狭間から吹く風とともに:1998/01/05-1


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狭間から吹く風とともに:1998/01/05-1

狭間から吹く風とともにって?

 本メールマガジンは、創作TRPG語り部の世界設定のひとつ、現代オカルト物 である http://kataribe.com/HA/ 狭間さまよえるもの達  に関して、編集済みエピソードとちょっとした新聞記事ふうのシナリオフッ ク、追加設定や前日の情報についてまとめてお伝えするというものです。  記述方式は setext 形式で、対応ツールを利用することでより読みやすく、 利用しやすくなります。 http://www.age.ne.jp/x/sf/SETEXT/ setextについて  編集は sfこと古谷俊一、連絡先は sf@x.age.ne.jp です。  発送には、インターネットの本屋さん『まぐまぐ http://www.mag2.com/ 』を 利用させていただいております。前回の発行部数は139部でした。  また、語り部通信倶楽部やサイバラ電劇ネットのような草の根BBSなどでも 配布されております。ちなみに転載は自由、引用は出所を明らかにすれば問題 ありませんし、シナリオネタとして利用する分にはとくに断る必要はありませ ん。  登録・解除は http://kataribe.com/HA/maga/ 狭間から吹く風とともに  の案内ページからお願いします。 > -【宣伝】----------------------------------------------------------- > 姉妹誌紹介                 ものかきのひと、集えっ! > ** 文芸広報 ** http://www.age.ne.jp/x/sf/NOVEL/maga.html > 本メールマガジンは、情報の山の中に埋もれた創作文芸物を発掘し、読むこ > とを楽しみたい人々への指針となることを目的とする、オンライン創作文芸 > の宣伝告知サービスです。刊行ペースは週刊、毎週金曜日発行。 > --------------------------------------------------------------------

最近の狭間の展開

http://kataribe.com/ML/ 語り部メーリングリスト  を中心に、狭間について先日にあった活動をお伝えするものです。  新着ページについては http://www.mahoroba.ne.jp/~furutani/kataribe/KATA_NEW.html 語り部関連ページ新着情報  もご利用くださいませ。  新型オンラインコミュニティシステムが完成したら、紹介には集約リンクな どもつく予定です。今回は1997/12/31〜1998/01/04日のできごとです。

コード04『白刃探偵事務所』

http://kataribe.com/HA/04/  オカルト探偵ものセッティングです。  モノクロイラストつきの紹介文を作成しました。 ・超科学者:霧間浅子紹介 http://kataribe.com/HA/04/HAC04_01.html ・喧嘩屋:不破雪之丞紹介 http://kataribe.com/HA/04/HAC04_02.html

