冒険帝国プレイレポート:『四階の十三階段』等


目次



冒険帝国プレイレポート:『四階の十三階段』等


ごあいさつ

 「語り部通信倶楽部」の皆様、初めまして。 ごんべ と申します。
 TRPG関連のサークル情報をチェックしている方の中には、『冒険帝国』
の堀田拓司、と言えば思い出していただける方もいらっしゃると思います。
 先日その『冒険帝国』の例会が行われた際、初めて「語り部」をプレイさせて
いただきましたので、ご挨拶を兼ねて投稿させていただきます。長文ではありま
すが、よろしくお付き合い下さいませ。



プレイレポート


 去る9月29日(日)に、近鉄郡山駅近く「三の丸会館」にて、『冒険帝国』
9月例会の中の一卓として「語り部」をプレイしました。
 更毬(富田)さんがGMの「狭間07」、西生駒高校ものです。



メンバー


 GMは更毬さん(でよろしいんですよね?(^^;)で、プレイヤーは男性4名・
女性1名の、計5名でした。

 私にとっては、プレイヤーとしてはそのうちの一人(タケル君のプレイヤー)
としか一緒にプレイしたことがなかった上に、初めてのGM/初めてのシステム
と来て、非常に新鮮なプレイとなりました。



PCの作成


 「学園退魔もの」というGMの表現に惹かれて座った5人のプレイヤーたちは、
「能力は好きに決めていい」と言われてびっくり。一人のプレイヤーにいたって
はGURPSからの持ち込みを志向していただけに、これには面食らったのでは
ないでしょうか(しかも「持ち込み? できるよ」とも言われた日にゃぁ……)。

 特に退魔ものの華、各PCの特殊な能力を決めるときには、GM/プレイヤー
間で互いに「参考文献」(^^;を提示し、懸命にイメージのすり合わせが図られて
いました。
 その際にあげられた「参考文献」を紹介します。

  ● 「GURPS 妖魔夜行」(GURPSサプリメント)
  ● 「ハイスクール・オーラ・バスター」(シリーズもの小説)
  ● 「X」(コミック)
  ● 「うしおととら」(コミック)
  ● 「幽遊白書」(コミック)
  ● 「GS美神 極楽大作戦」(コミック)

 うーむ(^^; こんな感じでホントに合ってるんですか(笑)? 「狭間」って。

 ごんべの場合は、どっちかというとPCのイメージ(特徴等)を考えるのに非
常に悩みました。
 能力は結構すんなり決まったんですが、それを使う人間のイメージがわかない
わけです。性別さえ思いつかない(二つしかないんですが(^^;)。しかし、前も
ってよくイメージを固めておかないと、このシステムでは非常に困ると言う予感
がしたため、一生懸命考えました。

 結果、ごんべの作ったキャラクターは「桂 真言」(かつら・まこと)と言う
女性PCとなりました。能力は「カードマスター」です。
 桂を含めて、男性2・女性2・妖怪(一応「男性」)1、の5人のPCが出来
上がりました。その面々は、下記の通りです。

    水無月 翔  体内の力を光の剣と化して使える光剣使い。
           出典は「ハイスクール・オーラ・バスター」ですね。
           2年生、生徒会役員でもあります。
    枡川 雅史  通称「すか(ちゃん)」。唯一の一年生です。
           全員が出典を知っていたため、「不幸:3」が
           特徴に追加されました(笑)。
    風間 涼   イギリス系ハーフ。予め張っておけば中で何をしても
           誰にもバレない(?!)「時空結界」の使い手。
           ヒーリングも出来るかわいらしい女の子です。
    タケル    生物準備室の人体模型が魂を持った、器物妖怪。
           「内蔵アタック!」には爆笑の渦が(^^;。
    桂 真言   もひとりの女子。ごんべのPCです。
           大アルカナのカードを使って、カードから連想できる
           何らかの効果を発動できる、一種の符術師です。
           特徴「マイペース」が3入ってます(^^;。



プレイ報告


 午前中はキャラメイクに充て、午後からプレイ開始。
 シナリオは「四階の十三階段」です。
 幸か不幸かごんべはこのリプレイをダウンロードしていなかったため、「語り部」
初心者向けとしてちょうどいいと言うGMの判断の妨げにならずに済みました。
 PCは全員西生駒高校(略してニシコマ、と呼びました(笑))の生徒。導入は、
「例の生徒会長」に呼ばれて依頼を受ける、と言うものです。

 この日はさらにもう一本「顔喰らい」というシナリオもプレイされ、各3時間、
計6時間プレイが行われました。
 物語は翔くんのプレイヤーの方がリプレイにしてくださると言う話が未確定で
すがありますので、ここでは割愛させていただきます。機会があれば、翔くんの
プレイヤーの許可を得た上で転載いたします。
 プレイの進行は非常に順調で、シナリオは落とし所をちゃんと押さえてあり、
更毬さんのマスタリングも冴えわたっていました。本当にうまいGMさんに久し
ぶりにお会いできた気がします。

 この日のプレイでは、PCのアクションややりとりの暴走ぶりがよくバランス
の取れた(?!)面白いものに仕上がっていましたが、中でもすかちゃんとタケル君
に軍配が上がるでしょう。
 すかちゃんは「ゲーセン一直線のゲーマーでありながら、先輩に好きなように
もてあそばれる不幸な少年」を地で(^^;演じてもらいましたし、タケル君は、あ
る種滑稽な「人体模型の妖怪」を、奇をてらわず(いや、充分てらってたかな?
(^^;)真正面から演じてくださったのが大爆笑を呼んでいました。
 ちなみに、ごんべの不幸のダイスにガンガン付き合ってくれたのは、GMとこ
のお二人です(笑)。



