エピソード8『ちょっと、一息』


目次



エピソード8『ちょっと、一息』


登場人物

 間柴基史	:西生駒高校二年生。文芸部副部長
 鷹司彩華	:西生駒高校一年生。茶道部部員
 草峰奈恵	:西生駒高校三年生。生徒会長
 神有月凶一郎	:西生駒高校四年目突入。ただの怪しい人


本編

 土曜の午後、草峰奈恵と愉快な仲間達はカラオケに来ています。

 奈恵		:「あのぉ、やっぱり学生がこんな所に来るのはまずいんじゃ
		:ないでしょうか」
 彩華		:「まあまあ、おねぇさまぁ、そんなこと今時言ってる人は
		:いないと思いますよ。それに……、」
 凶一郎	:「……モーソゲーム。世界中の誰もが妄想ゲーム。
		: 過ちを楽しむ……」

 一人マイクを握りしめ訳の分からない替え歌を叫ぶ凶一郎。

 奈恵		:「(しばし沈黙) そうですね」
 基史		:「そうですよ、奈恵ちゃん。あまり規則とかにとらわれる
		:のは良くないと思うよ」
 奈恵		:「(冷たく) 全く考えないのも良くないと思います」

 基史は学生服を着崩し優雅に座っている。髪は茶髪のロング、左耳にはピア
スをつけて手の指には銀のファッションリングがきらきら光る。こんな格好で
高校に行ってるのだからたいしたもんだ。

 彩華		:「そうですよね、間柴さんはいきすぎてます」
 基史		:「そうかなぁ? べつに普通だと思うけど……」
 奈恵		:「普通じゃありません」
 基史		:「そうなんですか?(しばし考え込む)」

 凶一郎	:「……モーソゲーム。世界中の誰もが妄想ゲーム。
		: 過ちを楽しむ……」

 彩華		:「でも、みんなも来れば良かったのにね」
 基史		:「だって、彩華ちゃんが突然言い出したんじゃないかカラ
		:オケいこうって」
 彩華		:「そうでした、そうでした」
 基史		:「しかし、よく奈恵ちゃん来る気になりましたね」

 凶一郎	:「……モーソゲーム。世界中の誰もが妄想ゲーム。
		: 過ちを楽しむ……」

 奈恵		:「それは、たまには皆さんとご一緒しても良いかなと」
 基史		:「それは光栄です。美しいお嬢様」
 奈恵		:「あなたのために来たんじゃありません」

  トゥルゥルー。トゥルゥルー。トゥルゥルー

 彩華		:「(電話を取って) あっ、はいわかりました。どうします
		:時間らしいですけど」
 基史		:「それじゃ、いきましょう。おいしい台湾料理を食べさせ
		:る店を見つけたんですよ。みんなでいきましょう」
 奈恵		:「そうしましょうか,でも、彼は……」
 基史		:「まあまあ、彼は彼で忙しそうですし」
 彩華		:「そうですね、行きましょうか」

 凶一郎	:「……モーソゲーム。世界中の誰もが妄想ゲーム。
		: 過ちを楽しむ……って、おーい、君たち」



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