コード06『キャラからのエピソード作成』

http://kataribe.com/HA/06/ ・新規エピソード『始めてのお正月』  萌と大河のお正月。人間界に慣れていない萌に、正月の意味についてきちん と教える大河と、素直に納得する萌がほほえましい光景かも。 ・狭間06チャットセッションログ『ひかりのゆくえ』 http://kataribe.com/HA/06/L/HAL06_01.HTM  1月1日に行われた突発で一対一のチャットセッションのログを編集したも のです。  佑也は黄昏ていた。一般人な(元)恋人に異能を知られ、気味悪がら れて捨てられたのだ……。クリスマスの一夜をともに過ごしたほどの 仲だったのに、あっさり捨てられた。そんな心の痛みを抱えつつ、最 近としてはめずらしく冷えこむ夜の町を、ひとり歩いていた。 「由美ぃ、なんでや〜! なんであかんのや〜!!」  そして初詣でむかった吹利春日神社での不思議な出会い……。死してなお生 きようとすること、その意味とは……。不思議色のラブストーリー、お届けし ます。 ・エピソード『パーティやろうぜっ!』  尊のコスプレは宇宙刑事エクサイダーであった。からかう琢磨呂にサザナミ ブレードを振るうと……。マッドサイエンティスト豊中の修理は完璧。設定通 りの性能を発揮してしまったのであった……。 ・なおなみなみなみ:新年の再構築 http://www.kt.rim.or.jp/~ikegami/ なおなみなみなみ  ですが、正月記念に改装されています。ゲームブックみたいな感じに、来訪 者は直紀さんから年賀状を貰い、柳家に新年の挨拶に出向くことになります。  扉の誕生日CGは『狭淵美樹・麻紀正月バージョン』です。 ・新規エピソード『ゼミ合宿』  ゼミ合宿にて、宴会の司会をするはめになった川島京。彼の見た宴会の惨事 は……。まあ普通の宴会ですか。しかし、東京弁のせいかな、セリフが女性的 のような。 ・新規エピソード『年越し風景』  いとこの能義家にて年越しをする豊中。親もとに帰るということをすっかり 忘れてしまっていた彼であった……。 ・エピソード『25日・瑞鶴風景』  ベーカリー楠でのバイトを早めに切り上げさせてもらい、本屋瑞鶴のクリス マス会にむかう本宮。会場にむかうと、そこには既に酔っ払っている連中が二 人……。 ・キャラクター『謎の占い師:菜園玲香(なぞの・れいか)』  一見ただの専門学校生だが……その実、両性具有(だと思う)の占い師。ESP ももっている。

コード07『西生駒高校』

http://kataribe.com/HA/07/ ・語り部紹介HTML再登録 http://kataribe.com/HA/07/KACM9508.HTM はぢめてでも、もう安心だね! これが「語り部」だ!  狭間07西生駒高校の登場人物による語り部紹介。1995年夏に、関西大学RPG 研究会の会誌に掲載されたものです。 学園退魔ものスターティングガイドの 一部となっています。  語り部総本部への移動時に、ちゃんとて印するのを忘れていたので再公開し ました。

コード14『霞ヶ池の影』

http://kataribe.com/HA/14/ ・エピソード『宴会はプレハブで』  「星下演舞」のつづきがありました。 ・新規キャラクター『伍堂四海』 http://kataribe.com/HA/14/C/HAC06124.TXT  獅堂商事特殊開発部所属の形態変化能力者。 ・新規エピソード『大切な人に』  谷山家に年始の挨拶にむかう晃一と友久。始めてもらったお年玉の使いみち に悩む晃一が購入したものとは……。……しかし晃一くん、テレパシーでしゃ べっているのに良く買えたなぁ。言葉に偽装する技能つけといたほうがいいと 思います(思考操作でできなくもないけど……)。

夕刊風都:1998年01月05日

 夕刊風都は、狭間世界に存在する吹利県の地方新聞ということになっており ます。事件や行事などを新聞記事風に紹介することにより、TRPGのシナリオづ くりのアイデア提供、事件の隠蔽工作の方法の紹介、吹利県のイメージ醸成な どを行うことを狙っています。  工房・匠に掲示板を作成し、 http://www.mahoroba.ne.jp/~furutani/kataribe/HA/HA_NP.html   狭間:シナリオフック夕刊風都公募  にて記事の投稿を募集しております。

葛城市長、監査請求なされず

 葛城市で長岡同市長に対して出されていた公金支出の監査請求が却下された。 顧問弁護士に対して不当に公金支出をしたとして監査請求されていたが、同市 監査委員会は請求者の医師に対して、監査却下を通知した。

利用法

 まあ、これだけだと普通の事件ですが。  葛城市は企業の町ですから、汚職もいろいろとあるんでしょうね……。

最新編集済みストーリー:エピソード625『制服好きですか?』

http://kataribe.com/HA/06/P/ 狭間06エピソード集  に追加された編集済みエピソードです。  今回の話は、 http://kataribe.com/HA/06/P/6/HAP06625.HTM  にHTML化して編集公開してあります。

