この記事は以前からの幾つかの書き込みを元に、語り部の世界別サプリメ
ントを作る上で考えるべき事についてまとめなおしてみたものです。
まだまだ不完全ですが、とりあえず考えをまとめる役にはたつでしょう。
今後これを発展させて、サプリメント作成の詳細ガイドやサプリメント作成
ワークブックを作成できたらよいなと思っております。
せかいべつ・サプリメント【世界別サプリメント】《用語》
ある特定の世界設定を再現するためのサプリメント。作者の新たに
考えた創作世界サプリメントと、既存の小説などをもとにした原作も
のサプリメントとに便宜上分けられる。
→サプリメント
→創作世界サプリメント
→原作ものサプリメント
サプリメント【supplement】《用語》
本来は補遺、追加、別刷り、付録といった意味。
語り部では基本ルールでは不足していた世界設定ごとの追加ルール
や追加データ、追加シナリオやプレイを簡単にするための道具類をま
とめた「世界別サプリメント」と、シチェーションごとの汎用的に利
用できるデータや追加ルールを収集した「行動別サプリメント」とが
ある。
→世界別サプリメント
→行動別サプリメント
こうどうべつ・サプリメント【行動別サプリメント】《用語》
ある特定のシチェーションについて、データや追加ルールを収集し
たサプリメント。空戦サプリメントなど。
→サプリメント
そうさくせかい・サプリメント【創作世界サプリメント】《用語》
商業的に流れていない作品世界をもとにしたサプリメントや、最初
から語り部でプレイするために考え出された世界を舞台としたサプリ
メントのこと。
→サプリメント
→世界別サプリメント
→原作ものサプリメント
げんさくもの・サプリメント【原作ものサプリメント】《用語》
商業的に流れている作品の世界をもとにしたサプリメントのこと。
公開して流すには著作権上の問題がありうるので語り部通信では扱わ
ない事になっている。創作世界サプリメントと対比して用いる。
→サプリメント
→世界別サプリメント
→創作世界サプリメント
語り部のサプリメントを考える上で何を決めておく・整理しておく必要があ
るのかを列記してみます。
・どんなキャラクターで遊びたいのか(強さ、権限、能力分担の有無)
・独自のデータ・用語の集積(百科事典・人名録)
・どんなストーリーを再現したいのか(パターン、流れ)
・禁止事項、推奨事項の整理(イメージとそれに基づく制約)
・数値化サンプル(サンプルキャラクター、ひな型)
サプリメント化にあたってはこれらを分析・抽出していくことになります。
この抽出作業においては「その世界がどのような個性的な部分を持っているの
か」を分析する事になりますので、サプリメントにとってはその特殊な点をい
かに再現するかが勝負になります。
以下ではサプリメント化にとって重要なデータの集積方法と、ストーリーを
再現する手段について考えてみます。
基本的に語り部のサプリメントに必要なデータセクションとしては、
・特有の「特徴」や「技能」のリスト
・主要な技能値のイメージ技能値対照表
・難易度表
があります。
あとは用語やガジェットをため込むだけです。
細かい事を考える必要はありません。名前とイメージだけで良いんです。ほ
んとはキャラクター作成時に考えても大丈夫。いや、プレイ中にも技能や特徴
は追加可能なので、プレイ前の準備不足でさえ問題にはならないくらいです。
とはいえ、一からキャラクターイメージを固められない人のためにもある程度
はリストがあったほうが良いでしょう。
まあ別に無くても問題ないんですが、特別なものが用意されているとよりイ
メージしやすいので、考えてみる事をお薦めします。語り部では技能値も特徴
もキャラクターに関するイメージから直接決定しますから、イメージを即座に
数値に変換しやすくする事は重要なんです。
サプリメント固有の行動や、頻出する行動の難易度と効果程度のイメージの
対照表を、行動結果の程度を描写するのに用います。語り部では効果の程度と
成功率とをプレイヤーが自由に操作できますから、難易度によって数値的に効
果の程度のガイドラインを明示するだけで、サプリメント固有の特殊な行動も
統一的に解決できます。
……別にこれが無くても汎用の難易度表でも問題はないのですが、やはり行
動内容ごとの難易度表があったほうが具体的なので分かりやすいんですよね。
今までの語り部の設定では、百科事典や人名録を中心として用語や設定資料
をまとめています。
方法はこれに限らなくても、世界設定に関係する特殊な用語や造語、各種の
アイテムや設定は分かりやすく取りまとめておく必要があります。
これは結構面倒な作業でして、原作を一からチェックして用語やデータを集
めて行くのは大変です。この作業と同時に各種の制約を抜き出すと良いわけで
すが、これもまた大変。
それが市販品であれ同人誌であれ、原作の設定資料などが十分詳細に公開さ
れているならはかなり楽になるのですが。