PCに一言


 ごんべのPCは、能力的には強いのですがあまりキャラクターとして「立つ」
事が出来ませんでした。PCのイメージが結局固まらなかったことが敗因です。

 それでもまあ、強いPC、らしいです。能力がですね。ただし、それを補って
余りあるハンデを背負っているような気もする(^^;。

 その代表は、不幸のダイス。
 目標値7で3回振り直したことが2回(うち1回は、それでも失敗(^^;)、
目標値6では1回(これも結局失敗)。これは終盤にさしかかってから他人にま
で伝染し、最後にはGMをも不幸のどん底にたたき落としました(笑)。……もし
かしたら、やっぱり強いのか?(^^;

 と言うわけで、君には次の設定を追加しよう(笑)。 >まこと

  特徴   : よく考え込む           :1
         イメージトレーニングが得意    :1
         慎重               :2
         他人に「まこと」と呼ばれたくない :1
  足手まとい: プレイヤーのダイス        : -50CP
                         (ゲームが違うって(笑))


 確かに、能力的には美味しい場面もかなりもらっていきましたが、その分能力
の使い所には苦労しました。能力の特徴として初めに決めていたのが、全てのカ
ードは1シナリオに各1回しか使えない、つまり「さっき出来たことでも二度は
出来ない」と言うこと。22枚もあるとはいえ、その辺はTRPGとしては滅多
にないシチュエーションです。
 だから、プレイ中は考える考える(^^;。1回きりだから、使う方としては必死
です。仕事中でもあんなに考えることはしたことないぞ(笑)。



「語り部」の印象


 実は未だに「語り部」のルールを全部把握できていない(失礼m(__)m)のです
が、今回のプレイで私が感じたのは、まず「成長を念頭に置いていないゲーム
(?)」だな、と言う点、次に「そんなゲームは久しく見ていないなあ」と言う
点でした。
 そして同時に「妙な居心地の良さを感じた」と言ったら、頷く方はどのくらい
いらっしゃるでしょうか。


 「ロールプレイを支援するシステム」と言う言葉が最近使われていますが、
この「語り部」は、まさに「プレイヤーの内側から自然発生するロールプレイ」
をしっかり支援してくれるシステムと言えるでしょう。

 『数値をきちんと管理するシステム群』(GURPSや RoleMaster が最右翼)
 『ロールプレイを一種の訓練やチャレンジと位置づけているかのようなこれま
  でのゲームのあり方』
   (プレロールドキャラクターなど。これをしっかりと演じきるのも一種の
    「楽しみ」ではあるのですが……)

と言った既存のRPGから対極にあるRPG、と言うものは常々提唱されてきま
したが、プレイヤーの自由な想像力の発現を真に手助けしてくれるシステムはな
かなかありません。
 現在言われている「ロールプレイ」とは結局「外付けのロールプレイ」でしか
なく、プレイヤーとPCを「切り離しすぎ」なのではないか、と思います。つま
り、ロールプレイ・RPGとしては正しいあり方だが、遊ぶ側としては面白くな
い、あるいは受け入れられにくい、と。
 それは例えば、無理な性格付けをしても所詮ロールプレイはうまくいかない、
盗賊として活躍したいのにレベル1のシーフではシナリオの初めでいきなりスリ
に失敗して刑務所送りになったりする、しかし「それがRPGだ」と言われて従
わざるを得ない……そんな点です。「物語」を楽しみたいプレイヤーなら、「そ
んな物語」には参加したくない。それでも楽しむためには、GMもプレイヤーも
相当の技量(と覚悟?)が必要となるのが、今の現状です。

 「私がRPGに求めたのはこういう感覚じゃなかった」と離れていくプレイヤ
ーがいるのは、そんな「切り離そうと言う作為」がシステムなど(もしかしたら、
周囲のプレイヤーも含むかも知れません!)を通して感じられるために居心地が
悪くなるから、あるいは敷居の高さに絶望して興味が薄れていくからではないか
と、ふと感じました。
 ゲームとして空想の世界を楽しんで遊ぶからには、主体はあくまでプレイヤー
である。プレイヤーが楽しむためにゲームはある。この言い古されたごく当たり
前のことを、もう一度考え直すのも必要なのかも知れません。

 今回の「語り部」のプレイでは私は、
  「荒唐無稽な○○ゴッコのお話に参加し、それでも登場人物の一人として
   振る舞おうと夢中になる自分」
を感じることが出来ました。これはゲーマーとなった自分が久しく忘れていた感
覚であり、逆に、RPGの本当の姿を示す感覚に違いないとも思います。
 そして「語り部」の作者の sf さんには、
  『参りました。多分あなたの思うツボです。』
と言う言葉を捧げましょう。居心地がいいので、文句はありませんが(^^)。


 同じような感覚を持った方が他にもいらっしゃるといいなあ、と思いつつ、今
回は終わりとしたいと思います。またの機会にお会いできると幸いです。
 長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。



                          ごんべ(堀田 拓司)

                      TRPGサークル『冒険帝国』代表
          Mail Address on Internet : GFF02522@niftyserve.or.jp



連絡先 / ディレクトリルートに戻る / TRPGと創作“語り部”総本部