登場人物

 一十(にのまえ・みつる) :美少年も好き……らしい風水師。  本宮和久(もとみや・かずひさ) :スナフキン愛好会のひとり。苦労人。  富良名裕也(ふらな・ゆうや) :通称フラナ。スナフキン愛好会のひとり。  佐古田真一(さこた・しんいち) :スナフキン愛好会の会長。ギターで語る。

本編

 ジーワジーワジーワジーワ。甲高い蝉の鳴き声が響く。  一 :「はぁ……暑い」  大通りを歩く一、大学は午前中で終り、ぶらぶらとあたりを歩いていた。  フラナ :「あー、にのまえさんだ」  元気な声が聞こえて来る。いつもの三人組。三人とも夏服に開襟シャツを着 込んでいる。  いつもの三人……のはずだか、なぜか、なんだかわからない違和感が漂う。  一 :「(なんだかいつもと何かが違う……何かが?)」  本宮 :「こんにちは一さん」  一 :「おう、お前ら。休みじゃないのか」  本宮 :「ほんとはテスト休みなんですけど、ちょっと……」  一 :「追試か(笑)」  フラナ :「佐古田だけだよ」  本宮 :「サボってばかりだから」  一 :「まぁ佐古田だからな。って……まさか佐古田……か?」  佐古田 :「……」  いつもの三人組……のはずなのだが。ちょっと違う、いつもスナフキンのコ スプレにギターをしょった佐古田がめずらしく夏服に開襟シャツを着込んでい る。いつもの格好が印象的なだけに制服姿がやけに新鮮にみえる。  一 :「……はじめて見たぞ、スナフキンのコスプレしてない佐 :古田」  ぷいとそっぽを向いてしまう佐古田、制服は気に入ってないらしい。しかし、 流れる裾長の金髪、澄んだ緑の瞳、白い肌……確かに美形ではあったが、こう して普通の格好をしていると、本当に絵に描いたような美少年に見える。  本宮 :「普通科の講習に混ぜてもらうんで、制服でないとまずい :んです」  一 :「(呆然) なるほど……な、しかし印象が変るな……」  フラナ :「着せるの大変だったんだよ、ねぇ」  本宮 :「散々暴れたもんな……まったく」  佐古田 :「……(憮然)」  一 :「なに! 着替え! 着替えだと! 言ってくれよ、俺も :手伝いたかったっ(握り拳)」  思わずマジで叫んでしまう一(笑)  一同 :「!(ずざざざざざ)」  この爆弾発言にいっせいにひく三人。頬をひきつらせ冷や汗をたらす本宮、 その後ろにこそこそ隠れる二人。  一 :「……冗談だぞ」  フラナ :「(本宮に隠れて) ほんとかなぁ」  本宮 :「一瞬、目がマジだったような」  佐古田 :「(本宮に隠れて) ……(汗一筋)」  一 :「おまえら本気で怯えるな……それより補講は間に合うの :か?」  フラナ :「あ、はじまっちゃうよ」  本宮 :「早く行かないと」  佐古田 :「……」  ばたばたと慌てて学校にに走っていく三人。  一 :「さ……て、ベーカリーで昼飯買ってかえるか」  三人を見送り、ベーカリーに向かって歩き出す一。  一 :「……着替え、手伝いたかったな……」  ぽつりとつぶやく一。ほんとにアブナイぞ……

解説

 基本的には内心ではともかく、外にこれだけ出すのがに疑問が残るので、こ れを本編採用して良いのかどうかがいまいち不安なところがありますが、ミツ ルの性格というか、暴走ぶりを示す一シーンではあります。 > -【宣伝】----------------------------------------------------------- > 想像力、あまっていませんか? |  大好きな小説の登場人物といっしょに >                | 活躍したい、自分の夢見る世界でみんな >  もうひとつの世界への扉   | と楽みたい、そんなあなたに送りたい。 >  「語り部」が提供します   |『ほんとうのRPG、試してみませんか?』 > 【語り部総本部】 http://kataribe.com/          毎日追加更新 > --------------------------------------------------------------------

