淑子 :「えーと、それでは今日の部会はここまでです。皆さん、
:ちゃんと原稿をあげてくださいね」
一同 :「はーい」
和美 :「あっ、間柴先輩。今日は、前の約束どおり晩ごはんごち
:そうしてくださいね」
間柴 :「ほよ? そうだったっけ?」
和美 :「ひっどーい、忘れたんですか? あんなに約束してたの
:に……」
間柴 :「ごめん、ごめん、そうだね、行こうか」
和美 :「うん」
フランス料理店「ポール・ボキューズ」にて
和美 :「あのー、いつもこういう所でご飯食べてるんですか?」
間柴 :「うん? あーぁ、そうだね、でも君は特別だから」
和美 :「えー、そうなんですか、本当だったらうれしいのに……」
間柴 :「僕は嘘は嫌いだよ、今までも、嘘と餅はついたことがな
:いから」
和美 :「ははぁ(笑) またそんなこと言って」
間柴 :「(にっこり) ギャルソン! ワインをください。そうだ
:な、85年物のクリュートン産の赤を」
男 :「かしこまりました」
和美 :「あー、おいしかった。ありがとうございました。あの……」
間柴 :「なに? どうしたの?」
和美 :「今、両親が旅行に行ってて、私一人なんです。それで、
:寂しくて……」
間柴 :「あぁ、そうなんだ。やっぱり寂しいよね。僕は一人暮ら
:しが長いからそんなにも感じないけど。そうだ、確か家に
:ハーゲン・ダッツのアイスクリームがあったはずだ。一緒
:に食べようか?」
和美 :「えっ、いいんですか? はい(にっこり)」
間柴君の自宅にて
和美 :「わぁ、広いんですね。(きょろ、きょろ) それにきれい
:にしてますね」
間柴 :「えっ、あーぁ、わりときれいずきなんだ」
数分後
和美 :「あーぁ、おなかいっぱい食べたら、眠くなってきたっ
:ちゃ」
間柴 :「(なんか予想どうりすぎて面白味がないなぁ) そう、
:じゃあ少し眠ろうか?」
和美 :「うん」
翌朝
和美 :「先輩、起きてください! 学校遅れますよ!」
間柴 :「うーん、僕はいいよ、昼から行く」
和美 :「えー、それじゃ私もそうしようかなぁ」
間柴 :「君はいいよ、先にいきなっ」
和美 :「えー、じゃそうしますけど……。また誘ってくださいね」
間柴 :「うーん……」
昼前
間柴 :「もしもし、間柴ですけど」
静香 :「あっ、いた! あなた昨日の約束どうしたの? 2時間
:もまたせて来ないし、携帯もかからないし……」
間柴 :「あぁ、ごめんごめん、昨日は3年前に死んだおじいちゃ
:んの7回忌だったんだ」
静香 :「あなた、そんなこと言って、他の女と一緒だったんじゃ
:ないでしょうね?」
間柴 :「そんなぁ、僕には君しか見えてないよ。今日、会社何時
:に終わる? 昨日の埋め合わせするよ」
こうして間柴君の日常は繰り返される。
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