間柴基史 :西生駒高校2年。文芸部副部長。
草峰奈恵 :西井高校行3年。生徒会長。
神谷順子 :西生駒高校3年。奈恵の友人。
雪が舞い散る1月も終わり近づいた頃……そろそろ新年と言う言葉もつかわ
れなくなり、学校はいつもの状態に戻りつつある。そんなある日の昼休み。
基史 :「奈恵ちゃん。あれ?」
三年の教室。さすがにこの時期には学校に来ている人間も少なくなっている。
しかし、生徒会長は学校に来ているだろうっと言う甘い考えが基史の判断を
誤らせたのだった。
順子 :「あら、間柴君。どうしたの? 奈恵なら今日はもう帰っ
:たよ」
基史 :「えぇー、せっかくご飯一緒に食べようと思ってたのに」
順子 :「あら、それは残念でした」
順子が笑いながら答える。基史が奈恵に気があるのを知っているので、その
落胆ぶりがおもしろいのである。
基史 :「ぶぅぶぅ、順子さんもひどいですね。面白がってるんで
:しょう?」
順子の前の席に座り、右手の指輪をいじりながら彼女の顔をのぞき込む。
順子 :「うん、だって他人事だから」
基史 :「酷すぎる。鬼、悪魔……」
順子 :「はい、はい」
基史 :「最近、会ってなかったから根性入れて来たのにぃ」
順子 :「なんで? 奈恵と同じサークルに入ってるんでしょう」
基史 :「なんかね、最近怖いんですよ。近寄り難くって」
順子 :「またなんかしたんでしょう?」
基史のピアスをつつきながらそう訪ねる。
基史 :「えぇ、そっそんな……」
順子 :「まぁいいわ、がんばりなさいよ」
基史 :「ええ。がんばりますよ」
そう言うと基史は席を立ち上がった。
彼の勝負はまだついたわけではない。
こうして彼の一年がまた始まった。
こうなったら意地らしい。
女にもてない訳じゃない。
彼女がいないわけでもない。
でも、好きな人がいても良いじゃないか。
そんな勝手なことを思いながら彼は部室に向かっていった。
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