狭間から吹く風とともに:1998/01/05-2

 おもに夕刊風都の作成が遅れており、発行が止まっていたことも合って、編 集済みエピソードのバックオーダーが溜まっているので、ついでにあと二件を 掲載します。 http://kataribe.com/HA/06/P/ 狭間06エピソード集  は、最近おおむね、毎日一件追加されております。 > -【宣伝】----------------------------------------------------------- > TRPG専門の日刊ニュースメールサービス「語り部日報」では > 毎日、創作TRPG語り部のサポート情報と掲示板などの情報、新着告知サービ > ス用語集(TRPG百科事典)の連載をしています。 > //姉妹誌紹介 > http://kataribe.com/KN/ 語り部日報 HomePage > --------------------------------------------------------------------

最新編集済みストーリー:エピソード627『素朴な疑問』

http://kataribe.com/HA/06/P/ 狭間06エピソード集  に追加された編集済みエピソードです。  今回の話は、 http://kataribe.com/HA/06/P/6/HAP06626.HTM  にHTML化して編集公開してあります。

ある朝の Flower shop miko

 午前9時。Flower shop miko。  SE : ととととと  尊 :「はい? ……あらゆずちゃんだ」  ガラスの扉は木霊には少々重かったようだ。  譲羽 :「ぢいぢい(尊さん、こんにちは)」  尊 :「こんにちは、……って、あら、ゆずちゃん、新しい服?  :もしかして見せに来てくれたの?」  譲羽 :「ぢぃっ(うん!)」  尊の口元がほころぶ。母親に服を縫ってもらった記憶などほとんど無い尊に は、羨望すら感じさせるほどの喜びようだ。  薄紅色のぼかしの布で作った夏用のドレスに黒い靴。  尊 :「あ、似合う似合う。花澄さんの作、かな?」  譲羽 :「ぢいっ(大得意)」  尊 :「へえ、ちゃんと襞も沢山とってある……ねえ、ゆずちゃ :ん、くるっとまわってみて?」  譲羽 :「ぢい(こっくり)」  くるり、と木霊がまわる。と、スカートの部分がふわり、と広がる。  尊 :「わー、可愛い(笑)」  譲羽 :「ぢい……(照れっ) ぢいぢい(じゃ、またね)」  手を振ると、ぱたぱたと木霊は外へ駆け出していった。

