エピソード12『古吹良太、正体を明かす』


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エピソード12『古吹良太、正体を明かす』

 良太は化け狸で、「古吹」さんという老夫婦のとこに、厄介になっている身
です。このお二人、数年前に、息子夫婦とお孫さんを事故で亡くしています。
 んで、その葬式の晩に、ひょこっと「良太」が現れて、何故か居すわっちゃっ
たと。どうみても不自然な登場ですが、本人は気に入っているようです。


ある日の会話

 良太		:「なぁ、ばあちゃん。僕、今まで黙ってたけど、普通の人
		:間とちゃうねん。実はなぁ……ここらの化け狐の一族の者
		:やねん。
		: 僕、小っちゃい頃、ここのじいちゃんに世話になったこ
		:とあってなぁ、成人したら、絶対じいちゃん達に恩返しし
		:よ思うててん。
		: あ、大抵の化け狐は、そうやって人間社会に出ていくも
		:んやねんで。従姉妹の姉ちゃんも、お医者さんの助手して
		:たりするもん。
		: ……でもなぁ、あんな事あったからなぁ。じいちゃんら
		:寂しい思いしてるやろな思うたから、うちのお父ちゃんら
		:に断って、成人する前にここにきたんよ。
		: ほんとは僕みたいな半人前、里に降りてきたらあかんね
		:んけど……ばあちゃん、ゴメンな。今まで黙ってて」
 おばあさん	:「……良ちゃんのことは、ばあちゃんら、ちゃーんと分か
		:っとったよ」
 良太		:「え! ほんま!?」
 おばあさん	:「分かるわなぁ。寝相悪くて、布団から尻尾出してる人間
		:はおらんよ(笑)」
 良太		:「ほんまなん? 気ィつけてるんやけどなぁ(笑) アカン
		:なぁ、やっぱ僕半人前やわ(笑)」
 おばあさん	:「でもなぁ、良ちゃん優しい子やから、ばあちゃんら嬉し
		:い思うてる。ずーっと化かされても、嬉しいんよ」
 良太		:「じゃあ、もうちょっとここの家におってもええ? もっ
		:と恩返しするから。
		: ……あ、僕の場合、厄介になってるか(笑)」
 おばあさん	:「厄介なんてことあるかいな(笑)
		: ホラ、御飯おかわりせえへんか?」
 良太		:「うん、ちょうだい(笑)」



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