- 桜居 珠希 (さくらい・たまき)
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- 放課後首狩り魔。その実体は、ふつーの女子高生。終末の住人。
- 岡崎 鞍馬 (おかざき・くらま)
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- 生まれながらに無敵の肉体を持つ小学生。不登校。終末の住人。
4月初頭の、ようやく暖かくなってきたうららかな春の日の喫茶「月影」。
- SE
- カラカラン
- 珠希
- 「いらっしゃいま……あら、ひっさしぶりー」
- 鞍馬
- 「こんにちは」
相変わらず控えめに喫茶店に入ってくる小学生と、いつもの如く元気に愛想を振りまくバイトの女子高生。ちなみに、二人とも終末の住人である。
- 珠希
- 「どうしてんのよ、最近は。それにしても、鞍馬くんてば、薄着よねー」
- 鞍馬
- 「走ると、暑くなるから……」
- 珠希
- 「何にする?」
- 鞍馬
- 「……あ……じゃ、アイスコーヒー」
- 珠希
- 「なにそれ? おなか壊すわよ〜?」
- 鞍馬
- 「外は、もう暑いくらいだよ」
- 珠希
- 「そうなの?(汗)」
などと言いながら店長である直人にテキパキと注文を伝える。その際も会話をほとんど途切れさせることはなく、バイト初期の珠希と比べてその進歩に感心する鞍馬。昔は会話に没頭して直人に注意されることもしばしばだったのだ。
- 鞍馬
- 「……ねぇ、珠希ちゃん」
- 珠希
- 「何よ?」
- 鞍馬
- 「中学校の教科書、持ってる? 参考書とか……」
- 珠希
- 「ちゅうがっこう? のきょうかしょ? んー、持ってるのもあるけど大概捨てちゃってるかもねー。……何するのよ、そんなの?」
- 鞍馬
- 「勉強」
- 珠希
- 「べんきょう?! もう中学生のをやるの?」
- 鞍馬
- 「うん。どこにも行かないときには、家でやってるから」
- 珠希
- 「偉いわねぇ。何でまたそんな殊勝なことしてんのよ」
- 鞍馬
- 「……もう新学期だよね……」
- 珠希
- (……はた)
一瞬の間があって。
しかし、意味の解る者にとっては、それは現実を直視させられる永遠に等しい瞬間であった(笑)。
- 珠希
- 「……今年、"何回目"だっけ(汗)」
- 鞍馬
- 「……三回目」
- 珠希
- 「鞍馬くん、小5だっけ?」
- 鞍馬
- 「てことになってるけど、本当は……」
沈黙。
- 珠希
- 「……あ、あははは、私も人のこと言えないんだったわ」(ひきつり笑い)
- 鞍馬
- 「最近背が伸びちゃったから、学校に行くと目立ってるような気がしてさ……」
- 珠希
- 「そう? 小柄だから全然そうは思わないけど……って、本当のトシ考えたら、小さいままってのもいやか」
- 鞍馬
- 「うん……それはある」
- 珠希
- 「私もねぇ……最近同級生のノリがきつくなっちゃってきちゃってさぁ……」(以下延々と愚痴)
- 鞍馬
- 「…………(汗)」
お年頃の住人たちの苦悩はまだまだ続く(笑)
『災厄』の時間ループの影響を唯一受けない、終末の住人たち。
しかしそれは、世界の中で自分たちだけが歳をとると言うことであり。
1年単位の生活を送っている、特に若い住人たちには、とても耐え難いことであるのです。
……シリアスなシチュエーションのはずなのに、どうしてもコメディになるなぁ(笑)。
1999(3rd)年4月初頭の春休みのこと。
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