エピソード1420『蒼穹無窮』


目次


エピソード1420『蒼穹無窮』

登場人物

平塚花澄(ひらつか・かすみ)
書店瑞鶴店員。かなりのぼけ。
平塚英一(ひらつか・えいいち)
書店瑞鶴店長。花澄の兄。相応にぼけ。

本文

永遠の相に向かって、手を上げる。

店長
「………何やってる(呆)」
花澄
「……へ?」
店長
「空に手を突き出して。何やってる」
花澄
「……伸び」
SE
ばっこん☆
花澄
「……何で叩くんですっ」
店長
「暇を絵に描いたような格好してるんじゃないっ」
花澄
「まだ開店前でしょうっ?!」
店長
「店の中に、せめてひっこんでやれ、そういうことはっ」

なんの喧嘩やら(苦笑)

花澄
「いいじゃないですか、良い天気なんだし」
店長
「……せーめて。公園かどっかに行ってやれ(厳命)」
花澄
「…………」

公園に行っている暇が、あるわけでも無いので。
 多少ぶすっくれて、花澄は外に目をやる。
 
 灰色の壁やまだ枝が剥き出しのままの街路樹の向こうに。
 広がる。
 
 広がる………

花澄
「……青い、なあ………」

伸びる。
 延ばす。
 
 永遠の相に、手を伸ばす。
 
 それは多分。
 永遠から既にはみ出てしまった……と、既にして悟ってしまった者の仕草。

花澄
「………青い」

静かに。
 繰り返す言葉の中に。
 やはり、広がる………

店長
「ああ……」

広がる。
 青。

時系列

2000年3月初め

解説

打ち寄せる波のように、空が青い日と言うのも繰り返されますが。
 打ち寄せる波一つ一つが異なるように、青の色が違っていたり。
 ああ綺麗ですねえ。
 ……瑞鶴、日常の一幕です。



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