- 伊佐見光
- 超古代文明の生体コンピュータ。由摩の兄
- 伊佐見由摩
- いつも元気いっぱいな光ファイバー娘。
- 光
- 「♪〜〜〜(ふきふき)」
ここは、伊佐見邸の縁側。
光が、機嫌よく何かを綺麗に磨いている。
- 由摩
- 「……お兄ちゃん? 何してるの?」
- 光
- 「……ん? これかい?」
- 由摩
- 「うん」
- 光
- 「これはね、『デジカメ』だよ」
- 由摩
- 「でじかめ?」
- 光
- 「デジタルカメラのことだよ。つまりね、画像として写真みたいに撮ることが出来るカメラで、それを電子化処理してパソコンとかに取り込むことが出来るものなんだよ」
- 由摩
- 「ふ〜ん……カメラなんだ……」
一通り由摩に説明すると、また熱心にカメラを磨き始める。
- 由摩
- 「で……それで、何撮るの?」
由摩の素朴な質問。
だが、光はその質問にどきっとする。
- 光
- 「……え、えっ?(汗)」
何故か慌てる光。どうやら、なかなか人には言えないものまで撮るつもりらしい。
- 由摩
- 「どうしたの、お兄ちゃん?」
- 光
- 「い、いや、何でもない……んー、そ、そーだなぁ……」
とりあえず、その場を見繕う言い訳を考えてみる。
- 光
- 「ね、猫……かな?(汗)」
- 由摩
- 「猫ぉ? ……お兄ちゃん、猫撮るために買ったの?」
- 光
- 「た、例えばの話だよ。んー……後は……」
由摩を何とか納得させる為、いろいろ考えているらしい。
そんな時、痺れを切らした由摩が、光から直接思考を読み取ろうと、何気に抱きついてみる。
- 光
- 「お、おいっ、人の思考を勝手に読むなって……」
- 由摩
- 「お兄ちゃん……『猫』じゃなくて『ねこみみ』撮ろうとしてるでしょ?(じろっ)」
- 光
- 「(どきんっ) ……さ、さあ…何のことかな?(汗)」
とぼけてはみるものの、なんせ直に思考を読まれたのだから、嘘などつけるはずも無い。
- 由摩
- 「……はぁ〜……」
- 光
- 「い、いいじゃないかっ……趣味なんだから……(ぶつぶつ)」
- 由摩
- 「もう……そんなことばっかりやってると、かける君みたいに人から白い目で見られるよっ」
- 光
- 「うぐぅ……」
何も言い返せない光。
これでも、世間では良識のある社会人で通しているはず。
- 光
- 「あ、そうそう……まだあったよ」
さっきからずっと、使い道を考えていたらしい。
と、言うより、買う前に使い道を考えるべきだと思った由摩であった。
- 光
- 「例えば、オフ会とかやった時に、みんなの写真を撮ったりね」
- 由摩
- 「ふ〜ん……」
由摩の返事は何となく冷たい。
- 光
- 「な、なんだよぉ。デジカメで撮った方が便利なんだよ。後で、ネットを通じて、みんなに配ったりすることが出来るし、後、その場で、ちゃんと撮れたか、確認も出来るんだぞ」
- 由摩
- 「へ〜……そーなんだ……(じろっ)」
どうも、まだ由摩の誤解は解けない。
- 光
- 「もう……そんなに疑ってるなら、今度のオフ会には連れて行かないぞ」
- 由摩
- 「……えっ? オフ会っ?(喜)」
急に、由摩の顔がぱっと明るくなる。
- 光
- 「ああ……今度、かむにゃが花見オフ会するって言ってたんで、連れて行こうかと思ったんだけど……」
- 由摩
- 「あーんっ、ごめんなさい。もう、疑ったりしないから、連れてってよぉ……」
みんなと騒ぐのが好きな由摩にとって、オフ会に連れてってもらえないのは、致命的であった。
結局、何とかその場を誤魔化すことに成功した光だが……こんなことでいいのかと何となく自己嫌悪に陥っていた。
ある春の日の風景であった。
2000年の3月下旬
デジカメを買った光が、由摩と団欒をしている、平和な風景です。
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