エピソード『明日輝と仁』


目次



エピソード『明日輝と仁』


登場人物

 秋乃仁(あきの・じん)		:ビルの下になっても平気なタフ男。帰宅部。
 柘俊章			:天文部部長。『調達』が得意。
 柴田明日輝(しばた・あすき)	:男勝りな応援団員。


本編

 放課後、西生駒高校校庭グラウンドにて。
 開襟シャツにプリーツスカート、長ガクランを羽織りたすきを締め、ハチマ
キをきりりと結んだ応援団スタイルで、柴田明日輝はあたりを見回した。

 明日輝	:「おっかしいなぁ」

 確か今日は野球部の練習試合があるはずである。応援団に入って団員として、
初めての活動だというのに。

 明日輝	:「誰もいないなぁ」

 丁度その時。

 仁		:「どうしたのかな?」
 明日輝	:「え、あたしのこと?」

 背後からの声、振り向いた先には見るからに頑健そうな体の男子生徒。

 仁		:「うん。なんかきょろきょろしてるからさ」

 にこやかに笑う、なんとなく落ち着かせてくれる雰囲気だ。

 明日輝	:「あの今日って、野球部の練習試合なかったかな? あた
		:し応援団でグラウンド集合のはずなんだけど」
 仁		:「ああ、それなら場所が変わったってさ(笑)」
 明日輝	:「えっ!! やっばいっ! どこだっけっ(大汗)」
 仁		:「向こうさんの都合で、相手側のグランド使うことになっ
		:たんだよ」

 聞いてない、まずい。

 仁		:「場所わかる?」
 明日輝	:「えーーと(汗)」
 仁		:「送るよ(笑)」
 明日輝	:「ありがとっ、助かるよっ(ぽんぽん)」
 仁		:「(どこかから自転車調達)さ、乗って」
 明日輝	:「うんっ」

 ひょいっと仁の後ろの席にのる。通りかかった天文部部長が仁を見てにやり
と笑う。

 天文部長	:「たらしだな、仁君(にや)」
 仁		:「親切と言え、親切と」
 天文部長	:「そういうことにしておいてやろう」
 明日輝	:「なんのことかな?」

 わかってない奴一名、好きな人イナイ暦イコール年齢は伊達ではない。

 明日輝	:「そーいや、名前きいてなかったね。あたし柴田明日輝よ
		:ろしく(^^)」
 仁		:(一年B組、柴田明日輝、応援団所属。恋愛歴なし、男勝り
		:で姉御肌、しかし実は可愛いぬいぐるみ大好き。ふふ、チェッ
		:ク済みだ)

 学校中の可愛い女生徒のプロフィールは調査済みである。

 仁		:「ああ、俺は秋乃仁。しっかりつかまっててね」
 明日輝	:「うん(構わずぎゅっつ)」

 背中に胸があたることなどちっとも気にしていない。

 仁		:(……着やせするタイプとみた)

 後でメモ追加。

 仁		:「そうそう、ちょっと荷物持っててくれるかな?(紙袋)」
 明日輝	:「うん」
 仁		:「良ければ、二三個もってっていいよ(漕ぎ出す)」

 渡された袋、中をのぞくと……中身はゲーセンでゲットしたかと思われるぬ
いぐるみがぎっしり。

 明日輝	:「……(ぢーっ)……(顔が輝く)……ほんとにっ! もらっ
		:ていいのっ(喜)」
 仁		:「いいよ。余って困ってたんだ(笑)」
 明日輝	:「なんか悪いなぁ、送ってもらって、こんなに良いものも
		:らっちゃって(でも嬉しそう)」
 仁		:「男の俺が持っててもなんだしね。女の子の方が、ぬいぐ
		:るみも喜ぶだろ?(笑)」
 明日輝	:「仁くんっていい奴だね」
 仁		:「はっはっは、そう言われると照れるなぁ」
 明日輝	:「え? ……(焦り) ……仁くんてば」
 仁		:「まぁ、可愛がってあげてよ」
 明日輝	:「うまいんだからぁっ(どぉん)」
 仁		:「おわぁ?!」

 押されて蛇行する自転車、慌てて立て直す。

 明日輝	:「うわぁっとごめんごめん(汗)」
 仁		:「危ないなぁ〜」
 明日輝	:「ごめん、ついいつものくせで(ぽりぽり)」
 仁		:「転んだらどうするんだよ。怪我したらこまるだろ?」
 明日輝	:「そうだね、ごめん、あたしは頑丈だからいいけど(笑)」
 仁		:「いや、君が怪我したら困るじゃないか」
 明日輝	:「え、あたしぃ。大丈夫だよこう見えて結構鍛えてるもん」
 仁		:「そういう問題じゃないだろ。女の子が傷とか残したくな
		:いだろ? 結構大きな事故になるんだぞ」
 明日輝	:「そう、かなぁ(汗)」
 仁		:(女の子扱いされて動揺してるな)
 明日輝	:「え……(焦り)……そーかな、うん(汗)」
 仁		:「まぁ、そうなったら責任とって一生面倒見ることになる
		:のかな(笑)」
 明日輝	:「もう……(焦り) ……仁くんってば(指先でつん)」
 仁		:「ん? なんか変なこと言ったかな?」
 明日輝	:「べっつに、あ、あの学校そうかな」
 仁		:「そうだね。このまま突っ込むよ」
 明日輝	:「はやいはやいっ(大喜)」
 仁		:「しっかりつかまってなっ!(突入!)」<おひ(笑)
 明日輝	:「いっけぇ」
 仁		:「(ずざざざざ……フルブレーキ・後輪ドリフトで停止)
		: はい、着きましたよ。お嬢様(笑)」
 明日輝	:「うん、ありがと仁(ひょい) また学校でね(ぶんぶん)
		: 何か試合とかあったらいつでも応援してあげるよ、じゃ
		:あね」
 仁		:「二年の教室で誰かに聞けば分るから、じゃあ」
 明日輝	:「あ、先輩だったんだ(汗) すいませぇんっ(大慌て)」
 仁		:「気にしないで。じゃあね、明日輝ちゃん(笑)」
 明日輝	:「はーいっ、さよなら先輩」

 仁		:(柴田明日輝、まずは好印象だ)



参加者

 ハリ=ハラ	:秋乃仁
 中崎実	:柘俊章(天文部長)
 田中久志	:柴田明日輝


解説

 IRCでのなりきりチャットをもとに再構成されたエピソード。
 明日輝と仁の初対面話ですか。これから例によって三角関係な話になるのか、
などは現時点では謎ですが、とりあえず伏線は張ったぞ、というあたりかな。



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