ここではシナリオを構築する上での障害の重要性について考えてみて、さら
に語り部で障害をどう表現していくかについて考えて行きましょう。
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GM : 今日のシナリオは盗賊退治だ。砦に立てこもった盗賊達
:を前にしているという状況ね。
PC : では、砦に立てこもった盗賊を退治します。
GM : えーと、盗賊団という集団キャラクターは技能値15とし
:て扱いますね。
PC : ふふふふふ。私は精霊魔術20(超外道)があるのだ。
:「ふはははっ。大地よ砕けよっ」
: 強制力15、目標値5。2D6で3! 成功ですね。
GM : では、轟音とともに大地が割け、大きく揺れる。地割れ
:はまっすぐに砦を襲った。
: ……強制力15なんて耐えられるわけが無いわな。瞬殺だ。
: 砦が崩れ落ち、中から悲鳴が聞こえた。無事に逃げ出せ
:た人間はい無いようだ。
PC :「ふっ、たわいも無い」
: ……これで終わりですか?
GM : その通り。
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……こんなシナリオ展開じゃ面白くありませんよね。
上の仮想リプレイのどこが悪かったのでしょうか。
むろん「敵と味方との戦力差が大きすぎる」というのもありますが、おそら
く最大の問題点は「一行動を判定するだけでシナリオが終了してしまった」と
いうところにあるはずです。
これは「最終目的を達成するのに一回しか判定が必要でなかった」という事
が問題であるということでしょう。
この問題を引き起こさないためには、最終目的を達成するためには幾つかの
障害が用意されていて、簡単には最終目的を達成する事ができないようにして
おく必要があります。
シナリオには最終的に達成しなければならない目的が用意されているはずで
す。例えばダンジョンものであればダンジョンから宝物を持ち帰るというのが
最終目的となるでしょうし、モンスター退治ものであれば特定のモンスターを
退治して無事に帰ってくる事が最終目的になりますよね。
また、キャラクターの個性を生かしつつ日常を演じて行くような自由進行型
のセッションの場合にも、キャラクターそれぞれのパーソナルゴール (個人の
生きる上での目的)が、ストーリーを引っ張る原動力になります。 ある人と恋
仲になりたいとか、金をたくさん儲けたいとかいった個人的に欲求の元に、ラ
ブレターを出してみたり商売に勤しんだりするわけです。
しかし、さきほど仮想リプレイで見ましたように、最終目的は簡単に達成で
きては困るというわけですね。そこで、最終目的を達成するまでには様々な障
害が用意される事になります。
ダンジョンものであればワンダリングモンスターや罠、仕掛け類。さらにダ
ンジョンの壁や通路の繋がり自体が障害の一種だといえます。
恋愛ものならばライバルや自分自身の不甲斐なさ、周りの目や不幸な事故な
どが障害となって「恋仲になる」という(当座の)最終目的の前に立ちはだかり
ますよね。
最終目的を設定して、簡単に最終目的にたどり着けなくするための障害を設
置していく事が、シナリオ作成において必要になるという事はとりあえずわか
りましたので、次は語り部では障害をどう再現していくかについて考えて行き
ましょう。
語り部において障害はだいたい二種類に分ける事ができると思います。
・キャラクターデータを持つ敵(個人に限らず組織や特殊な物品も含む)
・難易度を持つ障害
キャラクターデータを持つ敵を排除するには強制力ロールで戦闘を行い、難
易度を持つ障害には難易度ロールで障害の解消を試みるわけです。
ただし、これらの障害は運が良ければ一度のロールで解消されてしまいます。
特にシナリオ上重要な障害については、最低一回のロールで打破されてしま
いたくない事があります。ボス敵などは簡単に倒されて欲しくはありませんよ
ね。
そういう場合には、重要な障害を打破するためにはいくつかの小障害を打破
しなければならないと設定しておくと良いでしょう。重要な障害を打破すると
いう事自体をショートシナリオとして、重要な障害の打破を最終目的と考える
わけですね。
これによって二段変身するボスなども再現する事が可能になります。
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