ベッドから白い手が伸び、目覚ましに一撃を加える。
容赦の無い攻撃に、あえなく沈黙する……って言うか、せめて止めろよ。
そのまま寝てしまうし……
目覚ましの努力も、一撃と寝返り一回が限界だったらしい。
手足を丸めて、軽い寝息を立てている。
しばらくすると、今度は窓ガラスを外からノックする音がする。
なにか硬いもので叩いてるような音が、控えめに部屋に響く。
ま、目覚ましでも起きなかったんだから、この程度では起きないだろうが……
段々と、窓ガラスを叩く音が増えてくる。
そのうち、目覚ましの音を越えて、騒々しいまでに……
ベッドの上で手足を伸ばして、う〜んと伸びをする。
ぶるっと体を震わせて、やっとベッドから下りる。
もっとも、裸のままでは外に出る訳には行かないので…
聞き分けが良いのか、ぴたっと音が止まる。
ごそごそと服を引っ張り出し、もそもそと身につける。
妙なやり取りをしながら、大きな袋を引っ張り出し、カーテンを引く。
そこにいたのは
カラカラと窓を開けベランダに出ると、鳩達が道を開けながらついて来る。
手すりの部分には烏、温室の上には雀が、他にも、数は多くないもののいろんな鳥がベランダに溢れている。
何個所かに置いてある篭に、袋から出した餌を入れる。
群れごと、餌の種類ごと、色分けされたように篭に群がる鳥達。
全部の篭に餌を入れ終わると、パンパンと袋を叩き、部屋に戻る。
独り言を呟くと、窓辺に腰をかける。
軽く伸びをすると、微笑みながら無心に餌を食べる鳥達を眺める。
これが、情報屋・葛城水稚の、朝の日課だった。
葛城水稚の朝の風景。鳥からの情報収集ですね。