当文章は、1995年夏に、関西大学RPG研究会の会誌に掲載された語り部の紹
介文です。
「語り部」とはなんなのでしょう?
それは、TRPGのルールです。
市販されてはいませんが、そのシステムは非常に柔軟で、汎用性に富んでい
ます。
さて、「語り部」なるルールがどうやったら手に入るかを書きましょう。
一番簡単なのは、「語り部通信倶楽部」にログインして、ルールをダウンす
るなり、機関誌「語り部通信」をダウンするなりすることですね。
「語り部通信倶楽部」では、ここに本体ルールと、「語り部通信」が納めら
れています。
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0001: RULE KATA 語り部のハンガー
20:KJ9506.LZH 135K 12 95/06/17 SW0004 語り部通信 1995年6月号
24:KATA032.LZH 12K 7 95/08/07 SW0004 語り部本体ルールVer0.32
0020: JUNK DATA 転載禁止暫定資料のハンガー
75:KJ9507A5.LZH 169K 7 95/07/23 SW0004 語り部通信七月号α5版
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なお、これはあくまで紹介記事ですので、ルールについての詳しい解説など
はしないことにします。しかし、どういうルールであるかを理解してもらいた
くはありますので、一応行為判定などの例を挙げる事にしましょう。
サンプルキャラクターとして語り部通信8月号に入っているキャラ、「鷹司
彩華」と、「神有月凶一郎」の会話という形で例を挙げます。
このキャラは、語り部に慣れて頂くために企画された「狭間:学園退魔もの」
のキャラクターです。
なお、この例は現代オカルトサプリメント「狭間」を対象としているが、も
ちろんファンタジーだろうとサイバーパンクだろうと、基本は全く変わりませ
ん。
彩華 :「はじめまして、鷹司彩華と申します」
凶一郎 :「ふん、可愛こぶりおって、小娘が。私が神有月凶一郎だ。
:生徒会副会長さまでもある」
彩華 :「先輩はいつも傲慢っぽい態度をとられるんですね。お家
:でもそうなんですか」
凶一郎 :「当たり前だ。それより、私に喧嘩を売っていていいのか。
:ページが無くなるぞ」
彩華 :「そうですね。先輩も珍しく乗り気ですし、ちゃっちゃっ
:と済ませましょう。行為判定というのは、『語り部』で何
:にでも使える判定なんです。って言うか、これしかないと
:いってもいいくらいで。で、どうやるかというと……。
: きゃっ! 背中になにか入ってきたぁ! 先輩?
: こうゆう悪戯はやめて下さいね」
凶一郎 :「私が何かしたか?言いがかりはよしてもらおうか」
彩華 :「あれ?確かに背中に何か入ってきたのに? 何も落ちて
:ないなあ」
凶一郎 :「と、まあ、こうやるわけだ」
彩華 :「それじゃちっとも解りませんよ。まあ、先輩の説明力で
:はこれくらいが限界ですね。
: ちなみに、先輩は『証拠隠滅:15』という技能を持って
:ます。この技能を使って悪事の限りを尽くしている訳です
:ね。で、判定はというと、この技能値を『強制力』『目標
:値』の二つに分けるんです」
凶一郎 :「ちなみに私は誰かさんとは違ってダイス目がいいからな。
:強制力に9ほどつぎ込んでおいた。目標値は6ということ
:だな。このくらい、2D6で……3だな。ほら、出たぞ」
彩華 :「この判定に成功すると、当然技能は成功という事になり
:ます。受ける側も、これを成功させないために技能で判定
:します。ここは、厳しい剣の修行で得た見切りを使う事に
:します。技能値は15。先輩の強制力は9。私は6以下を2D6
:で出さないと、証拠を見逃してしまうという事です。
: 結果は……失敗。先輩が背中に何かを入れた証拠を見つ
:けることが出来ませんでした」
凶一郎 :「先程の言いがかり、どう落し前をつけてくれるつもりか
:ね」
彩華 :「ごめんなさい、わたしの気のせいでした」
凶一郎 :「ふっ、しょせん小娘。いきがっても無駄だな」
彩華 :「……神有月先輩は帰りました。ここからは私一人……む
:なしひ」
奈恵 :「あら、彩華さん。なにしてらっしゃるの?」
