エピソード1418『医者の卵の不養生』


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エピソード1418『医者の卵の不養生』

登場人物

狭淵美樹(さぶち・みき)
本好きの医者の卵。不養生。
狭淵麻樹(さぶち・まき)
美樹の双子の妹。医者。不養生ではない。
平塚花澄(ひらつか・かすみ)
書店瑞鶴店員。春の結界の持ち主。
平塚英一(ひらつか・えいいち)
書店瑞鶴店長。結構口は悪いかも。

本文

某日。
 しんしんと冷え込む雨が降っている。
 …………の割に、瑞鶴内部は暖かである。
 故に、常連が数名。
 ……暖を取っているのやら、本を探しているのやら。
 
 からからと、また硝子戸が開く。

花澄
「いらっしゃいませ……あ、狭淵さん」
美樹
「あ、こんにち…」

挨拶が一瞬止まったのは、レジの前の約1名のせいだったりする。

麻樹
「生きてたか」
美樹
「…………(汗)」
店長
「噂をすれば(苦笑)」
美樹
「へ?」
花澄
「いえ、風邪かなにか引いてらっしゃるんじゃないかって、今、話してたとこなんです(笑)」
美樹
「……実はそうなんですが(汗)」
花澄
「ここ1週間ほど、お見かけしなかったから、多分そうじゃないのかな、と(苦笑)」

……1週間見かけなければ、風邪を疑われる。
 常連中の常連たる所以である。

店長
「それで、具合の方は如何です」
美樹
「ここ二日ほどごろごろしてたんで、おおむね大丈夫かと」
麻樹
「……『おおむね』か(ぼそ)」
美樹
「…………(汗)」
麻樹
「それで兄貴、今から大学か」
美樹
「ええまあ。仕事もありますし……」
花澄
「お仕事も?」
美樹
「ええ……まー、大丈夫でしょう」

ちょっと沈黙。
 ……えらい疑わしげな顔になった二名を見やって、店長が苦笑した。

店長
「狭淵さん」
美樹
「はい?」
店長
「もし、私か花澄が同じような体調で、今から仕事に行く、と言ったら、お医者さんとしてどう言われます?」

………五秒経過。
 
 ……………十秒経過。
 
 …………………十五秒を数える前に、ぷっと花澄が吹き出した。
 

美樹
「あ”ーーと(汗)」
麻樹
「…………(嘆息)」
店長
「……お大事に(苦笑)」

時系列

2000年二月初め。

解説

医者の不養生という言葉はありますが。
 医者の卵もまあ似たようなもの…………なんでしょうかねえ?
 瑞鶴での常連と店員達の会話です。



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