エピソード073『水稚と小次郎』


目次


エピソード073『水稚と小次郎』

登場人物------------

葛城水稚(かつらぎ・みずち)
新宿に居を構える女情報屋。行く宛の無い小次郎の面倒を見る。
八島小次郎(やしま・こじろう)
結界能力に覚醒したばかりの若者。血気盛んな16歳。
てほどき---------

水稚
「じゃあ、はじめましょうか」
小次郎
「…………」

緊張した面持ちで小次郎が頷く。

水稚
「くす。素直ね(にこ)」
小次郎
「…………」(//_//)

水稚がいつものように小次郎をからかう。
 初めての小次郎は、とにかく水稚の言うことを素直に聞くしかない。

水稚
「初めてなんでしょ。そんなに気負わなくても(くす)」
小次郎
「…………」

小次郎は一所懸命だが、その所作はぎこちない。

小次郎
「ん…………」
水稚
「焦っちゃだめよ。けっこうデリケートなんだから」
小次郎
「う…………」
水稚
「最初は……そう……ゆっくりでいいの。ゆっくりでいいから優しく……」
小次郎
「…………」
水稚
「そう、最初だから……柔らかく……優しく……」
小次郎
「…………ん」
水稚
「ん、そう……いいわ、その調子」
小次郎
「…………ぅ」
水稚
「ん、いいわ、いい感じよ」
小次郎
「ぅ…………ぁ……」
水稚
「焦っちゃだめよ。まだゆっくり……」

小次郎の鼓動が速くなる。

小次郎
「あああ…………」
水稚
「だめ、いきなりそんな激しくは……」

小次郎が水稚の言葉を無視する。

水稚
「だめっ、そんなにすると壊れるっ」
小次郎
「あぁぁぁぁっっっ……」
水稚
「まだ早いわっ、もっと我慢してっっ!」

小次郎が荒々しく力を注ぐ。

水稚
「だめよっ……ぁっ」
小次郎
「ぅん……ぁぁぁっっ」
水稚
「ぁ、だめっ、壊れるっっ!」
SE
キィィィィィィ…………ン
SE
バュゥゥゥ……

小次郎の張りかけの結界が消滅した。

水稚
「だから、いきなり強力なのはムリだって」
小次郎
「……結構難しいんだな」

時系列

3rd.1999.5.中旬

解説

水稚に結界の張りかたを学ぶ小次郎。



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