彩華 :「あ、草峯先輩☆ あの、『語り部』についての説明を……」
奈恵 :「……大事な部分が抜けてますわね。技能や特徴をどうやっ
:て決めるか。ここに『語り部』のもっとも重要な要素があ
:るんですのよ」
彩華 :「あっ。ほんとだ。忘れてました」
奈恵 :「(にっこり) 私から説明させて頂きますわ。技能や特徴
:は、好きなものを取って下さって結構です。取る、という
:いいかたは適切ではないかもしれませんね。貴方が、キャ
:ラクターに持たせたい能力を、ご自由にシートにお書きに
:なってくださって構わない、という事です」
彩華 :「自由度が高いので、最初は戸惑われるかもしれませんね」
奈恵 :「そういう方のために、『ひな型』というものが用意され
:てますわ。『ある日突然主人公』とか、『怜悧な高校生伝
:承者』など、キャラメイクの指針となる必要最小限の技能
:が書かれております。これを使って、キャラを作って頂い
:ても構いません」
彩華 :「草峯先輩の説明は解り易いですね。見習おうっと」
奈恵 :「それでは、もう校門が閉まってしまいます。そろそろ帰
:りましょう」
彩華 :「失礼いたします」
さて、ここからは「学園退魔もの」担当の、更毬静夢くんにお願いします。
さて、とよりんによって、語り部の主要な部分が説明されたので、語り部の
特色について書いてみたいと思います。
まず、語り部とはTRPGのオリジナルルールでありまして、その根底の目的
は、「小説の世界をTRPGで再現する事」です。
例を挙げると、”ファイヤーボールを剣で受ける”という普通のルールでは
再現しにくい事も出来ますし、また、外道な例では、”空から降って来る隕石
を、通行人を盾にして避ける”という事も出来ます。
このように、普通はルールに縛られて出来ない事も、プレイヤーの想像に応
じて、どんどん色々な事ができる訳です。
しかし、色々できるからといって、すべてのキャラがマンチキンなキャラに
なるかと言うと、そうでもありません。それは最高技能によってできる事が限
られているためです。
技能値が13なら、壁くらいしか壊せませんし、15あれば、家が壊せるという
くらいです。まぁ、気合を使えば少しくらいは変わるんですけどね。
さて、その気合に関る事ですが、語り部にはヒットポイント、マジックポイ
ントはありません。その変わりとなるのが、「体力」と「集中力」です。
これはロードス島の集中力ロールと似ていて、判定に失敗した時にサイコロ
を振り直す事ができるのです。行動に関するロールでは「体力」を、知力に関
するロールなら、「集中力」から、振り直すごとに1ずつ引いて行く訳です。
成功するまで何度でも振り直す事が出来ます。
そして、失敗してもいい判定なら、振り直さずに失敗させる事も出来ますが、
もし、敵からの攻撃を避ける判定に失敗して、振り直して体力か集中力がなく
なったら、疲れきって戦闘不能になります。
この振り直しを使う事によって、目標値(ダイスの最大値)を低くとり、強制
力(ものの壊せる限度)を大きくして、何度か振り直して(ちょっと疲れて)成功
させる事ができます。
これにより、必殺の一撃が再現出来る訳です。
また、語り部の特徴は技能判定に「特徴」の値をたす事ができると言う点で
す。例えば、”陰険:3”という特徴があったら、人を盾に避ける時など、技能
に3を足す事ができるのです。これにより、”陰険に”避ける事ができる訳で
すね。
陰険という普通考えるとマイナスの特徴も、プラスになりうるというルール
なんです。その分、プレイヤーの想像力を必要としますけどね。
プライドがあるために気合が入って避けたり、可愛い笑顔でひとをだまし易
くしたりする訳ですね。
このように、語り部ではプレイヤーの想像によって、色々な事をロールする
事ができる訳です。
この紹介文をお読みになって、興味を持たれた方は、ぜひ「語り部」をプレ
イして見て下さい。
「語り部通信6月号」に、キャラクター作成について、詳しく書かれていま
す。とりあえず、これと本体ルールがあれば、キャラクターを作ることができ
るでしょう。8月号もあれば、「学園退魔もの」で遊べます。
では、失礼いたします。
更毬 静夢
とよりん☆
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