学園退魔もの:進行ガイド


目次



学園退魔もの:進行ガイド


シナリオの流れ

 このサプリメントとしては、学園退魔ものの基本的なシナリオの流れとして
以下のようなものを提起します。
 別冊宝島144『シナリオ入門』(雑誌65986-26 ISBN4-7966-9144-8 1010円)に
掲載されている「シド・フィールドのワークブック」なる映画のシナリオの書
き方についての本を参考に分析したものです。

	------------------------------------------
	↑              事件の前置き
第一幕	|
	↓☆事件の発覚
	------------------------------------------
	↑           事件について調べる
	|
	↓
第二幕	☆事件の原因の発覚 --------------------
	↑           原因について調べる
	|
	↓☆原因の除去法の発覚
	------------------------------------------
	↑      原因を除去するために行動する
第三幕	|
	↓
	------------------------------------------

 この場合の事件とは超常的な事件のことで、原因とは超常現象を起こしてい
る存在のことです。
 シナリオの流れをあらかじめサプリメント側で提示してしまうことによって
ダンジョンものなどと同等の「何をしたら良いのか明確に分かる」シナリオを
作ることができると思います。

 各段階の注意事項などを次項から細かく考えて行きます。



事件の前置き

 舞台の状況描写、シナリオにかかわってくる重要人物との出会いと描写など
を行なって、事件を起こす前準備を行なう幕です。
 謎の事件が起こっているとのうわさを聞かせたり、休んでいる学生が居るこ
とを指摘したりして伏線なども幾つか張っておくと良いでしょう。



事件の発覚

 超常的な事件が発生したことがPCに発見されます。PCの目の前で怪異が起こ
るとか、PCに超常現象が起こった証拠が提示されます。
 事件が発覚することによって事件の前置きの幕を終わらせて、事件について
調べる幕に入ります。
 ちょっと雑魚と戦わせるのも良いでしょう。



事件について調べる

 PCはいったい何が起こっているのかを調査します。
 事件の事例を集め、事件に出くわした人間に聞き込みをして、事件の痕跡か
らなにかが得られないかを調べてまわるのです。

 調査中には各種の妨害が発生するはずです。教師や他生徒の無理解、物理的
障害、ある情報を得るためには別の事をしてからでないとならない、などです。
 特に、原因となる存在がPCなどに見つかりたくないために妨害することは、
逆にPCに原因を突き止めるヒントを与えることになるでしょうから、マスター
はうまく使ってください。



事件の原因の発覚

 超常的な現象を引き起こしていた存在が何であるかをPCが理解します。それ
は超能力を持つ人間であったり、ポルターガイスト現象を引き起こしている思
春期の少女であったり、昔から居る妖怪がなにかのきっかけで出てきたのだっ
たり、事故死した幽霊であったりするでしょう。
 この原因の設定こそがマスターの腕の見せ所です。
 事件の原因が発覚することによって事件について調べる幕を終わらせて、原
因について調べる幕に入ります。
 ここで戦って一時的に敗北させたり撤退させたりするのも良いでしょう。こ
の時点ではPCではほぼ倒せない程度の強さ、おおよそ最高技能値が+3程度に
しておくと楽しいかと思われます。



原因について調べる

 原因となる存在が発覚したので、次はその原因を何らかの方法で取り除くこ
とを考えることになります。
 別に強攻策である必要は有りません。止めるように説得するなり、悪いこと
だと自覚させるなり、欠けているものを与えて満足させるなりという手段も有
りますから。
 強攻策を取るにせよ、懐柔策を取るにせよ、原因となる存在について詳細に
調べあげることが肝心です。敵を知り己を知れは……と言いますよね。

 この幕では原因となる存在についてPCが詳しく調査していくことになります。
 当然ながら妨害も厳しくなる事と思われます。



原因の除去法の発覚

 原因となる存在について詳細に調査した結果、原因を取り除く方法を発見し
た時点で原因について調べる幕を終わらせて、原因を除去するために行動する
幕に入ります。
 取り除く方法とは直接の弱点などでなくても、説得の鍵となる言葉や物品、
何を不満に思って事件を起こしているかの動機なども含まれるでしょう。
 調査で得たのは、ルール的にはPC側が有利になるような特徴なります。例え
ば「敵の弱点」「敵の好み」「悩んでいる原因」などの各種の特徴です。これ
らの特徴を利用して、原因を除去すべく最後の行動に挑むことになります。



原因を除去するために行動

 それまでに得た情報や特徴を駆使して原因を弱体化し、再び事件が発生しな
いようにします。
 事件の再発が防げたならは、それでシナリオは終了です。



情報の得方・与え方

 この部分は、更毬静夢さんの原稿をもとにして、私sfが増補・改定して書い
たものです。

 現代物シナリオをプレイしたことのある皆さんには解って頂けると思います
が、ファンタジー慣れしてしまっている人間には現代では情報収集が難しく思
えることがあります。
 ファンタジーの世界なら盗賊ギルドや魔術師ギルド等がありますが、現代で
はその様な物はないからです。
 まだ大人なら色々と方法もあるのですが、高校生ともなるとさらに限られて
いきます。
 サプリメントが学園退魔物なので、特に高校生に絞って情報収集の方法を提
案します。これはGMばかりでなくプレイヤーも読んでおく必要があります。



