昼食時にお茶を取りに行くのが、日直の仕事の一つだという。
「1年9組のお茶、取りに来ました」
「はいはい」
大して年代の違わないように見える用務員さんが、やかんを差し出した。
褪せた金色の蓋には、大きく1−9とある。
差し出された手の向こうに。
「……あれ、何ですか?」
「はあ?……ああ、あれね、エアガン」
……何で用務員室にエアガンがあるかな。
「触ってみる?」
「……はあ」
差し出されたものは、いわゆる「鉄砲」の形に近い。
案外……軽い。
「撃てるんですか?」
「撃てるよ」
何となく。
手にとって……見てみる。
考える。
自分が傍若無人に振る舞える理由。
考える。
頭に実弾食らったら、癒せるのか、その時間もないのか。
意識せずとも自分の体は、受けた傷を癒してゆく。強引に外部から力を奪って。
考える。
……莫迦臭くなる。
ので、銃口をこめかみに当ててみる。
引き金を引こうとしたら。
「……って、あああああっ! な、なにやってんのっ!?」
銃を抑えられる。
……大袈裟な。
どうせ死ぬ筈もなかろうに。
出力端子は相手の両手、入力端子は……この場合こちらの手、だろうか。
抑えつけていた手が、するんと落ちる。その分こちらの手に力が篭る。
ぱし、と小さな音。
「……何でまた」
「痛いんですね」
放したこめかみから、ぽろりと弾が転がる。それを受け止めて、銃ごと
用務員さんに渡す。
「お茶、頂きます」
宗一 :「あのさぁ……」
兪児 :「?」
宗一 :「……あー……(髪の毛をかく)」
兪児 :「(お茶を飲む)」
宗一 :「なにか……なにか悩み事でも? あるなら、か……解決
:はできないけど、多分(汗) 相談にはのれ、る、かな?」
兪児 :「(きょとん、としている)…悩み事ですか?」
宗一 :「うん」
兪児 :「……(考えている)……そんなものはありませんが?(けろっ)」
宗一 :「………」
兪児 :「………(お茶を飲み干している)」
宗一 :「……痛くなかった?」
兪児 :「痛かったですよ」
宗一 :「だろうなぁ……でも、なんで?」
兪児 :「なにがです?」
宗一 :「なにが……って、いや。悩み事でもなけりゃ、普通
:そんなことしないからさ(汗)」
兪児 :「しませんか」
宗一 :「しないよ。だから、ちょっと気になってね(苦笑)」
兪児 :「あぁ。ほんとうに痛いのかな、と思って」
宗一 :「痛い、筈だけどね……そんだけ赤くなってりゃ(汗)
:クスリつけとく?」
兪児 :「いえ、おかまいなく。ほっとけば治ります」
宗一 :「あ、そ……で、感想は?」
兪児 :「感想?」
宗一 :「エアガンで自殺してみた感想(両方の湯呑みにお茶を注ぐ)」
兪児 :「痛いってことがわかった、かな」
宗一 :「それだけ?」
兪児 :「それだけです」
宗一 :「……(湯呑みを傾ける)……お昼は?なんか食べてく?」
てなもんで。
むう、あくまでおだやか:1と、傍若無人:3では……
…………(ちと無言になっている)
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