どのようなサプリメントを作成するのであろうと、そのサプリメントがどん
なストーリーを再現したいのかをはっきりさせることは重要ですよね。サプリ
メントを「何を再現するために作るのか」がはっきりしていないようなら、単
にガジェットだけを数値化するだけで完成だといえます。
語り部はガジェットを容易に数値化する事が可能なように作られていますか
ら、サプリメントと言うほどの手間はかかりません。
まあ、世界観を深く理解しているもの同士がうちわでプレイする場合なら、
ガジェットを整理するだけでも(いや、それすら不要かも)十分なのかもしれま
せんが……。
ストーリーの再現を補助するための道具立てとしては、特徴の適用基準と技
能の使用制限が利用できます。
ストーリー展開に一定の型が存在することは良くある事です。
あらかじめシナリオ流れの要所要所をブロック化しておいて、各ブロックご
とに何をすべきかなどを決定しておくことにより、シナリオのひな型を作成し
ておくことが可能になります。この時各ブロックごとに特徴の適用基準や技能
の使用制限を決定しておくことによって、キャラクターら何ができるかを制御
することが可能です。
シナリオのひな型を原作のストーリー展開から決定して、ストーリーの流れ
を再現する道具として利用するわけです。
特徴の適用基準は、ストーリーを幾つかのブロックに分割して、各ブロック
ごとに決定されます。
オーソドックスなのは参照用ルールにもあるような「普段」と「クライマッ
クス」の二種類のブロックを用意し、普段は有利なものと不利なものと二つの
特徴を適用し、クライマックスでは有利なもの二つを適用するというものにな
ります。
再現したいストーリーによってはブロック分割を細かくしたり、特徴の適用
基準をさらに変化させたりすると良いでしょう。
特徴の適用について気をつけておくこととしては、あまり適用できる特徴が
増えると繁雑になることと、大量の特徴が加算された場合のバランスに問題が
あることがあげられます。
特徴の使いすぎには気をつけましょう。
これは禁止事項・推奨事項とからむのですが、あるシチェーションの解決に
は特定の技能しか使用できないという制約、あの技能による攻撃はどの技能で
しか無効化できないという制約を決定しておくことによって、キャラクターに
できることとできないことを整理しておくができます。
語り部では最高技能値の範囲内でならなんであろうと行動可能になりますけ
ど、再現したいストーリーによっては、職業別に分業できるように技能同士の
三すくみ的な関係を規定してもかまわないわけです。
また、一度ピンチにならないと必殺技を使用できないという場合などには、
ピンチに陥ることで移行できるシナリオブロックでのみ必殺技技能を使用でき
ると規定することによって再現できます。
数値データをイメージから直接数値を決定することによる自由度が語り部の
売りなのですが、世界設定に応じて取りうる特徴・技能の制限を行なう必要は
ありますね。これも世界観を再現するための制限の一環と言えます。
具体的方策としては、ひな型や定型技能・必須技能などをあらかじめ提示す
ることにより取りうる可能性を限局することと、「べからず集」を作成するこ
とにより作品世界において存在してはならない技能や特徴のジャンルを定義す
るといったところでしょう。
その作品らしさを出すために必要なのは、禁止事項と推奨事項であると私は
考えています。作品世界が許容しないような人物・設定・行動が可能であれば、
原作つきの名にあたいしないと考えるからです。
さて、特徴・技能の数値化時の取得制限や使用制限を、イメージとそれに基
づく制約として決定するためには、作品世界では「何が許され」て「なにが推
奨され」て「なにが禁止され」ているのかを見定める必要があります。
推奨事項には、作品内のお約束や展開上のパターンなども含みます。
行動における禁止事項の再現には技能の使用制限を使用し、行動における推
奨事項の再現には推奨事項にそった行動を行なう場合に特徴の適用基準を有利
にすることで対応できます。
設定上の禁止事項はキャラクターの数値化の時点で示しておくとよいわけで
すね。
プレイを盛り上げる上では、「敵」に関する設定を明確にすることサプリメ
ントにおいては重要になります。
どんな敵が出てくるのか、何をするために出てくるのか、どうやって倒す・
無力化するのかを明記しておく必要があるでしょう。
他の人が読んでプレイしやすくするためには、以下のものがあるとよりよい
かと思われます。
・サンプルキャラクター(即プレイできるように)
・世界観を伝える小説
・ひな型(フルスクラッチよりは楽になるし、イメージも伝えられる)
・リプレイ(実際にどうプレイしていくのかの例示。読みやすいですしね)
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