エピソード1432『これから始まる大冒険』


目次


エピソード1432『これから始まる大冒険』

登場人物

金元吉武(かなもと・よしたけ)
貧乏で無口な武術修行者。今回はほんのちょい役。
カメレオン(かめれおん)
魔法の国からやって来たらしい不思議でおちゃめなカメレオン。

天空よりの使者

SE
キラリン……

吉武
「流れ星か……」<夜空を見上げながら

そう、それは夜空を切り裂く美しい一筋の流星。

吹利市某山中

SE
ひゅーーーーー……

その流星は、適当な、そう、実に適当な、いや、テキトーと書くべきか?
 ……とにかくそんな風な軌跡を描き。

SE
ひゅるひゅるひゅるひゅるひゅる〜〜〜〜〜〜

そして全くいい加減な効果音をたてながら。

SE
どかーーーーーん

山中に墜落した。
 流星が墜落した場所には、なんだかまあそれなりの大きさのクレーターができ、クレーターの中央にはドッヂボールぐらいの大きさの卵が転がっていて。

「………………」

流星の正体はこの卵だったらしい。

ぴきぴきぴきぴき…………

卵の殻にヒビが入る。

ぴきん……ぱきぱきぱき……ぱきん

殻が破れ、中から出てきたのは……

カメレオン
「…………」

燕尾服に片眼鏡をかけ二本足で立つカメレオン。手には白い手袋を着用している。
 おもむろにそのカメレオンは拳を握り……

カメレオン
「シュシュシュ……」

右ジャブ三連発。

カメレオン
「シュッ……」

左フック。

カメレオン
「シュッ!」

最後に右アッパー。

カメレオン
「ふふふ(初めの"ふ"にアクセント) ……成功です(にや)」

墨汁よりも黒い夜空に散りばめられた星の輝きを見上げながらカメレオンは笑みをもらした。
 で、さっきの素人くさいシャドウは何だったの?

カメレオン
「人間界への影響を最小限に止めつつ無事着地です。むふふふ("む"にアクセント)……」

カメレオンは左右をきょろきょろを見回し

カメレオン
「人間に見つかる訳にはいきませんからね。私の仕事は人間社会に魔法の国の存在を認知されないように気をつけながら、人間界で見出した人間を魔女っ娘にして魔法の国へ連れて行くことですからね」

やけに説明くさいですね。

カメレオン
「…………(汗)」

何か釈然としないものを感じながらカメレオンは鞄を取り出し、さがごそと何か丸まったものを中から引っ張り出す。
 鞄から取り出されたそれの大きさは、鞄よりずっと大きい。
 カメレオンが何がしか言葉を唱えると、それは広がり、文字や複雑な記号のようなものが描かれた一枚の敷物になった。

カメレオン
「……うむ、では早速、無事着陸の狼煙を上げましょう」

の、狼煙ですか……?

カメレオン
「あー、狼煙と言いましても、本当に煙ではなくて、何と申しましょうか、そう、ニュアンス的に狼煙な感じでございまして。とにかく魔法の力で……」

誰に向かって話てんの?

カメレオン
「…………(汗&青筋)」

人間界で大冒険

魔法狼煙
「ワレ、ブジ、ニンゲンカイニトウチャクセリ、ミヤゲヲマテ」<という意味のサインを何処かに送ったらしい

カメレオンが広げた敷物から、青白い光がひとつづつ打ち上げられ、夜空に消えてゆく。
 光の打ち上げが終わるとカメレオンは何がしか言葉を唱え、

カメレオン
「♪♪♪〜〜〜〜〜んんんん」

ハミングしながら敷物を丸め、鞄の中へグイグイと押し込む。
 作業を終え「ふう」と一息つくと、拳を握り締め。

カメレオン
「さて、がんばって見つけ出しましょう」

一人で気合いを入れると鞄を掴み、夜の闇の中を街へと向かってカメレオンは歩き出した。

カメレオン
「♪女王陛下の御命令〜 ♪魔法の国を守るため〜 ♪愛と調和と幸福(しあわせ)の〜」

ちなみに歌うのはあまり上手ではない。

時系列

2000.4

解説

カメレオン大地に立つ!!



連絡先 / ディレクトリルートに戻る / TRPGと創作のTRPGと創作“語り部”総本部