……似合っているとしても、判断がそこまで行く前に急ブレーキを踏んで立ち止まってしまう、というか何というか(苦笑)
- みかん
- 「……おおやさん、本物?(おそるおそる)」
返事の代わりに、訪雪は頭に手をやり、すぽりと抜き取る。
- 前野
- 「……かつらですか(何となく安堵)」
- 訪雪
- 「うむ、一君の友達が置いていったとかで、面白そうだから借りてきたんだが」
- 前野
- 「……お茶目な友達ですね(汗)」
一が付けても……同等か、いやそれ以上に珍妙であったに相違ない。
- 訪雪
- 「儂としては案外気に入ったんだが……そうか似合わんか、みかんさん(苦笑)」
- みかん
- 「…………」
そこで『うん、似合わないっ』と言いきるには、みかんは優しすぎるのだ。
- 前野
- 「ゆずちゃんは、その髪見たんですか?」
- 訪雪
- 「ん?(すぽんとかつらを被って) いや、今日はまだ来とらんからね」
かつらと思ってみると確かに、長めの髪を押しこんでいる分、どこか変なのだが……
と。
- SE
- とてとて☆
- 前野
- (うわさをすれば……(汗))
- 譲羽
- 「ぢいっ(ひょこっ)」
- 訪雪
- 「いらっしゃい、ゆずさん。元気にしとるかね?」
……。
…………。
………………。
- 譲羽
- ………………(((((((@_@;;;)
目をまん丸に見開いて訪雪を見ながら、譲羽は廊下の端まで後ろ向きに走って逃げて行く。
- みかん
- 「あ(汗)」
- 前野
- 「あ、逃げた(^^;;」
- 訪雪
- 「…………(汗)」
- 譲羽
- こそっ |_・)
それでも怖いもの見たさ(?)なのか、台所の扉の陰から覗いていたりする。
しばし、動きが無い。
そのうち、だんだんと小さな顔が歪んできて。
- 譲羽
- |_;)
- 訪雪
- 「…………(滝汗)」
- 前野
- 「ゆずちゃん、怖くないよ。ほらほら、訪雪さんだってば(汗)」
- 譲羽
- |_T)
……違うひとに見えるらしい(爆)
- 訪雪
- 「……………………(が〜〜〜ん)」
- 前野
- 「ちょっと失礼……(ごそごそ) ……ほら、これでどう?(^^;;」
どこからか取り出した手拭いで、すばやく訪雪さんにほっかむり。
- 譲羽
- |_・)
- 訪雪
- 「…………(汗)」
- 前野
- 「…………(汗)」
- 譲羽
- |_^)
ちょっと安心したらしい。
- 前野
- (苦笑)
- 訪雪
- 「……怖がらせてしまったか(痛恨) ……どれ」
すぽっと、ほっかむりと一緒にかつらもはずす。
譲羽の目が、もう一度まん丸になって。
- 譲羽
- 「ぢいっ(おおやさんだあっ)」
とてててて、と走りより、ぽふ、と飛び付く。
- 譲羽
- 「ぢいぢいぢいっ(ほんとうの、おおやさんだあっ)」
- 前野
- 「……ゆずちゃん、もう大丈夫?(苦笑)」
- 譲羽
- 「ぢいっ(こっくり)」
- みかん
- 「……(ほっ)」
- 訪雪
- 「……そんなに怖かったかね、ゆずさん?(おそるおそる)」
- 譲羽
- 「ぢいっ(思いっきりこっくり)」
- 訪雪
- 「……………………」
前野が笑いをかみ殺す。
みかんが困った顔になる。
譲羽は、とんと構った様子も無く、訪雪のひざの上でぽふぽふ跳ねている。
なんとも呑気な、春の一日である。
1999年 3月頃
松蔭堂での一こま。
まあ、見知った筈の人が眼鏡を外しただけで、わんわん泣く子供もいるということで……
連絡先 / ディレクトリルートに戻る / TRPGと創作のTRPGと創作“語り部”総本部