狭間から吹く風とともに:1997/12/15


目次



狭間から吹く風とともに:1997/12/15

狭間から吹く風とともにって?

 本メールマガジンは、創作TRPG語り部の世界設定のひとつ、現代オカルト物 である http://kataribe.com/HA/ 狭間さまよえるもの達  に関して、編集済みエピソードとちょっとした新聞記事ふうのシナリオフッ ク、追加設定や前日の情報についてまとめてお伝えするというものです。  記述方式は setext 形式で、対応ツールを利用することでより読みやすく、 利用しやすくなります。 http://www.age.ne.jp/x/sf/SETEXT/ setextについて  編集は sfこと古谷俊一、連絡先は sf@x.age.ne.jp です。  発送には、インターネットの本屋さん『まぐまぐ http://www.mag2.com/ 』を 利用させていただいております。前回の発行部数は131部でした。  また、語り部通信倶楽部やサイバラ電劇ネットのような草の根BBSなどでも 配布されております。  登録・解除は http://kataribe.com/HA/maga/ 狭間から吹く風とともに  の案内ページからお願いします。 > -【宣伝】----------------------------------------------------------- > 成人式の夜の吹利市南部。失われたはずのものを観た人々がいた。一面の芦 > 原を、月光の冷たく照らす湖面を、魂をも打ち砕くほどの威厳をもったなに > かが飛翔するさまを。はるかな古代に栄えた吹利の都にあった霞ヶ池は、あ > えて四神相応を崩さざるを得ないほどの力を持っていたという……。 > http://kataribe.com/HA/14/ 霞ヶ池の影 / 語り部MLにて進行中 > --------------------------------------------------------------------

最近の狭間の展開

http://kataribe.com/ML/ 語り部メーリングリスト  を中心に、狭間について先日にあった活動をお伝えするものです。  新着ページについては http://www.mahoroba.ne.jp/~furutani/kataribe/KATA_NEW.html 語り部関連ページ新着情報  もご利用くださいませ。  新型オンラインコミュニティシステムが完成したら、紹介には集約リンクな どもつく予定です。今回は13、14日のできごとです。

一般

 二百近い掲示板を誇る http://www.mahoroba.ne.jp/~furutani/ 工房・匠  において、 http://www.mahoroba.ne.jp/~furutani/kataribe/KATA_NEW.html 語り部関連ページ新着情報  を仮設しました。ここでは語り部関係のページを追加したときなどに、直接 のリンクを交えて紹介していくことになります。 http://www.age.ne.jp/x/sf/whatsnew.html sf's Pages 総合更新履歴  があるから掲示板では告知しないでもいいか、などと考えておりましたが、 どうもアクセスが僅少であるらしいことが判明いたしましたので、掲示板でも 細かに告知することを決めました。

コード06『キャラからのエピソード作成』

http://kataribe.com/HA/06/ ・エピソード『求婚者』  嫌いだと公言している相手に「そこおわったら、ちょっとつきあってくれよ。 いいホテルが」などと言うような人間は、コーヒーぶっかけられてスタンガン 食らって店の外に引きずられていっても、自業自得だとおもう……が、傷害罪 ではないかという気も。 ・エピソード『真夜中のメリーゴーランド』  ゆっくりと回りはじめるメリーゴーランド。そして想いを果たして成仏でき るようになった幽霊の男の子は……。 ・CG『狭間一パンの耳が似合う男』 http://www.kt.rim.or.jp/~ikegami/ なおなみなみなみ  の扉企画では、12月12日誕生日の人として、狭間一パンの耳が似合う男と称 してパンの耳を咥える一十(にのまえ・はじめ)のCGが表紙を飾りました。 ・新規エピソード『チケット』  川島京の日常エピソード。ライブのチケット取りのため寒空で徹夜する後輩 との、心暖まる交流の話。 ・新規エピソード『簡易ヨーグルト』  瑞希の職場話。ヨーグルトを半分残しておこという、上司浦島の真意とは!?

