語り部IRCログ #HA21 2009-07-10

霞ヶ池の闇

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2009/07/10 00:00:00
[Hisasi] 単にゆゑたんが書きたいだけちゃうんか、というのは置いて置いて
[Hisasi] そんな感じでまた書いてしまおう
[Hisasi] ----
[Hisasi] #1868、明治元年
[Hisasi] #江戸
[Hisasi] #めまぐるしく激流のように流れていった時間の中で
[Hisasi] #なおも変わらず、往来は人が行き交い、店が軒を並べ、活気が溢れていた。
[Hisasi] #江戸城無血開城、大政奉還と。
[Hisasi] #激しい京の戦いなど、まるで夢の出来事のように
[Hisasi] ゆゑ:「…………」
[Hisasi] #政府軍の軍服に身を包み、腰に小太刀を下げて
00:55:57 fukaWork -> fukaFuton
[Hisasi] #女の身だが、真佐子の護衛として男装で認めてもらった(というか女の子にしか見えないんですが、そこはみんな空気を読んだ)
[Hisasi] #そして、常に真佐子の行く先に付き従い。政府に恨みを抱く旧幕臣らや不逞の輩に目を光らせていた
[Hisasi] 真佐子:「ゆゑ」
[Hisasi] ゆゑ:「真佐子さま!」
[Hisasi] #依頼していたらしい、薬の材料の入った箱を手に・
[Hisasi] 真佐子:「待たせてしまってごめんなさいね。戻りましょう」
[Hisasi] ゆゑ:「はい、真佐子さま」
2009/07/10 01:00:00
[Hisasi] #顔を輝かせて付き従う
[Hisasi] #仔犬のように付いて回る姿は可愛らしいが、その剣術の腕の冴は確かだった。だが、あくまで護衛としてであり、実際の戦に出ることは真佐子に固く禁じられていた
[Hisasi] #通りを歩き、時々町人に挨拶をされつつ
[Hisasi] 真佐子:「日が落ちぬうちに戻りましょう、少し手間取ってしまいましたから」
[Hisasi] ゆゑ:「はい」
[Hisasi] #だが、最近
[Hisasi] #
[Hisasi] #良くない噂を耳にした
[Hisasi] #没落した旧幕府の武士らが徒党を組み、武士の復権と反政府を掲げて活動を行っているらしいという話を
[Hisasi] #そして、政府軍の中核にいる真佐子の夫、本郷時貞の身を狙っているらしいとの噂を
[Hisasi] ゆゑ:「…………真佐子さま、もうお耳に入れられていると思いますが」
[Hisasi] 真佐子:「……反政府軍のことですね」
[Hisasi] ゆゑ:「賊軍です!誇りも義もない狼藉者の集団です」
[Hisasi] 真佐子:「……ゆゑ」
[Hisasi] ゆゑ:「反政府朱の会を名乗る賊軍が先日起こした騒動……あれは只の略奪と暴行です」
[Hisasi] 真佐子:「…………」
[Hisasi] #先日、朱の会と名乗る武士崩れの集団が、商家を襲い。一家と使用人らを惨殺して金品を奪って火を放った。
[Hisasi] #他にも巡回中の政府軍らが襲撃を受けて斬られたとの話や
[Hisasi] #武士の復権とは名ばかりの狼藉者集団に成り下がっていた。
[Hisasi] ゆゑ:「…………私はあのような者達を武士とは認めない、たとえ刀を持たずとも旦那さまや皆の心こそ武士として誇れるもの」
[Hisasi] ゆゑ:「武士の恥です、存在すら許しがたい」
[Hisasi] 真佐子:「……慎みなさい、ゆゑ」
[Hisasi] ゆゑ:「真佐子さま!」
[Hisasi] 真佐子:「……信じているものを見失うのは恐ろしい」
[Hisasi] ゆゑ:「……え?」
[Hisasi] 真佐子:「それが本当に大切な、何にも変え難いものであったなら……」
[Hisasi] ゆゑ:「ですが」
[Hisasi] 真佐子:「……彼らもまた、失ってしまった自らの大切ものを取り戻さんとしてる。変わろうとして、変われずに、激流のように流れる時間の中でもがいているのです」
[Hisasi] ゆゑ:「…………」
[Hisasi] 真佐子:「……変わることは難しい、自らではどうにもならない流れの中で、失ったものを見出さんとしている。その迷いゆえに」
[Hisasi] ゆゑ:「……私は、認めません」
[Hisasi] 真佐子:「……放ってはおけないでしょうね。どんな形であれ、彼らともけりをつけなければいけません。それがたとえ積み上げてきた大切な武士という生き方そのものを斬り捨てることになっても」
[Hisasi] ゆゑ:「はい」
[Hisasi] #きゅっと、小太刀の柄を握った
[Hisasi] #剣術は群を抜いた腕前、だが。
[Hisasi] #実際の戦場で剣を振るったことは無い、街の小競り合いや襲撃から身を護るときにしか
[Hisasi] #その刀を振るったことは無い
[Hisasi] ゆゑ:「私は……覚悟を決めています」
[Hisasi] #実際に殺ったことはまだ無い、
[Hisasi] 真佐子:「……ゆゑ、その刀。その手を汚す覚悟を決めたということですか?」
[Hisasi] ゆゑ:「はい、私とて武家の娘。死地をくぐりぬけた旦那さまや仲間達だけでなく、私も真佐子さまの為に」
[Hisasi] 真佐子:「ゆゑ」
[Hisasi] #鋭い声
[Hisasi] ゆゑ:「真佐子、さま?」
[Hisasi] 真佐子:「……刀を振るうことだけが、覚悟ではありません」
[Hisasi] 真佐子:「戦の為に武器を整え、これを調達し、敵の居場所を探り、これを指示する。どれひとつ、なんら変わりはしません」
[Hisasi] ゆゑ:「…………はい」
[Hisasi] 真佐子:「私の為といいましたね?」
[Hisasi] ゆゑ:「はい」
[Hisasi] 真佐子:「そのような気持ちでいるならば、即刻その刀を捨て家に帰りなさい」
[Hisasi] ゆゑ:「そんな!」
[Hisasi] 真佐子:「ゆゑ。これだけはわかって、貴方は誰の為に刀を振るうのか」
[Hisasi] ゆゑ:「……私は」