昼過ぎのベーカリー楠

 同日、午後一時半。ベーカリー楠。  からんころん。  観楠 :「こんにちは、花澄さん」  花澄 :「……こんにちはぁ……すみません、アイスコーヒー一杯 :下さいます?」  観楠 :「はいはい……どうしたんです?」  花澄 :「……眠くって(泣)」  年がら年中眠たがっている花澄の言う事なのだが、今日に限ってはかなり深 刻なようである。  観楠 :「どうしたんですか」  花澄 :「昨日、ゆずに服作ったんですよね……ああ失敗したな」  観楠 :「は?」  花澄 :「店長さんのところのお嬢さんはそんなことありません? : 新しい服買ってもらったら、興奮して袖通すまで納得し :ない、とか」  観楠 :「……ありますが」  花澄 :「夜中に出来たんですけど……ゆずってばどうしても着るっ :て言い張るし、着せてみたら気に入ったらしくてなかなか :寝てくれないし」  観楠 :「ちいちゃくても、女の子なんですねえ(笑)」  花澄 :「……はあ(複雑な顔)」  からんころん。  尊 :「こんにちは……っと花澄さん、ゆずちゃんの服見ました :よ(笑)」  花澄 :「え?!」  尊 :「今朝方わざわざ来てくれて。可愛かったですよぉ(笑)」  花澄 :「……あの子ってばどこに行ってるんだろ……」  尊 :「女の子ですよねえ。もう、嬉しくって仕方ない、みたい :な顔して」  花澄 :「……そこです」  尊 :「は?」  花澄 :「皆さん忘れてらっしゃるみたいですけど、あの子、そも :そも木霊……性別無しの妖怪の筈なんですよ?」  観楠&尊 :「……!」  思わず顔を見合わせる。言われてみれば、そのとおりである。  花澄 :「いったいいつからあんなに女の子やってるんだか……」  観楠 :「……それは」  花澄 :「すごく素朴な疑問なんですけど……女の子っていつから :女の子なんでしょう?(大真面目)」  尊 :「う”……そういう花澄さんは思い当たる節あるんじゃな :いですか?」  花澄 :「無いですよ。三つの頃から母が化粧すると飛んで逃げて :た子ですから」  観楠 :「……(それはお母さんがかわいそうだなあ)」  尊 :「……(ふと、考え込んでいる)」  花澄 :「どうか……しました?」  尊 :「そういえば、前におじいちゃんに言われた事があったん :です。『精霊は鏡だ』って」  花澄 :「鏡?」  尊 :「ええ、木霊って精霊ですよね。恨みや、妬みなどの不の :気を一切持たない純粋な」  花澄 :「悪戯者ですけど(苦笑)」  尊 :「(くす) 精霊達はみんなそうです。野にいる時はゆずちゃ :んは木霊だったんですよ。でも、花澄さんと出会って譲羽 :になった……」  花澄 :「え? ……それって……まさか」  尊 :「そうです『木霊』と言う混沌とした存在でしかなかった :ゆずちゃんが、花澄さんに出会い『譲羽』という個に昇華 :した……元が純粋なだけに、花澄さんの心にあったイメー :ジを写し取り、譲羽と言う女の子が生まれた。 : ……なんてね(笑) おじいちゃん受け売りの当て推量で :しかないですけど(苦笑して肩をすくめる) : で、人間の女の子って『自分が女である』って認識した :瞬間に女の子になるんじゃないかなって思うんですけど :ね(笑)」  花澄 :「……でも、それも困るかも(苦笑)」  尊 :「え?」  花澄 :「いえ……眠い(泣)」  尊 :「今日は早く寝てくださいな(苦笑)」  花澄 :「でもでも、今日に限って遅番なんです……あ、尊さんす :みません、もしゆずを見かけたら、さっさとうちに帰るよ :うに言っていただけます?」  尊 :「はいはい」

夜闇のもとで

 さて、午後十時半。部屋の扉を開けた途端、花澄は異常に気がついた。  花澄 :「ゆずってば、まだ帰ってない」  真っ暗な部屋。怖がりの木霊が、この部屋にいる筈が無い。  花澄 :「というと……大家さんのところかな」  はあ、と溜息をついて、花澄はそのまま踵を返した。  松蔭堂に着いたのは、十一時近かったかもしれない。かなり躊躇してから、 花澄はチャイムをおした。  訪雪 :「はい……ああ、こんばんは」  花澄 :「あの、こんばんは……夜分申し訳ありませんが、あの」  訪雪 :「ゆずちゃんでしょう。寝てますよ」  花澄 :「寝てる?」  訪雪 :「こちらから連れて行こうかとも思ったんですが、花澄さ :ん、家にはいらっしゃらなかったようで」  花澄 :「はあ、今まで仕事でしたから……でも、寝てるんですか、 :あの子?」  訪雪 :「ちょっと待って下さい、連れてきますから」  しばらくして戻ってきた訪雪の手には、座布団が乗っかっていた。座布団の 上に丸まって、譲羽はぐっすり寝入っていた。  訪雪 :「何だったら座布団ごと連れて帰ってあげて下さい。起こ :すのはかわいそうだ」  花澄 :「……はい」  溜息をつきかけて、花澄は暫し、眠り込んでいる木霊の少女を眺めた。ふと、 苦笑らしきものが、口元に浮かんだ。  花澄 :「……大家さん」  訪雪 :「はい?」  花澄 :「不思議で仕方なかったんです。この子って、いつからこ :んなに女の子なんだろう、人の子供なんだろうって」  花澄の指がそおっと伸びて、譲羽の頬にかかる髪を払う。  花澄 :「でも、もしかしたらそれって、私が望んでいるからかも :しれない。……だとしたら、ゆずに申し訳ないことしてま :すね、私」  触れた頬は硬質で、哀しいほど冷たい。  花澄 :「……愚痴です。聞き流して下さい」  座布団ごと譲羽を抱えあげると、花澄はもう一度深々と頭を下げた。

