中崎 : 霞が池文明についていくつかの疑問点があるのでお聞き
:したいんですけど。設定が公開されてないですよね?
sf : そうですね。本来はチャットセッションなどを併用して
:徐々に謎解きがされていく予定だったのです。
: しかし、いちおうメンバー募集してシナリオも用意した、
:のですが参加者が集まらなかったのでした。
中崎 : (^^;) チャットセッションについては良く知らないの
:でなんともコメントのしようがないんですが‥‥
: 気を取り直して質問にいきましょう(笑)
: まず、霞ヶ池文明ってなんですか?
sf : 霞ヶ池文明といっても、幾つかあるはずです。
: いちおう私の考えていたところでは、新しいものからいうと、
:A.縄文末から奈良に政権が移るまでの古王朝。古史古伝で
:言うウガヤフキアエズ王朝に相当します。
: 山海経にいう胡不與(こふよ)とも関係するかも。
: 次がB.縄文早期の古文明。ムーの移民の子孫の一派ですね。
: もっとも古いのがC.十〜五万年前のカタカムナ文明の根
:拠地。
: あたりの三つがあると考えています。
: 遺跡が発掘されやすいのはA.ですね。超科学的なものが
:でてくるのがB.で、超々科学的なのがC.ですね。
中崎 :なるほど。ところで、それぞれの文明のレベルはどうだっ
:たんでしょう?
: 青銅器文明だったのか、鉄を使用していたのか、という
:意味なんですが。青銅の方が浪漫はあるように思いますが。
sf : 日本は古来世界有数の銅山を擁していましたが、鉄山は
:少ないのが実情でした。A文明は青銅器、B文明は鉄器、C文
:明は超鉄器とでも言うべきでしょうか。
: ……A.は青銅器よりも銅器のほうが妥当かも知れません。
:自然銅の利用は間違いなく可能ですが、青銅には錫が必要
:になりますから……。銅ならアカガネという和名もあるし。
: むろん、残存している遺物が神器的に扱われ、高位の人
:物が保持していたことはあるでしょうね。
中崎 : 超鉄器ですか。するとオリハルコンはどっちにしろあっ
:たものと考えて良いのでしょうか?
sf : B文明はオルハリコン相当品のヒヒイロカネを保持して
:いたはずです。しかし、生産はできなかった、もしくは輸
:入していたのではないかと思います。
: C文明では、ミトロカエシ(物質転換)技術により、ヒヒ
:イロカネなども容易に生産できたはずです。
中崎 : ヒヒイロカネ、ですか? どんなものですか
sf : ヒヒイロカネの特性は
:・比重は金よりやや軽い程度
:・色は朱のように赤い
:・素体状態では延性に富む
:・合金は非常に固くなる
:・不可侵の貴金属的特性
:・熱を維持する能力があるらしい
:・どうも常温で超伝導状態を呈するようである
: という感じのようです。その手の本の描写で『磁石に反
:発する』といったマイスナー効果っぽい現象が書かれてま
:したので、おそらく超伝導体なんだろうと推測しました。
中崎 : 常温超伝導体ですか、いいなあ。
: するとヒヒイロカネを使った超伝導チップなんかも実用
:化されていて、少なくとも放熱の問題は……おっと、本題
:本題。
: 政治の形態はどうだったんでしょう? 神官政治とか王
:制とかですか
sf : A時代は首長制と神官支配の混合物のようなものだった
:と考えていいんじゃないかと思います。
: 男が実務の首長で、その上位に女性の宗教的支配者を置
:くのが、古代日本らしくて良いのかな? このあたりはも
:ちっと考えるべきだなぁ。
: Bは……ムーは最高神官もかねた王による絶対王政だっ
:たような記憶がありますから、そんなもんでしょう。
: Cは……政府があったかどうかも疑問です。政府が不要
:な段階まで行っていたんじゃないかと。
中崎 : 政府不要ですか。なかなかけっこうな状態ですが、単に
:無政府状態
:というならちょっといやかな?
sf : 物理的な問題も『直観』で処理できるらしいので、政治
:的決定も『直観』でできるんだろう……と思うわけです。
:政治形態についての記述は見当たらなかったってのもあり
:ますが。
中崎 : まあそれはとにかく、さくさくと次の質問に移りましょ
:う。文明の中心地はどこだったんでしょう?
