- 桜居珠希(さくらい・たまき)
- 首を操る女子高生。
- 朝霞有希(あさか・ゆき)
- 魔女でもある女子大生。
- 碓氷奏雅(うすい・そうが)
- フリーライター、水神に祟られている
渋谷駅、夕暮れには早い時間帯。学校帰りの女子高生達で賑わっている。
- 奏雅
- 「ふむ」
黒のカッターシャツ、スラックスに薄手のベルト付ジャケットを着込み、長い髪をサイドを残し一つに束ね、これまた黒のつば広帽子をかぶったといういでたちで奏雅は行き交う人波を眺めていた。背の高さと肩の広さとあいまって男性っぽくも見える。
- 奏雅
- (……そう簡単に雑誌レベルの子はいないかぁ……)
今日は、よく記事を書かせてもらっているファッション誌の取材で簡単なアンケートと写真撮影が目的だ。とはいえ、そうそう可愛い子ばかりがいるとは限らないし、写真撮影となると学校の都合で断られてしまうこともしばしばだ。
ちょっと場所を変えてみよう。肩のカメラケースを背負い直し、別の大通りへと足を運んだ。
- 珠希
- 「暇ねぇ……なんだか買い物もめぼしいものなさそうだし」
- 有希
- 「バーゲンもまだだもんね」
制服姿の珠希は大学帰りの有希と連れ立って渋谷の大通りを歩いていた。
- 奏雅
- 「……ん?(あの子可愛いじゃない)」
通行人を眺めていた奏雅はふと足をとめ、通り過ぎた珠希を振りかえる。目立つ容姿、制服も可愛い、雑誌掲載のモデルには申し分ない。断られるかもしれないが一応声をかけてみることにする。
- 奏雅
- 「すいません、ちょっとよろしいですか?」
- 珠希
- 「ん?」
軽く会釈し、相手を緊張させないよう業務用の微笑を浮かべる。
- 奏雅
- 「突然、すいません。私、ファッション誌『Tenten』で記事を書いてる碓氷という者です、もしお暇でしたら簡単なアンケートにお答えしていただけませんか?」
名刺を差し出し、馴れた口調で話し掛ける。
一瞬驚いたような顔をしていた珠希と有希だったが、ファッション雑誌としてそこそこ売れている『Tenten』の名前で少しほっとしたような顔になる。
- 珠希
- 「いいわよ、丁度暇極めてたし、ちょっとまってね(ケータイに電話かける) あー、私今日の買い物パス、急にいけない用事出来たわ」
- 奏雅
- 「あ、あとこれ最初にお聞きしますけど、一応確認のためですが写真掲載は大丈夫でしょうか?」
- 珠希
- 「大丈夫よ、ウチの学校校則テキトーだし」
- 奏雅
- 「ありがとうございます、ではこちらの用紙の質問事項に答えていただけます?あとすこし撮影をお願いしますね (微笑)」
- 珠希
- 「(名刺を見る)碓氷さん……ね(あー、このライターの名前たまに見るわ、信用して良さそうね)」
名刺を確認して、アンケートに目を通している。なかなか馴れたものだ、これだけ目立つ子ならよく声もかけられることだろう。質問内容はファッションに関連するいくつかの
- 有希
- 「珠ちゃん慣れてるなぁ」
隣の女の子が感心半分呆れ半分珠希を見つめている。
- 珠希
- 「っと、こんなところでいい?」
- 奏雅
- 「はい……(すごいわね、プロ並みの知識ね……)ご協力ありがとうございます。あとよろしければ、最近のファッションで個人的に気に入っているものはありますか?」
- 珠希
- 「そうねー、ネンドグラフィックスってとこのTシャツかな、男の子に着て欲しいわ」
- 奏雅
- 「ありがとうございます(流行の最新チェックもきっちりしてる……大した物ね)それではちょっと写真撮影をさせていただいていいですか?」
- 珠希
- 「いいわよ、任せて」
- 奏雅
- 「じゃあ……(きょろきょろ) あちらのお店の前でいいですか?」
適度に配色がよくて、いい背景になりそうな店をすばやくみつくろう。
- 奏雅
- 「(ん、一人じゃちょっとさびしいなぁ……)」
- 有希
- (こそこそ)
- 珠希
- 「あ、モデルも一人可愛い娘いるわよ、ほら、照れてないで、有希ちゃん」
- 有希
- 「あう、つかまった」
- 珠希
- 「ね、可愛いでしょ。この子ね、あの朝霞沙希の妹なのよ」
- 奏雅
- 「(……うん、絵になるな) そうなんですか、ぜひ一緒にうつっていただけませんか?(こんなところに……世間ってせまいな)」
- 有希
- 「あ、それは言っちゃダメだっ……て、もう遅いや……しょうがないなぁ、いいですよ(にこ)」
- 珠希
- (ぼそ)「こういうのはいかに売り込むかよ、勝負なのよ、有希ちゃん」
- 有希
- 「(耳打ち)んー、私は静かに暮らしたいの(^^;) 珠ちゃん」
- 奏雅
- 「では、こちらでちょっとポーズをとっていただけません か?」
- 珠希
- 「(あ、このライター、文章だけかと思ったらカメラも結構堂に入ったモノね) 」
- 有希
- 「こうかな〜(決めっ☆)」
- 珠希
- 「有希ちゃん、ナチュラルにこう背筋をピッとね」
- 奏雅
- 「では、撮りますね。ハイ、ポーズ(カシャ)」
二人を写真におさめ、深々と頭を下げる。
- 奏雅
- 「ご協力ありがとうございます。こちらで取材した内容と写真はTenten10月号に掲載されます。その際にまたご連絡差し上げますね」
- 珠希
- 「わかったわ、それじゃね、碓氷さん」
- 奏雅
- 「では、ご質問などありましたらそちらに書いてある携帯に遠慮無くかけてくださいね」
- 有希
- 「はーい、さよなら〜)」
もう一度頭を下げて、奏雅は雑踏の向こうへと歩いていった。
碓氷奏雅と桜居珠希&朝霞有希との出会いの話です。
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