コード14『霞ヶ池の影』

http://kataribe.com/HA/14/ ・新規エピソード『他人以上……家族未満』  エピソード『後遺症……』からの話は、このタイトルでまとめるといいかな。 流れとしては、晃一のクリスマス会初体験へと繋がっていくようです。  あと『微妙』と題して、野枝実らが図書館に行った後の野枝実宅にて、一人 傷を癒しながら家族に思いを馳せる友久の話が追加されております。 ・新規エピソード『守護者』  プレイエピソード『鎮めの舞姫』の事後エピソードへの布石として、鎮魂の 舞を古代の舞姫から伝えられた麻衣に、伴緒が自分の守護者(古典的な式神や 護法のようなもんだとおもうといいかと)をつける話。 ・キャラクター『長谷川郷の霊刀:《封》』の更新 http://kataribe.com/HA/14/C/HAC14_08.TXT  鬼探知:15などが追加されています。語り部では(意思のある)武器・道具類 もキャラクターとしてルール的に扱っています。 ・人名録にほむら【炎】追加。詳細は新着資料に入れました。 ・プレイエピソード『古き神々』準備中。  これはプレイエピソード『鎮めの舞姫』の後日譚として、霞が池の鎮めの舞 を正式に行おうとする勢力とその妨害を行おうという勢力との抗争を描く。  プレイエピソードとは、シナリオマスターによってトップダウンに提供され た物語の細部をエピソード形式で埋めていくことにより、ひとつの話を作り上 げるというものです。ふつうのエピソード作成でも似たようなことは良くやる わけですが、最初から意識して行うあたりがただのエピソードと違うわけです。

新着設定資料

http://kataribe.com/HA/HA_HUMAN.HTM 狭間人名録  に新規追加。 ほむら【炎】《個体名》  作成者・長谷川真名見。作成方法は例によって企業秘密。  谷山麻衣に専属の従者で、麻衣が学校に行っている間はブローチの 中に封じてある。  外に出た時(学校から戻るとたいてい、表に出される)は普通、黒い 子犬。もちろん成長しないが、大型犬の仔犬のように見える。  ただし、実際には火眼の黒獅子。麻衣を襲うものがいれば巨大化、 本来の姿になる。  麻衣に何もない限り、性格は極めて温厚。  数値データはついてませんが、まあ資料として。  語り部ではこのような文章としての設定から、直接数値データを書き起こす ことが可能です。

夕刊風都:1997年12月15日号

 夕刊風都は、狭間世界に存在する吹利県の地方新聞ということになっており ます。事件や行事などを新聞記事風に紹介することにより、TRPGのシナリオづ くりのアイデア提供、事件の隠蔽工作の方法の紹介、吹利県のイメージ醸成な どを行うことを狙っています。

正隆寺で火災、重文焼ける

 14日午後5時半頃、吹利県吹利市東本町二丁目の正隆寺(せいりょうじ)の本 堂裏手で火があり、おりからの強風にあおられて重文の金堂が半焼した。本尊 のは無事だったものの、吹利県指定文化財の八大竜王図(鎌倉前期)は消失した。  現場検証の結果、時限発火装置と思われる金属片が見つかっており、放火で あるとの見方が強まっている。吹利県では放火と見られる火災が今月に入って 五件に達しており、おり、吹利県警では巡回を強化している。

利用法

 正隆寺は法華宗系の寺である……と想定しています。設定はそのうちにまと めてみますが、名前からして青竜となんらかの関係があるのでしょう。  青竜→皆上→水道局ラインから考えて、現在進行されている『霞ヶ池の影』 における吹利の太古の湖である霞ヶ池の復活に絡んだ抗争の結果のひとつだと 考えられます。  シナリオ的には、本当に消失したとは限らない八大竜王図の行方の調査・奪 還、放火犯人の割り出し処分などを目的としたものが考えられます。

最新編集済みストーリー:エピソード619『嘘』

http://kataribe.com/HA/06/P/ 狭間06エピソード集  に追加された編集済みエピソードです。  今回の話は、 http://kataribe.com/HA/06/P/6/HAP06619.HTM  にHTML化して編集公開してあります。

