さて、市販サプリメント並みにデータなどをそろえるのは困難であるため、
語り部では、
・データをその場で作ることを可能にする。
・キャラクターデータのプレイ中の増補改定を許可する。
・アイデアの素直な数値化を可能にする。
などの方法を採用しています。これは「個性あふれるキャラクターを簡単に
扱う」ための道具立てでもあります。
具体的なキャラクターの作例を挙げてみましょう。
そうですね、一般的なルールでは扱いにくいキャラクター……。
どんな事件にもあらかじめ適切な発明品を用意しているマッドサイエンティ
ストとしてみますか。長いので「こんなこともあろうかと型発明家」としてみ
ますね。(これでも長いか(;^^))
「こんなこともあろうかと型発明家」は、障害にぶつかったときに「こんな
こともあろうかと……」と言いながら適切な発明品を取り出して、障害を除去
しようとすることができます。普通のルールだと、ヒーローポイントでも使っ
て表現するところでしょうか?
では、語り部ではどう表現するかについて考えてみましょう。
語り部では、技能値の上限によってキャラクターの強さを設定します。制限
としては上限以外のものは存在せず、上限いっぱいの技能を複数個取ろうと、
上限いっぱいの技能を「万能」と名付けようとルール的には問題とはなりませ
ん。(世界設定によっては許可されないことがあります)
この上限いっぱいの技能値を持つ技能のことを、最高技能と呼んでいます。
さて、我等が「こんなこともあろうかと型発明家」の最高技能はなんでしょ
うか。
ここは「発明」技能であると考えるのが自然でしょうね。それも「適切な発
明をしておく」という技能であると考えられます。まあ万能技能に近い設定で
すね。
こんな技能が許されるのか? ……そう、既に簡単に述べさせて頂きました
ように、語り部では最高技能に万能の技能を持ってきてもかまわないのです。
具体的な技能値は、技能値とイメージの対照表から決定します。
10 9割のプロ。凄くうまいと言うほどではないが、一通りのこ
とはこなせるかもしれない。一応金がとれる程度にはこなせ
る程度。
12 本物のプロ。まともな教授や院生クラス。その分野の進展に
なんとか貢献が可能。
名前を知られているプロ。
15 飛びっきりのプロ。普通のプロにできる程度のことは片手間
にできる。学園アクションの主人公クラス。
普通の世界チャンピオンは、せいぜいこのあたりでしょう。
今回は最高技能値を15としてみます。
個別名をつけてあげていないので、ひな型として書いてみました。
こんなこともあろうかと型発明家《ひな型》
どんな事件にもあらかじめ適切な発明品を用意しているマッドサイ
エンティスト。
障害にぶつかったときに「こんなこともあろうかと……」と言いな
がら適切な発明品を取り出し、障害を解決するために使用できる。
【余力】18 体力:5 集中力:13
【特徴】
【技能】適切な発明をしておく:15
あとは個別名をつけてあげれは、とりあえずプレイ可能になります。
三田一郎(さんだ・いちろう)としてみましょうか。
語り部ではキャラクターの細かな個性などを扱うために「特徴」が用意され
ています。これは五段階(人間では実質三段階)の数字で表現されます。
例えば我等が三田一郎が、実は非常な変人として社会的に認知されており、
若干どもるくせがあり、砂糖の無い紅茶が好みで、なぜか若い女性に好かれや
すいという個性を持っていると設定したとします。
こんな個性をどう表現するのでしょうか。
以下に語り部の特徴の数値のイメージを引用してみます。
【特徴が1】
普通より少し優れている。くせ程度。good。数十人に一人程
度の頻度。関係ないものから見れば凄いが、関係者としては
当たり前程度。
【特徴が2.】
かなり優秀。衆に秀でている。better。甘めにみても数百人
にひとり。ふつう、数千人にひとり。関係者としてもなかな
か凄い。
【特徴が3】
圧倒的に優れている。卓越した能力。best。出身地の経験以
外に3がついていることは、かなりまれです。ある組織での
トップクラス。ある社会でのトップ水準。甘めにみても数十
万人にひとり。
この表に基づき、三田氏の個性を評価してみましょう。
「非常な変人」なので3、「どもるくせ」と「砂糖の無い紅茶が好み」とは
癖なので1とします。「なぜか若い女性に好かれやすい」というのは面白いの
で2としてみましょう。
現時点でのキャラクターデータは以下のようになります。
さんだ・いちろう【三田一郎】《人名》
どんな事件にもあらかじめ適切な発明品を用意しているマッドサイ
エンティスト。
障害にぶつかったときに「こんなこともあろうかと……」と言いな
がら適切な発明品を取り出し、障害を解決するために使用できる。
【余力】18 体力:5 集中力:13
【特徴】非常な変人:3 どもるくせ:1
砂糖の無い紅茶が好み:1
なぜか若い女性に好かれやすい:2
【技能】適切な発明をしておく:15
最後に、プレイ中に設定が増えた場合について試してみましょう。
敵の本拠地で遭遇した女性が、三田一郎氏の生き別れの妹だった!! という
設定をその場で作るとします。そう、仲間にも隠していましたが、三田一郎氏
は生き別れの妹を探していたのです。
こういっ設定は特徴に入りますので、 「生き別れの妹を探している:2」と
いう特徴をつけることにしましょう。これでクライマックス時の行為判定にお
いて、2点有利になるかも知れません。逆に人質に再度取られてしまい、2点
原点の材料となるかもしれませんか……。 (このあたりの特徴の使い方につい
ては詳しくはリファレンスルールをご覧ください)
さらに、別の場合を考えてみます。
公式な会食にまねかれた一行。ここで三田一郎氏が元華族でテーブルマナー
を身につけていたという意外な事実が明らかになる (実際にはそう追加設定さ
れる)とします。
「旧華族」は特徴として、「テーブルマナー」は技能として身につけてみま
しょうか。
「旧華族」は、まあ1点で十分でしょう。「テーブルマナー」は一応まとも
に……との事で10としてみます。
以上のようなプレイ中の設定追加を踏まえたキャラクターデータは、以下の
ようになります。
さんだ・いちろう【三田一郎】《人名》
どんな事件にもあらかじめ適切な発明品を用意しているマッドサイ
エンティスト。
障害にぶつかったときに「こんなこともあろうかと……」と言いな
がら適切な発明品を取り出し、障害を解決するために使用できる。
【余力】18 体力:5 集中力:13
【特徴】非常な変人:3 どもるくせ:1 旧華族:1
砂糖の無い紅茶が好み:1
なぜか若い女性に好かれやすい:2
【技能】適切な発明をしておく:15 テーブルマナー:10
語り部ではこのようにイメージから直接数値データを決定するというルール
を採用することによって、自由度が高く強力なキャラクター作成システムを構
築してあるわけです。
sf
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