[Hisasi] 真佐子:「誰かの為、それも立派な理由です。ですが、私が斬れと言ったら罪無き者であろうと斬りますか?」
[Hisasi] ゆゑ:「……それは」
[Hisasi] 真佐子:「貴方が斬ろうとしているのは、失ってしまった、失いたくなかった大切なものを護らんとして居る者、見失ってしまった闇でもがいている者達です」
[Hisasi] 真佐子:「……その者達の心を知って、なおかつ斬ることができなければ、貴方は只の心無き人斬りです」
[Hisasi] ゆゑ:「…………私は」
[Hisasi] 真佐子:「たとえ、刀を振り回すのがうまくても、それは本当の強さたりえません」
[Hisasi] ゆゑ:「……はい」>どきりとした
[Hisasi] 真佐子:「大切なのは、人を斬ることができる覚悟。それを受け入れる心」
[Hisasi] 真佐子:「……私は貴方を心無き人斬りにしたくはありません」
[Hisasi] ゆゑ:「……真佐子さま……」
[Hisasi] 真佐子:「世が武士を必要とせんとあろうと、その心さえあらば……武士たらん」
[Hisasi] #奇しくも、浮葉の君と全く同じことを、この時真佐子は口にしていた。
[Hisasi] ゆゑ:「……はい」
[Hisasi] 真佐子:「それだけは、忘れないで」
[Hisasi] ゆゑ:「はい、真佐子さま……必ず」
[Hisasi] #きゅ、と
[Hisasi] #小太刀の柄を握り締めて
[Hisasi] #家路へと向かう二人だった
[Hisasi] --------
2009/07/10 02:00:00
02:04:19 ! Suo (EOF From client)
02:08:43 ! Hisasi ("遊覧飛行")
2009/07/10 03:00:00
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2009/07/10 09:00:00
09:00:00 ! kataribe ("auto down")
09:01:01 + kataribe(~kataribe@sv1.trpg.net) to #HA21
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2009/07/10 10:00:00
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10:00:36 + kata_cre(~kata@ns.cre.ne.jp) to #HA21
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14:03:03 + fukanju_(~fukanju@KD124210234024.ppp-bb.dion.ne.jp) to #HA21
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19:44:51 NaggyFish -> MesiNaggy
2009/07/10 20:00:00
20:09:58 ! H_Aoi ("てっしゅう")
20:56:31 ! kurov ("Leaving...")
2009/07/10 21:00:00
21:04:20 ! MesiNaggy ("ねるん")
21:46:38 + kurov(~kurov@p1101-ipbf4902marunouchi.tokyo.ocn.ne.jp) to #HA21
2009/07/10 22:00:00
22:00:55 fukaFuton -> fukaGuten
22:27:08 + Hisasi(~hisasi@115.CH575a.cyberhome.ne.jp) to #HA21
2009/07/10 23:00:00
23:09:39 + H_Aoi(~chocoa@121-84-29-165.eonet.ne.jp) to #HA21
23:17:29 + Suo(~username@ppxg037.enth.cli.wbs.ne.jp) to #HA21
[Hisasi] ----
[Hisasi] #1868、明治元年
[Hisasi] #江戸にて
[Hisasi] #抵抗を続け北上していく旧幕府軍の動き
[Hisasi] #そして、近郊で続く武士崩れの賊達の動きもまた、続いていた。
[Hisasi] #始めこそ、維新でその地位を失った武士達が復権を望んでのものだったが
[Hisasi] #人数が増え、次第に質の良くない夜盗あがりなどが寄り集まり、当初の志は失われつつあった。
[Hisasi] #夜
[Hisasi] #ある商家の裏で数人の男達があたりの様子を伺っている。
[Hisasi] #年齢もバラバラ、下は少年、上は30半ば程の
[Hisasi] #服装も和装と洋装とでまるで統一感がない
[Hisasi] #ただ、年齢が高い者のほうが和装に帯刀、武士そのままの姿の者が多かった
[Hisasi] 男:「……いいか、お前達」
[Hisasi] 中年:「…………」
[Hisasi] 少年:「…………はい」>きゅっと腰に下げた刀に手をかけて
[Hisasi] #面々の半分ほどは、その地位を失った武士達
[Hisasi] #もう半分は、往くあての無い賊あがり
[Hisasi] 中年:「…………本当に、この家の者達は政府に内通した裏切り者なのしょうか」
[Hisasi] 男:「そうだ、戦いを放棄し誇りも魂も売り渡した。その罪、万死に値する」
[Hisasi] 少年:「…………」>ぎゅっと刀の柄を握ったまま
[Hisasi] 中年:「…………」>唇を噛んだ。
[Hisasi] #疑問はあった
[Hisasi] #これが本当に正しいのか
[Hisasi] #だが
[Hisasi] #もはや、寄る辺もない、自らの行く道すら見えない中で
[Hisasi] 中年:「……わかりました、先陣は……私が」
[Hisasi] #袴を捌いて、一歩前へでる
[Hisasi] #少年らは既に髷を切り、洋装に身を固めた者も多い。
2009/07/11 00:00:00 end