現場を見る

 まず事件の起こった現場で探索や霊視を行うことは、一般的かつ非常に有効
な行動です。犯人の遺留品や事件の産物といった事件の原因を知るための手が
かりが、現場に残されているはずですから。

 さらに、現場周辺で聞き込みを行なって事件当時の状況などを知る事もでき
ます。
ただし刑事などならともかく、高校生だと話し好きのおばさんなどからうわさ
話を聞き出すくらいしかできないでしょう。もちろん、知り合いが現場近辺に
居る場合、特に学校で事件が起こった場合などには十分な聞き込みを行なえる
でしょう。


利用できそうな技能の例:
	霊視		霊的現象の性質や正体の手がかりなどを見ることが
			できます。
	捜査		重要そうな遺留品を発見できます。うまくてけば生
			徒手帳のような重要な手がかりがあるかも。
	物を捜す	捜査のバリエーションです。
	推理		普通なら気がつかないような特殊な手がかりを見つ
			けることができる。ロープの切り口など。
	○○知識	その知識に関係するものから手がかりを得ます。例
			えば植物知識ならば残された木の葉などから、オカ
			ルト知識なら結界の道具のあとがあるかなどです。
利用できそうな特徴の例:
	注意力がある	手がかりを見逃さないで済むかもしれません。



学校のうわさ

 休み時間等に友人達と会話している時に、事件に関することをそれとなく聞
くことができるでしょう。新聞部(もしくは放送部等)に所属していたり、ある
いは単にうわさ好きだったりして情報通の友人がいるというお約束の設定をつ
けておくのも手です。もしその様な友人が欲しいならキャラクターを作る際に
知識系技能に「情報通の友人から情報を得る」などと設定しておいて下さい。

利用できそうな技能の例:
	口車		相手を口車に乗せて言わなくても良いことまで言わ
			せてしまいます。しゃべりたがらない相手などに有
			効でしょう。
	心理分析	相手が言葉に出さなかったことまで推定できるかも
			しれません。
利用できそうな特徴の例:
	聞き上手	相手がどんどん話したなります。



街のうわさ

 食事時に親から聞いたり、親が電話しているのを盗み聞いたり、電車の中で
女の子などがしゃべっているのを聞いたりします。いずれにせよ偶然に得られ
る情報ですから、マスターのコントロールが比較的効きやすかも知れません。

利用できそうな技能の例:
	盗み聞き	聞こえないと信じてしゃべっているのを、見つから
			ずに聞く。
	地獄耳		普通ならば聞こえない距離にいるのに、話している
			声が聞こえる。
	読心		うわさ話をしている人の思考を読む。
利用できそうな特徴の例:
	耳が良い	密かに聞く際には便利でしょう。
	運が良い	偶然噂を聞きつけることがたやすくなるでしょう。



TVや新聞を見る

 TVや新聞の報道を利用できることは、現代ものの特典の一つだといえます。
報道によって警察の調べたことや、記者が独自に調べたことななどを表面的に
でも知ることができます。
 シナリオの展開の関係上、偶然お昼のワイドショーで重要な情報を得ること
ができたりすることもありうるでしょう。

利用できそうな技能の例:

利用できそうな特徴の例:


図書館へ行く

 古新聞から過去の事件が解りますし、文献からその街の言い伝えや、
事件解決へのヒントがあるかもしれません。「書物検索」などの技能が
無いと時間がかかるとは思いますけどね。

利用できそうな技能の例:
利用できそうな特徴の例:


老人から言い伝えを聞く

 その街の長老や、霊能者などの祖母から言い伝えを聞くことによって、過去
の出来事、例えば墓場をつぶしたりしたことが原因となっている事件の手がか
りを手に入れることができるでしょう。

利用できそうな技能の例:
	楽しい会話	話し相手になっていろいろとしゃべりつつ、必要な
			情報を聞き出します。
利用できそうな特徴の例:
	○○の孫	自分の祖父・祖母からなら、情報も手に入れやすい
			ことでしょう。


特権情報を手に入れる

 一部の特殊な人間だけが知っている情報を入手します。
 社会的特徴に父や叔父などが警察官・新聞記者・理事長・教師などであると
設定しておいて、その人に聞くことによって情報を得ることができるでしょう。
未公開の、被害者の住所などを手に入れることができるかもしれません。ただ
し普通はあまり重要な事まで教えてくれないことが多いでしょう。

利用できそうな技能の例:
	ねだる		情報をねだります。
利用できそうな特徴の例:
	親戚が○○	親戚が新聞記者であったり、警察官であったりしま
			す。親戚であることを利用して情報を得ることがで
			きるかも知れません。



