エピソード031『仲間?』


目次


エピソード031『仲間?』

登場人物

伊野部荘司(いのべ・そうじ)
    異能操作能力を持つ高校2年生。
 桜居珠希(さくらい・たまき)
    首使いの能力を持つ高校2年生。

本編

>>>荘司
 いた。
 人ならぬ力……異能を持つもの。
 まさかこんな近くにいるとは思わなかったけど。
 出会った人ひとりひとりを調べてきたかいがあった。

荘司
「継続は力なり……か?」

去年までの自分なら、絶対に出なかった言葉だ。
 彼女が異能者だと言うことはわかった。
 問題は、彼女が味方なのかそれとも敵なのか、ということ。
 それを見極めなければ、いけない。
 あいつが来る前に。>>>珠希

珠希
(またあいつ……)

最近、珠希はとある視線が気になっていた。
 ここ数日の登校途中、休み時間、放課後。
 間違っても想われてるという感じではないが、かといってストーカーというほどしつこくもない。
 一度だけ視線の主を見たが、目があったその瞬間に彼は逃げ出した。
 怯えた表情をのこして。
 由紀夫にそのことを話すと。

由紀夫
「珠希ちゃん、その子のこといじめたんじゃないの」

と言う返事が返ってきた。取りあえず殴って黙らせたが。

珠希
「……でも実際、心当たりないのよねぇ」

2日後。
 机の中に紙が入っていた。
 「放課後、屋上で」
 放課後。
 屋上の扉を開けると、フェンスのそばに同級生の男子が立っていた。
 見覚えがある。彼だ。
 他に人がいないところを見ると、彼があたしを呼びつけた張本人だろう。
 彼の方に歩いていく。

荘司
「そ、それ以上、近付かないでください」

声が震えている。……心の中で苦笑して脚をとめる。

珠希
「で、こんな所に呼びつけて何の用なの?」
荘司
「あなたに聞きたいことがあります」「異能者の中国人に心当たりはありませんか?」
珠希
「どうして?」
荘司
「答えてください。大事なことなんです」
珠希
「……答えなかったら?」

そう尋ねた私に彼の答えは

荘司
「あなたの……あなたの首が、おちます」
>>>荘司
 僕がそう言った瞬間、彼女の顔色が変わった。

珠希
「あんた、あいつの仲間なのね?」
荘司
「あいつ?」
珠希
「今さらごまかしたって無駄よ。答えなさい。あいつは今どこにいるの?」

彼女の気迫に押され、思わず足が後ろに下がる。

荘司
「ぼ、僕の質問が先です」
>>>珠希
 違うのかもしれない。私はうわずる声で反論する少年の様子を見て直感的に感じる。アイツの、ヘッドコレクターの仲間というものが仮にいるのだとしたら、それはこんなにも人間らしい男の子ではないような気がする。
 そう思うと途端に拍子抜けするが、この子が私の能力「首使い」に気付いていると言う事実に変わりはない。

珠希
「残念だけど……」

その言葉と同時に一気に踏み込んで間合いを詰める。もはや人間としてありえない構造の私の体は、運動能力が格段に向上している。それに対してこの子の動きは素人同然、私はそのまま彼を蹴倒すと有無を言わさずマウントした。

荘司
「グッ……」
珠希
「中国の人に知り合いは居ないわね。だから……詳しいこと聞かせなさいよ」
荘司
「な、なにを……」
珠希
「名前とクラスとどうしてこんなことしたのか? この私につきまとったんだから高く付くわよ」

私はなんだかこのシチュエーションが楽しくなってきている。私は口だけを歪めるように微笑んで見せた。>>>荘司
 彼女が僕に向かってきたとき僕は彼女の力を彼女自身に向かって開放した。
 そのはずだ。なのに、何もおこらなかった。
 もう一度、力を解放してみる。……やはり、何も起こらない。

珠希
「ちょっと、聞いてるの?」
荘司
「痛!」
珠希
「何で、こんな事をしたのか聞いてるのよ」

こづかれた。起き上がろうと色々してみたけど無理らしい。
 こんな事なら体も鍛えておけば良かったと今さらながらに後悔する。
 仕方ないので、事情を話すことにする。
 中国人の異能者に命を狙われていること。
 異能者を探していたら、彼女が引っかかったこと。
 同じ異能者なら、何か知っているかもしれないので行動にでたこと。

珠希
「たったそれだけの事で私を脅迫したの? なんか安直
な考え方ねぇ」
荘司
「こういう場合、他にどうしようもないだろ?」
珠希
「私はそうは思わないけど……それで、名前と学年は?
まだ聞いてないわよ」

あまり言いたくなかったけど。どうせ判ることだ。

荘司
「伊野部荘司。……多分1年」
珠希
「なによ、多分って」
荘司
「言っても信じてもらえないだろうけどさ。2学期が終
わったときまでは2年生だったんだ」
>>>珠希
 荘司と名乗ったこの男子の意外な言葉に私は目を丸くした。

珠希
「あなたも、なの?」

私の知る限りでは1999年を繰り返しているのは私と、親友の有希ちゃんだけだ。でも原因もなにも皆目見当がつかなかったし、当面何か出来るようなことがあるわけでもないので、とりあえずは気にしないでこの二週間混乱しつつもやってきた。そして彼は自分もそうだという。この人が直接事態の解決に結びつくとも思えないが、同じ状況の「仲間」は一人でも増やしておきたかった。それが自分の方が異常ではないことの唯一の証拠になり得る。

珠希
「伊野部君って言ったわね、今日放課後ヒマ?」

私はとりあえず「仲間」達と一緒にお茶でも飲みながら状況を整理する算段を進めていた……。

解説

伊野部荘司と桜居珠希の出会いのエピソード。荘司は仲間の存在を知り、珠希は自分の巻き込まれている状況が単なる妄想ではないと確信していく。

時系列

1999年(2回目)1月後半。



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