エピソード018『月影の風習』


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エピソード018『月影の風習』

登場人物

月島直人(つきしま・なおと)
喫茶・月影の店長。物体操者。
更雲翔(さらくも・しょう)
ねこみみふぇちな科学者。優を作成した。直人の高校時代からの友人。
更雲優(さらくも・ゆう)
ねこみみメイド。翔によって作られた人造人間。月影のウェイトレス。

月影

直人
「優ちゃん、2番にキリマンジャロ上がったよ」
「はい」

特に忙しくはない、いつもの喫茶・月影。今日は、珍しく更雲翔が顔を出していた。

「ふむふむ、結構良いコンビじゃないか」
直人
「何をしに来たんだ……お前」
「いや、お前の大好きなふりふりのエプロンを見にな」
直人
「……その話は、もう終わった筈だ……な?(じろっ)」
「まあ、違うということにしておいてやろう」

二人が険悪なムードになりかけている所に、運び終えた優が戻ってくる。

「あの……マスター」
直人&翔
「なに?」
「あ、翔さんじゃなくって、直人さんの方です」
直人
「どうしたの?」
「あの……テーブルの番号ですけれども、いちいち番号を言わなくてもちゃんと覚えてますわ」
直人
「いや、番号でいうことに意味があるんだよ」
「てーぶるばんごうフェチと呼んでやろう」
直人
「何でもお前と一緒にするな!……オヤジがそう呼んでたんだよ……」
「ふぁざこーん」
直人
「別に、好きだったわけじゃないさ……ただ、目標ではある」

翔のいつもの反応だが、直人の対応はいつもと違う。

「直人さんのお父さんって、どんなひとだったんですか?」
直人
「オヤジ……か……。人の事ばっかり考えて、人のために自分を犠牲にして、人の事も考えずに死んじまった大馬鹿者だよ」

そういって、グラスを拭き始める直人。

「元気出してください……」
直人
「ありがとう。大丈夫だよ、今の俺には、やるべき事があるからね」

そう、今の日常は、かりそめのものだという事を、直人も、翔も、優も自覚していた。
 直人に、落ち込んでいる暇は、与えられてはいない……。

解説

直人の父親の想いを垣間見せる1シーン。月影での日常のひとこまです。
 この話の時点では、全員が終末の住人であることが判明しており、終末の住人としての厳しい戦いを前にしての日常であるという意識が前提となっております。

時系列

優が月影にて覚醒した後の話。



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