- 月島直人(つきしま・なおと)
- 喫茶・月影の店長。物体操者
- 更雲優(さらくも・ゆう)
- ねこみみメイドの人造人間。月影のウェ
:イトレス。
- 更雲翔(さらくも・しょう)
- ねこみみメイドふぇちの科学者。研究員。
AM10:00。月影の開店準備を始める時間である。
- 直人
- 「やっぱり、バイトがいると助かるなぁ」
- 優
- 「ありがとうございます」
- 直人
- 「翔の家でも、掃除とかしてるんですか?」
- 優
- 「はい、掃除や洗濯、料理などといった基本的な行動はできるように作られましたから」
- 直人
- 「なるほど……」
優の掃除は、なかなか手慣れたものだ。手際良くこなしている。
- 直人
- 「じゃあ、とりあえず店の中は良いですね?」
- 優
- 「はい、じゃあ、外行ってきます」
- 直人
- 「あ……待って、まだもう少し中で仕事があるんです」
- 優
- 「はい……なんでしょうか?」
直人は、ごそごそと棚の中から一つの箱を取り出す。衣装箱のような大きなもので、まだ封も切られていない。
- 直人
- 「これを、着てもらいたいんです」
がさがさと封を切り、箱を開ける。
- 優
- 「これは?」
中から出てきたのは、フリルのたくさんついたエプロン。
- 優
- 「あ……エプロン?」
- 直人
- 「はい。……まあ、母が生前に着ていたものを模して作ったんですがね……」
確かに、このような喫茶店ならばまあ似合わない事はないとは思うが、ちと気色が違う気もする。
- 直人
- 「まあ、下は自由で構わないんですが、そのエプロンは着けてもらおうかなぁって……」
- 優
- 「(くすくすっ)」
- 直人
- 「何かおかしい……ですよね……こんな趣味」
- 優
- 「(慌てて) いえ、趣味がどうとかって言うんじゃないんですけど……。マスターと似たような事おっしゃるから……」
- 直人
- 「え? ますたー?」
- 優
- 「あ、翔のことです」
- 直人
- 「翔も似たような事言ったんですか?」
- 優
- 「はい、この服、私が”月影は制服がない”って言ったら、翔さんが『これじゃなきゃ駄目だ』っておっしゃって……」
彼女か着ているのは、俗に言う「メイド服」というやつである。普通、このような服を着させようとは思わないのだが、あいにくと直人の友人であり、優の作成者でもある更雲翔は普通ではなかった。
- 直人
- 「いや……僕の趣味ではないんですよ……。ただ……おやじも、母のそのエプロン、気に入ってましたんで……」
- 優
- 「はい。着させていただきます(にこ)」
- 直人
- 「あ、ありがとうございます(ほっ)」
エプロンを着け、くるりと身軽に一回転してみせる。
- 優
- 「どうですか?」
- 直人
- 「ええ、良く似合いますよ」
- 優
- 「ありがとうございます(にこっ)」
時間は、11:00をさしていた。そろそろ開店の時間である。
PM6:00。喫茶月影。
入り口のドアに付いたベルが音を立てる
- 優
- 「いらっしゃいませ」
- 直人
- 「いらっしゃいませ……あ」
仕事帰りの優の作成者、翔である
- 翔
- 「よっ。もう(優に)手出したか」
- 直人
- 「だしてないっ」
- 優
- (^^;
翔、優の服装を見て一言。
- 翔
- 「えぷろん……」
- 直人
- 「ん?」
- 優
- 「ご注文は何になさいますか」
- 翔
- 「あ、ミルクティ牛乳抜き」
そんなもんはない
- 優
- 「あのー(^^;」
- 直人
- 「ほいストレートな」
皆まで聞かずにカップをあまり丁寧とは言えない置き方で翔の前に差し出し、注ぐ
- 翔
- 「ミルクもくれ」
- 直人
- 「……営業妨害に来たのか(^^#」
- 翔
- 「うーむ」
- 直人
- 「どうした」
- 翔
- 「思うんだけどさぁ」
- 直人
- 「何が?」
- 翔
- 「フリル付きエプロンって、お前の趣味か?」
- 直人
- 「……」
優、扉のほうを見て他人の振り(笑)
- 直人
- 「ちわうわいっ」
- 翔
- 「違うのかエプロンふぇち」
- 直人
- 「好き放題言うなっ。母が生前に着ていたものを模して作っただけだっ」
- 翔
- 「まざこん?」
- 直人
- 「ちがうっ。ただ……おやじも、母のそのエプロン、気に入ってたから……」
- 翔
- 「ふぁ……」
- 直人
- 「蹴るぞ」
翔、直人から視線を外して、テーブルを拭いている優を見る
- 翔
- 「ふむ。ふりふりエプロンも確かにいいなぁ」
- 直人
- 「いや、別にふりふりは関係ないんだが……」
- 優
- 「はい?」
- 直人
- 「いや、こっちの話」
- 翔
- 「どーせならねこみみも付けようよ〜」
- 直人
- 「却下」
- 翔
- 「しくしく」
- 翔
- 「ふーむ。深層心理が読み取れるなぁ」
- 直人
- 「何だって?」
- 翔
- 「夫婦二人で仲良く喫茶店経営か……」
- 直人
- 「な……俺はそんなつもりじゃ」
- 翔
- 「優は絶対にお前にやらんからな」
- 優
- 「はい? わたしが何か?」
- 直人
- 「ちが〜う。ほんとに違うんだ〜」
更雲優のウェイトレスのバイト1日目。優がフリルのエプロンをつける事になった経緯、およびフリルのエプロンをつける事になった優を見て翔が直人をいじめる話です。
1999(1st)年6月。「よみがえりしは兄の愛」の後日にあたる。
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