プレイエピソード『鎮めの舞姫』


目次



プレイエピソード『鎮めの舞姫』



初期情報

 プレイエピソードとして展開します。
 既にプレストーリー的に生成されていたエピソードなどをもとに、再構成し
ていきます.

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舞台:
 近鉄吹利レジャーランド

事件:
  最近、アトラクションの作りかえを行なおうと工事を開始したところ、
幽霊が出るとの噂が。
  工事現場での事故(作業員)も相次いだため、とにかく何とかしてもらおうと
トラブルシューターが呼ばれる。
  場所が霞山のすぐ近くですので、他の組織が首を突っ込んできてくれるのも
よろしいかと。

# 現時点で長谷川郷の呪殺者(長谷川伸浩)登場予定ですが、こいつは
最高技能値13くらいを考えているので、できれば他の方のキャラクターが
乱入して下さればと思います。

事実:
  新聞・テレビの扱いの小さな報道。近鉄吹利レジャーランドは事実を隠して
いる(あたりまえだ)。
  幽霊は女、古代に行なわれていた『鎮魂舞』の最後の舞手。

# どうやら吹利レジャーランドは古代の祭場を含んでいたようで(笑)
# 儀式を続けて欲しいのか? ……うーむ、どうしよう。
# 晃一の夢に出てきたのもこの女か? 

全体構想:
  『鬼面の人』に関連するような話にする。
  どういう形で関わるかは全く考えておりません。
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 長谷川伴緒宅。すっかり暗くなった窓の外では、秋の雨が降っている。気温
は十六度。涼しいのを通り越して、いささか寒いような温度である。

 伴緒		:「……こういう季節になったか」

 部屋の真ん中に置かれたちゃぶ台の上では、ガスこんろにかかった鍋がぐつ
ぐつ言っている。葱と大根の入った笊に並んで、武勇の四合瓶がちゃぶ台の傍
らの盆に乗っていた。

 友久		:「寒いな」
 伴緒		:「鍋と酒の季節の到来か」
 友久		:「珍しいよ」
 伴緒		:「なにが?」
 友久		:「長谷川がそこまで喋るのが、だ」

 伴緒		:「そうだな」

 黙って酒瓶をさしだす伴緒。黙ってぐい呑みを差し出しす友久。泥臭い、し
かし暖かなデザインのろくろ作りのぐい呑みに、酒の香があふれる。
 煮えた鍋の中身は、大根と葱と鶏だった。出汁にそれをとり、食べる。食べ
ている間は、二人ともほとんど言葉を交わさなかった。
 食べ、呑んだ後、友久が酔った様子もなくいきなり言った。

 友久		:「で、今度の仕事はなんだ」
 伴緒		:「護衛だ」

 簡潔な答えが返ってきた。

 友久		:「だれの?」

 重ねる問いも、短い。

 伴緒		:「舞姫」

 この一言で、友久は了解した。長谷川と同じ使命を代々受け継いできた、山
川一族。その山川の舞姫は、吹利にいた。
 この世ならぬものを見、それを鎮める舞を舞う少女。伴緒との初仕事も、た
しか舞姫の護衛だった。

 伴緒		:「今回は、二人だけだ」
 友久		:「大丈夫さ。相手は人間か?」
 伴緒		:「人間だ」

 一番厄介な相手でもあった。鎮めの舞を舞われては困る輩。手段を問わず、
舞姫を排除しようとするものもいた。
 人間と、人間に使役される鬼を、力で制圧する。それが伴緒の本来の役目だっ
た。
 ……いや、伴緒だけではない。長谷川と山川の全ての男達が、綿々と受け継
いできた役目。カミを鎮める女達を守り、鬼と人をねじ伏せること。

 友久		:「なあ、長谷川」
 伴緒		:「ん?」
 友久		:「あの舞姫は、何が楽しくて舞うんだろうな」

 友久が見た普段の舞姫は、ただの小学生だった。むろん、天才的な音楽の才
能を持っている点は、普通ではない。
 しかし晃一と遊んでいる姿は、どこにでもいる少女だった。

 伴緒		:「さあな……ただ、これだけは言える」
 友久		:「なんだ?」
 伴緒		:「麻衣は、自分の務めを楽しんでいる」
 友久		:「務め、か」
 伴緒		:「鎮めの舞を舞えるのは、あの娘一人だ」
 友久		:「一人だけか」
 伴緒		:「長谷川の掟は知っているだろう」

 むろん、友久も知っていた。呪術をよそ者に知られないこと。
 長谷川郷に協力要員として派遣されるにあたり、友久もそれはくどいほど念
を押されていた。

 友久		:「もちろん知っているさ」
 伴緒		:「それを承知の上で、真名見が外部に応援を頼んだのは、
		:何故だと思う」

 一騒動あったことは知っていたが、真名見が何を考え、『守り役』がそれを
どう判断したのかまでは、友久も聞かされていなかった。

 友久		:「いいや。何故だ」
 伴緒		:「俺達の受け継いでいる術は、形を持っていないからだ」
 友久		:「形がない?」
 伴緒		:「そうだ。…………むろん、術の基本と武術は、皆叩き込
		:まれる。しかし、その術をどう使うかは……それぞれだ。
		: 同じ術を学んだはずなのに、真名見は言葉を操る。俺は、
		:これだ」

 錦の袋に入った錆丸を、伴緒は叩いた。

 友久		:「それで、何故俺が?」
 伴緒		:「淀んだ水は、腐るだけだ」

 自分のぐい呑みの中に残っていた酒を、伴緒は干した。

 伴緒		:「古い術と、それを使いこなす者の多様性こそが、力になっ
		:ている。だが、今度の仕事は更に新しい力を必要とした。
		:そういうことだ」
 友久		:「で、舞姫は」
 伴緒		:「古い血を引いた、新しい存在だ。郷のことも、山川一族
		:の本当の使命も、教えられていない。
		: 知らなければこそ、強い一面もある」
 友久		:「それで、いいのか」

 血の束縛。友久は、苦々しい思いでそんな言葉を思い浮かべた。

 伴緒		:「嫌なら、麻衣が判断するさ」
 友久		:「出来るかどうかは怪しいものだな」
 伴緒		:「できるさ。麻衣は外の世界で生まれた人間だ」

 ことりと音を立てて、伴緒がぐい呑みを下ろした。

 伴緒		:「あの娘が舞い続けたいという限り、俺はこいつを握って
		:外陣を守る。俺にとっては、それだけだ」

 穏やかに言いながら、伴緒は太刀の入った袋を引き寄せた。


解説

 えーと、まだ編集されていませんが、続いております。



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