- 平塚花澄(ひらつか・かすみ)
- 書店瑞鶴店員。けっこうぼけ。
- 平塚英一(ひらつか・えいいち)
- 書店瑞鶴店長。花澄の兄。それなりにぼけ。
某日、瑞鶴。
開店前。
つまりは、まだ人が居ない。
- 花澄
- 「………?」
倉庫から、店長が本を運んでくる。一部は棚に入れ、一部は棚の下の引き出しに入れる。
いつもの……ごくいつもの風景なのだが。
- 花澄
- 「……何歌ってんの、お兄ちゃん?」
- 店長
- 「あ?」
- 花澄
- 「……歌ってなかった?」
- 店長
- 「あー……ああ」
何だかよく分らない声を出して、暫しの後。
- 店長
- 「……声に出てたか」
- 花澄
- 「それはもうしっかりと」
- 店長
- 「ふむ…………」
こり、と、こめかみを指でこすって。
- 店長
- 「聞かなかったことにしとけ」
- 花澄
- 「……………………お兄ちゃん(じとー)」
- 店長
- 「言ってもいいけど、お前絶対後で文句言うぞ」
- 花澄
- 「言わなかったら、今文句があるんだけど」
- 店長
- 「……道理だ」
……そーかい?(汗)
- 店長
- 「ダンチョネ節ってあるだろ、水島新司さんの漫画に」
- 花澄
- 「……『男どアホウ甲子園』?」
- 店長
- 「それそれ」
- 花澄
- 「で、それが?」
- 店長
- 「昨日から頭の中を巡って離れんのだ」
- 花澄
- 「………………」
元々は、「沖の鴎と飛行機乗りは」で始まる曲である。某日、政治結社と大書した車のスピーカーから流れていたところから察するに、どうやら軍歌に属する歌らしいのだが。
- 花澄
- 「三途の川で、鬼集めて……お兄ちゃんだと野球はしないでしょ?」
- 店長
- 「そもそも鬼を集めるのが面倒だ(まじ)」
- 花澄
- 「……三途の河原で、いつまでもあぐらかいて座ってそう(ぼそり)」
- 店長
- 「……そんなとこだな(あくまでもまじ)」
茫洋と。
業の深さそのままに。
- 花澄
- 「で、なんでそれを言いたくなかったの?」
- 店長
- 「いや、俺は良いけど……うつらんか、こういうの?」
- 花澄
- 「…………あ”(汗)」
一度巡り出したら、この手の曲は頭の中でエンドレス状態になるもので……
- 花澄
- 「……改めて言われると、本当にうつる(憮然)」
- 店長
- 「そらみろ」
2000年の2月頃。
相も変らぬ瑞鶴の風景。
まあ、兄妹揃って、妙な漫画読んでたってことで。
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