sf : A.だと、日本全体としては中心というわけではないでしょ
:う。人口的には関東平野が最大で東北の人口が極度に減少
:していた時期です。九州の人口もそれまでと違い増大し、
:近畿の人口は相対的に低い時期です。
: B.だと、ムーが本拠で巨大植民地は古代ウイグル帝国な
:どがありますから、規模そのものは有力とは言えないでしょ
:う。霞ヶ池の研究都市のようなものだったのかも知れません。
:研究都市……ってことは、現在の吹利と同様になるのかな。
: C.は、適当なところに置いて良いと思います。現在の吹
:利を本拠地として良いはず。
: 位置的には、上代郡・下代郡あたりを中心にして、神座
:神社を中央神殿とすればいいでしょう。
中崎 : 中央神殿ですね。(ここで何故かバベルの塔を思い浮かべる)
sf : ジグラートとしてのバブ=イルは、神殿だったような。
: おそらく甘南備山(かむなび・やま)が聖なる山、いわゆ
:る日本のピラミッドなんでしょう。塔やピラミッドは山岳
:崇拝の代用品だといわれています。
中崎 : ところで、神というと他の神々との関わりはどうだった
:んでしょうか。敵対していた?
sf : 霞ヶ池の神格は、実際には人格神ではないと思われます。
:単純な始原の生命の母としての水の象徴であると考えてい
:ます。
: 一応、各方面のオカルト研究者は
:・中国神話でいう混沌の顕現。
:・日本神話で言う滄溟(あおうなはら)のなごり。
:・クトゥルー神話で言うウボ・サスラ。
:・超科学者は真空エネルギーの媒体。
: に類似した存在として認識するでしょう。
:# 大地と天空のもとなる混沌……その分霊というわけです。
中崎 :始源の力、ですか
sf : 意図を持たない巨大な力が本質であり、無目的で巨大な
:力により世界が破壊されることを恐れたいにしえの神々や
:超存在によって、現世に干渉できないように封印が成され
:ています。
:# 封印のごく一部が崩れた今回でも、東海竜王が押さえ込
:# もうとしても一時しのぎでしかないわけです。
中崎 : 竜王の力で一時しのぎですか(^^;)
sf : そうです。
: しかし、それでも一部の力は漏れだしており、それを使
:用する能力を持った存在が霞ヶ池の神であると自分を誤認
:して活動することもあると考えています。
中崎 : なんか、新興宗教の教祖みたいですね。なんだかなあ、
:といってもそいつらは結構強いわけだ。うーむ。
sf : シナリオネタとしては多用できる展開でしょうね。
中崎 : で、次の質問になります。霞が池文明の最も特徴的なポ
:イントはなんでしょうか。
sf : 危険な始原の(生命)力を利用することによるエネルギー
:的優位と、異形化ですね。外見的には高度なバイオテクノ
:ロジーにも見えるかも。実際にシナリオで出したものには、
:オルハリコンの皮膜を外骨格の補強剤として生成するカマ
:キリ類似の疑似生物や、精神の同調操作に利用できる寄生
:虫などがありました。
: A.では、それは程度の低い(いま復活している水の力によ
:る実験程度の)ものであり、BとCはそれなりに高いでしょ
:う。原子力より強力で危険な力源を擁しているという見方
:で良いはずです。
中崎 : 下手に使えばあっさり滅びることも可能だと。
: 滅びると言えば、霞ヶ池文明が滅んだのはいつ頃でしょ
:う?
sf : A.は亡んだというよりも大和朝廷へと変化したと考えて
:良いでしょう。ただし、霞ヶ池の力――と吹利自体は、危
:険性により封印・放棄されるだけの事件があったはずです。
: この封印は(05のシナリオで扱いましたけど)スサノオ(風
:の属性を持つ死後の世界の支配者)などの関与による現在
:の吹利への封印です。のちに吹利の名が封里と同一視され
:る原因がこの時期の封印のためだと考えています。
中崎 : 封じられた里ですか。では、BとCは?
sf : B.が亡んだのは、ムーよりも二千年、一万年前くらいで
:しょうか。原因は霞ヶ池の力を利用して超科学の産物をコ
:ントロールする知識が失われていったためでしょう。
: この時、暴走により大洪水が世界各地で発生する……と
:か。始原の水ですから、完全に覚醒すれば世界を水のそこ
:に戻すと考えています。
: いちおう、A王朝はこの文明の遺産を多少なりとも引き
:継いで、日本アルプスに一時待避した一族により作られま
:す。
: Cが亡んだのは、超科学的異変でしょうから、正面から
:霞ヶ池の暴走としても良いかもしれません。亡んだ時期は、
:五万年前です。
中崎 : そうだったんですか。
: いろいろありがとうございました。
: これで、第一回特別講座「霞ヶ池文明について」を終わ
:りにいたします。講師はデザイナーのsfさんでした。
連絡先 / ディレクトリルートに戻る / TRPGと創作“語り部”総本部