解説

 テーマ自体は文章中でも明示されてますように、『女はいつ女になるんだろ う』、つまり人が自分の社会的位置付けを見いだし、自分自身の振る舞いをそ の位置付けに基づいて構成し、自我を構成していくことについてなんだろうと 思います。  テーマを結晶化した具体的な事物によって表現できるいうのは、ファンタジー の効能のひとつですね。

最新編集済みストーリー:エピソード630『息子さん?』

http://kataribe.com/HA/06/P/ 狭間06エピソード集  に追加された編集済みエピソードです。  今回の話は、 http://kataribe.com/HA/06/P/6/HAP06630.HTM  にHTML化して編集公開してあります。

登場人物

 能義茜(のぎ・あかね) : テレポーターな女子高生。  能義秀人(のぎ・ひでと) : 自衛官。  豊中雅孝(とよなか・まさたか) : 茜や秀人のいとこ。

本編

 能義家のリビングルーム、片隅のボードの上に子供たち+甥っ子の写真。  客 :「あら、これ茜ちゃん? 着物の方がずっと可愛いわねえ」  母 :「そうでしょ(←親ばか)」  客 :「こっちが秀人君? ずいぶん大人になったわねえ」  母 :「あら、あの子もう25よ(笑)」  客 :「この子は?」  指差したのは猫をからかって遊んでいる豊中の写真。  母 :「雅孝よ」  客 :「ああ、甥ごさんだったっけ……あら?」  もう一枚、和服(羽織袴)姿の男の子の写真。……どうみても、おとーさんの 着物を着て喜んでいる無邪気な坊やにしか見えない。  客 :「(かなり長い事考えて)……息子さん、2人いたんだっけ?」  母 :「(写真を見て笑いをこらえながら)ええ、まあ」  客が帰った後。茜が豊中を連れて帰ってくる。  茜 :「おかーさん、ケーキ残ってる!?」  豊中 :「騒がしい奴……あれ、叔母さん、その写真」  「無邪気な坊や」の写真に目をとめる豊中。  母 :「昨日、思い付いて出したのよ。秀人の着物を着せたとき :の茜の写真(笑)」  豊中 :「こうしてみると茜の奴、どこからどう見ても男の子なん :だよね(苦笑)」

解説

 一発ギャグ……というかなんというか。実話ネタをもとにしたスケッチふう のエピソードでもあるはずです。  このような小さな話(それこそエピソード)をたくさん積み上げていくことで、 人物や世界の輪郭を浮かび上がらせていくというのがエピソード作成のおもし ろさのひとつですね。ただし、このあたりが理解しづらさや入りにくさにも繋 がってくるのでしょうけど。 > -【宣伝】----------------------------------------------------------- > ☆ キャラ化によるエピソード作成 ☆ あなた自身をモデルにした人物を > つかって、もうひとつの日常を遊んでみませんか?  > どんな話になるかはつぎのURLで!     http://kataribe.com/HA/06/P/ > 実際の進行は 語り部メーリングリスト <URL:http://kataribe.com/ML/> と > 草の根BBS語り部通信倶楽部にて開催中です。 ** 毎日何話も進行中!! ** > --------------------------------------------------------------------


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