行為判定のしかた

  TRPGであるからには、なんらかの方法で行為判定をしなければならないわけ
ですが、「語り部」の行為判定で肝心かなめなのは、2D6を振って目標値以下を
出すことだけです。
  目標値以下を出せれば、成功。そうでなければ(振り直しをしないならば)
失敗となります。2や12が出たからといって、クリティカルやファンブルなど
が起こるわけではありません。
  目標値を算出するまでにはいろいろとやる事もありますが、定型行動を行なっ
ている限りは、普通のルールと同様にたいして難しいものではないと思います。



技能の利用

  行為判定の詳細について解説します。
 「技能分割」とは、技能を「目標値」と「強制力」に分割する事です。
 「技能分割」をルールに採用していることの最大の利点は、行動の成功率と
行動の影響をロール時に制御できる事にあります。
 「目標値」が成功率で、「強制力」が行動の見事さ・対応しにくさ、影響の
大きさだと考えていいでしょう。


難易度ロール

なんいど【難易度】《ルール用語》
	 行動の難しさを数字で表したもの。
	 相手が自然物の場合にはマスターが難易度イメージ表によって決定
	することもある。
	 相手の攻撃を無効化する際には、攻撃側の強制力をそのまま難易度
	として適用する。
なんいど・ろーる【難易度ロール】《ルール用語》
	 行為判定のうち、行動の難しさ(難易度)をマスターが提示するも
	ののこと。他の行為判定とは異なり、プレイヤーは成功率(目標値)
	を操作する事ができない。
	 技能値−難易度=目標値となり、2D6で目標値以下を出せば行動
	は成功する。

 難易度により必要となる強制力を決定して、技能値から必要強制力を引いた
残りが目標値となります。 2D6を振って目標値以下が出たら行動が成功した事
になります。
  この時、特徴が有利に働きそうな状況ならば、その時適用される特徴の中で
一番大きな特徴ひとつの点数が強制力に加わります。そのために必要強制力を
その特徴の分だけ減らすことが出来ます。必要強制力から適用される特徴をひ
いた残りが0以下になったとしたら、絶対成功になります。

 以下に行動の難易度の簡易換算表をあげておきます。
 ちなみに、難易度が0ならば、自動的に成功するほど優しいことだというこ
とをあらわしています。

	難易度	行動内容の程度
	1	簡単な行動。
	3	プロならこの程度までは楽にこなせるはず。
	5	プロが全力をつくせば可能であろうもの。
	8	プロでも無理があるもの。
		本物のプロならば何とか可能かもしれない。
	10	飛び切りのプロでも困難。
	12	飛び切りのプロが全力を投じても、失敗しそう。



強制力判定

きょうせいりょく【強制力】《ルール用語》
	 攻撃を受けた側はこれを難易度として難易度ロールを行います。難
	易度ロールに成功すれば攻撃は失敗しますが、失敗した場合には戦闘
	能力を失います。
きょうせいりょく・ろーる【強制力ロール】《ルール用語》
	 生き物であれ物体であれ、相手を行動不能にするためのルール。一
	対一の簡易戦闘ルールとして用いられます。
	 技能値を強制力と目標値とに分割して、2D6で目標値以下を出せ
	ば攻撃が成功したことになります。攻撃が成功した場合、防御側は強
	制力を難易度として難易度ロールを行い、成功すれば攻撃を無効化で
	きたことになります。失敗して再ロールしない事になれば、防御側は
	戦闘不能になります。

 どれくらいの強制力で攻撃したいかを考えて強制力を決めます(この時強制
力は最低1は必要です)。技能値から効果値と強制力を引いた残りが目標値と
なります。 2D6を振って目標値以下が出たら行動が成功した事になるのは難易
度ロールと同様です。
  この時、特徴が有利に働きそうな状況ならば、その時適用される特徴の中で
一番大きな特徴ひとつの点数が強制力に加わります。技能から割り振った強制
力と特徴の和が、最終強制力となります。

  起こしたい影響なるものが誰かへの攻撃だった場合には、相手が無効化しよ
うとしたり、対応行動で打ち返したりしようとすることになります。また逆に
あなたのキャラクターが攻撃を受けた時に、何とか躱したいと思う事もあるで
しょう。その場合は無効化を行います。

むこうか【無効化】《ルール用語》
	 相手の攻撃を何らかの方法で効かなくする事。
	 避けたり、受け止めたり、弾きかえしたりと行ったものだけではな
	く、幸運なのであたらないとか、頑丈なので効かなかったとかいった
	技能による無効化も可能。

 無効化のやり方は、相手の攻撃の強制力を難易度として難易度ロールを行な
うだけです。



余力の利用

 余力は前述しましたように振り直しポイントですから、一点消費するごとに
一回振り直しが可能になります。この振り直しは、余力が残っている限りは何
回でも可能です。
 どちらの余力を使うかですが、行なっている行動によって決めます。どんな
行動がどちらの余力に関係するかは、それぞれの用語の解説をお読み下さい。
 白兵戦、肉体労働、持久走、反射的行動、本能的行動などは体力。
 射撃、呪術、知識の確認、知能的行動などの精神活動は集中力です。

 どちらかの余力が無くなったら戦闘はできなくなり、相手のなすがままとな
ります。



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