本編

 松蔭堂、夏の平日の午前中。閉め切った四畳半には、蒸れた空気が澱んでい る。うだるような暑さの部屋の中に、人間が二人。  訪雪は畳に敷いた茣蓙に仰向けに寝転がって、天井を見上げている。  ユラは文机に肘をついて、ぬるくなった麦茶のグラスを弄んでいる。  ユラ :「……暑いわね」  訪雪 :「確かに。窓を開けて風を入れるかね? それとも、ここ :を撤収して客間へ移るか」  ユラ :「窓を……いいわ。私が開ける」  からり、と開けた窓から、街の音を乗せた風が吹き込む。首筋から胸元に流 れる汗が、風を浴びて冷えてゆく。  訪雪 :「いい風だ……こんな部屋に篭っとったのが馬鹿みたいだ」  ユラ :「好きで篭っていたくせに(苦笑) ……本当に、物好きね。 :『松蔭堂さん』……訪雪」  訪雪 :「君だって、ひとのことが言えた義理じゃなかろうが。一 :体何だって、こんな時間にのこのこ現れたのかね?」  ユラ :「別に。今日はただ、実験から逃げたかっただけ」  会話の間、視線を交わすことは決してない。いつもの通りに。  訪雪 :「君はいつもそんなだなぁ、ユラ……リスキーなことを平 :気な顔でやってのける」  ユラ :「これの何処が、リスキーなの? 誰にも迷惑はかけてい :ない。隠すべき相手もいない……お互いに」  訪雪 :「今まで隠し通してきとることは事実だろう。 : 隠しとるのは、自分の外面、周りに要求された役割を守 :りたいからだろうがね」  ユラ :「ふうん……(複雑な笑い) : いつも見せてる『少し変わってるけど人はいい親父』の :顔、あれは嘘なの?」  訪雪 :「嘘……じゃ、ないな。むしろあっちのほうが地に近い。 :だがあれがすべてじゃない」  ユラ :「いまここにいるあなたも、すべてじゃないわけね」  訪雪 :「いまここにいる君と同じにね。 : こんなことくらいですべてを解りあえるなんぞと、真顔 :で口にできるのは、よっぽどの馬鹿か、でなきゃ」  汗をぬぐった指の間から、ユラの横顔を見上げて。  訪雪 :「嘘つき、だよ」  茶の間の方で、建具ががたりと鳴る音がした。  ユラ :「誰か来たわね」  訪雪 :「うむ。窓からってことは、ゆずちゃんでなきゃ泥棒さん :だな。どっちにせよ迎えに出にゃ……これ、忘れるよ」  体を起こし、畳の隅に丸まった白衣を、ユラの方にぽん、と放ってよこす。  ユラ :「(立ち上がりながら白衣をキャッチして) ありがとう。 :もっとも、言われなくても忘れやしませんけどね……『松 :蔭堂さん』」  訪雪 :「こりゃ失礼……全く、十分なおもてなしも出来ませんで。 :よかったら、もう少し茶でも飲んでって下さい。『小滝さ :ん』」  障子を開けながら、顔を見合わせて笑ったときには、既に二人とも、店主と 馴染み客に戻っている。  ユラ :「いえ、これからまた、実験がありますので。麦茶とお菓 :子、ご馳走様でした……今度クッキーでも焼いて持ってき :ますね」  訪雪 :「そりゃあ有り難い。是非一度、ご馳走になりたいもんで :すな。うまい茶を用意してお待ちしてますよ。 : (茶の間に入りながら) ああ、いらっしゃいゆずさん。 :小滝さんが茶飲みに来てたんだが、ちょうど入れ替わりに :帰っちまうんだそうだ。残念だねぇ……」  ユラ :「……(小声で) 大嘘つき(苦笑)」

解説

 人は社会的な仮面を維持するために、嘘をつくのか……。  小松訪雪と小滝ユラの隠された関係については直接書かれていませんが、ま あ読めば明白だと思います。  この話は他のエピソード、とくに訪雪とユラの関係について匂わせる幾つか の話、ユラへの思いを自覚していく狭淵美樹の話、訪雪と遊ぶ人形に宿った木 霊の譲羽(ゆず)の話などを前提としてのシーンの積み重ねのひとつであり、単 独で読むとと分かりにくいかと思われます。よろしければ他の話もWebで漁っ てみると楽しめるかと思います。  今回の主要登場人物のデータは以下にあります。 http://kataribe.com/HA/06/C/0/HAC06_95.TXT 茶人にして骨董屋:小松訪雪(こまつ・ほうせつ) http://kataribe.com/HA/06/C/0/HAC06_94.TXT 植物療法師な大学院生:小滝ユラ(こたき・ゆら) > -【宣伝】----------------------------------------------------------- > 姉妹誌紹介                 ものかきのひと、集えっ! > ** 文芸広報 ** http://www.age.ne.jp/x/sf/NOVEL/maga.html > 本メールマガジンは、情報の山の中に埋もれた創作文芸物を発掘し、読むこ > とを楽しみたい人々への指針となることを目的とする、オンライン創作文芸 > の宣伝告知サービスです。刊行ペースは週刊、毎週金曜日発行予定。 > --------------------------------------------------------------------


連絡先
ディレクトリルートに戻る
語り部総本部