そう、それは夜空を切り裂く美しい一筋の流星。
その流星は、適当な、そう、実に適当な、いや、テキトーと書くべきか?
……とにかくそんな風な軌跡を描き。
そして全くいい加減な効果音をたてながら。
山中に墜落した。
流星が墜落した場所には、なんだかまあそれなりの大きさのクレーターができ、クレーターの中央にはドッヂボールぐらいの大きさの卵が転がっていて。
流星の正体はこの卵だったらしい。
卵の殻にヒビが入る。
殻が破れ、中から出てきたのは……
燕尾服に片眼鏡をかけ二本足で立つカメレオン。手には白い手袋を着用している。
おもむろにそのカメレオンは拳を握り……
右ジャブ三連発。
左フック。
最後に右アッパー。
墨汁よりも黒い夜空に散りばめられた星の輝きを見上げながらカメレオンは笑みをもらした。
で、さっきの素人くさいシャドウは何だったの?
カメレオンは左右をきょろきょろを見回し
やけに説明くさいですね。
何か釈然としないものを感じながらカメレオンは鞄を取り出し、さがごそと何か丸まったものを中から引っ張り出す。
鞄から取り出されたそれの大きさは、鞄よりずっと大きい。
カメレオンが何がしか言葉を唱えると、それは広がり、文字や複雑な記号のようなものが描かれた一枚の敷物になった。
の、狼煙ですか……?
誰に向かって話てんの?
カメレオンが広げた敷物から、青白い光がひとつづつ打ち上げられ、夜空に消えてゆく。
光の打ち上げが終わるとカメレオンは何がしか言葉を唱え、
ハミングしながら敷物を丸め、鞄の中へグイグイと押し込む。
作業を終え「ふう」と一息つくと、拳を握り締め。
一人で気合いを入れると鞄を掴み、夜の闇の中を街へと向かってカメレオンは歩き出した。
ちなみに歌うのはあまり上手ではない。
2000.4
カメレオン大地に立つ!!