エピソード1414『偶発邂逅』


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エピソード1414『偶発邂逅』

登場人物

譲羽(ゆずりは)
人形に宿った木霊。平塚花澄の擬似娘。
白い犬(白雲)
大学通り一帯を徘徊する異能犬。とても大きく、ふかふか。

本文

某日、瑞鶴近辺。
 冬の日が暮れるのは早く、既にあたりはとっぷりと闇の色に染まっている。
 細い路地を、とことこと人形娘が歩いている。
 
 と。

SE
にゅっ
譲羽
「ぢ?」

真っ白な、ふわふわの壁が、目前にぬっと……

譲羽
「………………(視線をずーーっと上げる)」

譲羽の頭より、もっと先までふわふわが続いて……いるなあ、と思った時。
 それが、くるり、と向きを変える。

譲羽
「…………?」
??
「おんっ」
譲羽
「…………ぢ?」

真ん丸い黒い目が、こちらを見ている。

譲羽
「…………ぢ……(なんだろ)」

目の下には、黒い鼻。
 それがぬーーーっと近づいて。

SE
とん☆

譲羽の額にぶつかる。
 ……まあ、相手にしたら、匂いをかぐ積りだったかしれないのだが。

SE
ぽてころんっ
譲羽
「ぢいっ(びっくり)」

……上を見ようとして、結果そっくり返っているものだから(汗)

譲羽
「……ぢいっ(憤然っ)」
??
「おんっ」
譲羽
「ぢいぢいっ(厳重抗議中)」
??
「……おんっ」
譲羽
「ぢいぢっ(抗議続行中)」

と……また、鼻先が伸びてきて。

SE
とん☆
SE
ぽてころんっ
譲羽
「……ぢいっ(立ちあがってぷんすか)」
??
「…………」

ぷんぷん怒る譲羽を、じーーーっと黒い目が見ていたが。

??     :(ふすん
鼻を鳴らす)
譲羽
「ぢい(恨みがましっ)」

飽きたのか、諦めたのか、そのままくるりとまた向きを変えて………
 静かな、足取りで歩いていった。
 
 白い壁が段々遠くなって……初めて譲羽は、ぽん、と手を打った。

譲羽
「……ぢ(犬さんだ)」

時系列

2000年一月中頃

解説

仙犬白雲と、木霊の譲羽の遭遇です。
 ……一応、魑魅魍魎を食らう筈の仙犬なんですが……
 彼の感覚に、譲羽は危険とは映らなかった模様ですな(笑)



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